- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784265083190
作品紹介・あらすじ
赤トンボ(アキアカネ)が絶滅の危機にあると言われています。その一方で毎年大発生している所もあるそうです。著者はその謎を解くため、新潟県に米作りの達人を訪ねます。
感想・レビュー・書評
-
日本書紀で「秋津州」という言葉が出てくる。
神武天皇が山頂から日本を眺めて「この国はトンボが交尾をしているような形をしている」と言ったことから、日本を「秋津洲(あきつしま)」と呼ぶようになったという。
他にも雄略天皇がトンボへの功績を讃えて日本を「蜻蛉洲(あきつしま)」と呼ぶようになったという記載もある。戦国時代は武士の兜に使われたり、現在でも縁起物の柄に使われたり、日本人にとってトンボは縁起の良い虫だった。
秋に実った稲穂とその上を飛ぶトンボというのは、日本人が思い浮かべやすい光景だろう。
しかし現在では日本古来からいたトンボ、アキアカネが激減している。
著者は、新潟県柏崎市の内山常蔵さんが耕している田んぼではアキアカネが次々に羽化している、ということを知り、その取材を行った。
米作りに必要な情報は農林水産部から提示される。
これに従えば米作りはできるのだが、しかし手間や肥料がかかる。
そこで内山常蔵さんが「田んぼは自然であり稲も自然。それならあまり手をかけすぎるのではなく少し手そ貸してあげるだけで良いのでは」と考えての田んぼ造りを行った。
それは他の田んぼとどう違うのか?
著者がアキアカネの生態系を追いかける下りは読んでいてもわくわくしました。
浅い水辺(この場合は田んぼ)で羽化したアキアカネは、7月頃になると山頂に向かう。これはなぜだかわからない。そして人里に蚊が発生する時期に一斉に山から降りて餌とする。
この動きは万葉の字だから変わっていない、それは自然が少なくなった現在でも続いている。
自然とは、それぞれの生物が少しずつ住む場所や環境を変えてお互いが共存している。
だからアキアカネ(トンボ)が減れば他の生物も減ってしまう。
人の生活は自然から得られるもので成り立っている。人間が生活するために自然を利用するのは必要なことではあるが、必要以上に自然の共生関係を崩さずない方法もあるのではないか、ということを実例で示しています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
K486
「「赤トンボ(アキアカネ)が絶滅の危機にあると言われています。その一方で毎年大発生している所もあるそうです。著者はその謎を解くため、新潟県に米作りの達人を訪ねます。」 -
数十年前はどこの田んぼでもトンボが無数に飛んでいたという。