- Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
- / ISBN・EAN: 9784267024160
感想・レビュー・書評
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ひょんな事からお萩長屋に住み始めた幼馴染の3人の老婆。3人三様の性格の違いが面白い日々の暮らしに事件が起こる。行倒れの女性と残された口のきけない少女を守るべくお互いの得意な分野で知恵を出し合いながら、事件の解決に立ち向かう。スカッとしていて楽しめた。
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「女三人寄ればかしましい」だから三人なのだろうか。
二人でガッツリ向き合うと衝突したとき目も当てられないから?
「おひとりさま」のアラカン女子三人は元幼なじみ。
地元に戻ったお麓のもとに集結した。
それぞれ違った方向の個性がバランス良く、しかし立場や考え方の違いで時々口げんかになる。
仲が良かっただけに言い過ぎてしまうが、その辺の会話もとても楽しい。
・お麓(おろく)優等生タイプ。生涯独身。武家に奉公の過去あり、書き物に堪能、和歌が趣味。
・お菅(おすげ)家庭的タイプ。二年前に夫を亡くし、息子二人いるが嫁たちとソリが合わない。
・お修(おしゅう)外交的タイプ。水茶屋や中居を経て大店の後妻に収まるも、三年前に旦那を亡くし先妻の娘とソリが合わず。
規則を守ることを優先するお麓、人情感情で突っ走り、現実的なことは人任せのお菅。
見かけを盛ることにこだわり、買い物好きのお修だが、客商売が長かっただけあり、人間観察に優れている。
三人寄ればかしましいこともあるが「文殊の知恵」でもある。
お麓の名誉のために言っておくと、かしましいのはお菅とお修である。
「あたしの『閑かな老後』を返せーーー!」byお麓。
長屋に助けを求めてきた女の子を保護したが、何やらわけありのようだ。
身元が分からないので、長屋の名前を取って「お萩(はぎ)」と名付けられた。
時を同じくして長屋に越してきたイケメン建具師にクラクラするお修、働いている団子屋に商家の旦那風の人が来て贔屓にしてくれたとぽーっとなっているお菅。
地下で事件の兆しがドクダミの根っこのように広がりつつあった。
やっぱり老人のやる気を引き出すのは、誰かを守ってやりたい、幸せにしてやりたい、という使命感である。
これは、ジジでもババでも変わらない。
まるで竹取物語みたいな日々であったが、次は上方に向かう三婆の珍道中も見てみたい。
最後に出てきたお菓子に、「南星屋(なんぼしや)」のシリーズを思い出しました。 -
幼馴染の姥三人が、ある少女と出会ったことから、
一騒動に巻き込まれながらも、邪悪な連中と果敢に
戦う、泣いて笑って、面白かったと、
ページを閉じられる、そんな物語。
おはぎ長屋に住むお麓のもとに、お菅とお修という
幼馴染二人が、入れかわり立ちかわり
訪れるようになってから、お麓の、静かな余生を
過ごしたいという願いは、立ち消えた。
その代わり、ドタバタと、さまざまな騒ぎに
望んでもいないのに巻き込まれて…。
子どもたちに疎まれたり、嫁に邪険にされたり、
それぞれに、寂しさを抱える姥たちだが、
一人の少女を救おうとしたことで、
毎日が輝き始める。
三人の姥たちの、どうにも、厄介なキャラが、
最後には、愛おしくなる。
なんだかんだ言っても、幼馴染って、いいなぁと。 -
おはぎ長屋に暮らす幼馴染の3人の婆達が、喋れない少女を預かる事になり、てんやわんやする話。
決して悪い意味ではなく、とにかく婆達がうるさい。三者三様ああ言えばこう言う。後半の胸糞悪い真実も婆殿達のお陰ですっきり読了。
西條奈加さんの作品に出てくる口の達者な人生の先輩方、好きだな。 -
初めて読む作家さん。
お麓の元に幼馴染のお修と
三人の婆殿が集まればかしましく日常が過ぎていく。
最初は、決して悪い人ではないのだが何だか感情移入できない三人でしたが、長屋に持ち込まれた事件を通じて三人の背景がわかり、また事件の真相も明確になりはじめて、面白くなってきました。
けれど、事件の結末は、個人的にはうーんという感じでした。
物語の結末は、婆殿三人、このまま元気にすごして欲しい。
正直、あらすじから想像していた物語とは違ってました。斜め上をいく婆殿たち。 -
名手の書役として暮らすお麓の閑居へ、幼馴染の
お菅とお修が転がり込んできた。お麓は安穏の
余生を送ろうとしていたが、ある日、お菅が空地で
倒れた女と声が出せない少女を見つけてきて…。 -
老後を静かにのんびり暮らすのも良いけれど
ケンカしながら女同士で過ごすのも賑やかで楽しいよね!
最後、バタバタバターっと片付いた感はあったけど…
お萩に会いにいくのかな??
この3人の珍道中…読んでみたい -
なのにいまになって、幼馴染という大きな綿埃がふたつもくっついて、さらにそこに、赤い【糸屑】が二本絡まった。細くて短い糸なのに、意外にも頑固に絡まっている。