白眼子 (希望コミックス (343))

著者 :
  • 潮出版社
3.70
  • (24)
  • (17)
  • (45)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 192
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・マンガ (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784267903588

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 全盲の白眼子と呼ばれる男には不思議な力があり、姉の加代が自分の愛人且つ白眼子のパトロンを見つけ、新聞に細々とだが広告を出し、千里眼の様な力で人の生死を視たり、死んだ人の本当の望みを残された家族に伝えたりしている…前半は戦災孤児の光子はこの家に貰われて来て、捨てられた子供の心細い目線から、白眼子の挙動を見ている様で描かれ、白眼子の力の噂が人を呼び、美津子の従姉妹に彼女が生き別れになった子供である事が判明し、祖母に引き取られ、光子は白眼子の家の子供ではなくなってしまう。不細工で不器用で取り得なしと思い込んでいた光子だが、一目惚れの相手と結婚し子供を設け、月並みだが人並みの生きる場所を得る。
    自分の力に対してあるがままにしか受け止めていなかった白眼子と言う男の欲のなさに心が揺さぶられる。彼が人間の中で唯一「見えていた(ぼんやりと光の輪郭として見えている。彼には動植物と光子だけがそうして見えていたと最後に語る場面がある)」光子と彼の繋がりに答えは出ていないが、音もなく佇む植物の様な彼の生が心に響く作品。

  • 超能力(霊能力)を持つ男「白眼子」とその家族の物語を戦後の北海道を舞台に描く。大好きな作品です。

    山岸先生の描く霊能者といえば「日出処の天子」の厩戸王子。厳しく先鋭的で目的のためには殺人をも厭わない王子に対し白眼子のなんと謙虚なこと、、、、。処天からウン十年。山岸先生はほかにも霊能者をたくさん描いておられますが、先生のたどり着いたひとつの終着点が「白眼子」なのかな、と思いました。

  • 頃は昭和。
    市場に来ていた少女が親戚とはぐれてしまい一人凍えている。
    そこを助けてくれた一人の男性。
    それが「白眼子」だった。

    少女は「光子」と名づけられ、白眼子とその姉に育てられることになる。
    「白眼子」という男性は目が見えない。
    だけど不思議な力をもっていた。
    それは死者の声を生者に聞かせられるという力だった。

    この白眼子という方、北海道に実在した人物のようで、こんな方が本当にいらしたなんて不思議な気がしました。

    この本には「雨の訪問者」という作品も収録されていますが、どちらも山岸凉子さんの作品にしてはほのぼのしてます。

  • 白眼子・雨の訪問者

  • 色々怖いお話が多い山岸涼子作品の中で非常に優しい話。白眼子の言う、人の幸・不幸はみな等しく同じ量、という台詞は私の人生哲学の一つである。ともに収録されている雨の訪問者は妙に飯が美味そう。読んだ後やたらと目玉焼きを四角くしてみたり、ストロベリーのパイを買ったりした。

  • 幸と不幸の量はみな同じ、という言葉に、はじめは違和感を覚えたが宿命を除けばそうなのかもしれないと思った。完全に納得はしてないけど。幸か不幸かの価値基準は自分の価値観とは違う。だから同じではないと思っているだけなのかも。

  • 今まで読んだ彼女の作の中では、かなり「まっとうな感じ」である。
    「魔ポイント」が現実的なのだ。ヘタな自己啓発書を読むより断然いい。

  • 短編が2編収録されてる中の「白眼子」が印象的で記憶に残った。

    昭和21年。
    戦災孤児の少女が、目が見えないけれど運命観相を仕事にする男に引き取られて育っていくお話。

  • 素晴らしい。今でもこういう人が、どこかにいるんじゃないかと思う。山岸さんはよく、実際にあった出来事を元に新しい見地で作品をお描きになっているけれど、もしかして、この話にもモデルの方がいらっしゃるのかな、と気になる。

  • 号泣した記憶しか無い。

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

山岸凉子(やまぎし・りょうこ)
1947年北海道生まれ。69年デビュー後に上京。作品は、東西の神話、バレエ、ホラーなど幅広く、代表作に「アラベスク」「日出処の天子」「テレプシコーラ/舞姫」など。

「2021年 『楠勝平コレクション 山岸凉子と読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山岸凉子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×