ナレッジワーカー (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS)
- ランダムハウス講談社 (2006年4月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784270001226
作品紹介・あらすじ
知識労働者はどんな職場を望んでいるのか?クリエーター・研究者・医師・コンサルタント…頭脳をエンジンにビジネスをするナレッジワーカーの実態を描く。
感想・レビュー・書評
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"知識労総者を定義づけ、分類し、特徴をあげて、アカデミックに今後の企業が抱える課題の一部をあぶりだした本たといえる。
論文。"詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ナレッジワーカーのパフォーマンスをどうやったら上げられるかがテーマの本。
ナレッジワーカーで構成される組織のパフォーマンスをどうしたら上げれるかを示しており、ナレッジワーカー個人に向けてというよりはマネジメント向けの本。 -
ナレッジワーカーは思考力が生活の手段。
コミットメントが重要。
自律性を重んじる。
ナレッジの創造、配信、応用。
集中、オフィスでの仕事、交流、協働。 -
【目的】
・ドラッカーの本の中に出てきた、知識労働者(ナレッジワーカー)についての成果測定方法などの記述がありそうであったため。
【読んだきっかけ】
図書館にて発見
【得られたもの】
・ナレッジワーカー=自分
が指図されるのが本能的に嫌に感じることについての一つの理由が得られた。
・効果的なツールの提供方法について
⇒押し付けではダメ
参加型で、ツール、テンプレートといった形式で
ナレッジワーカーに共通する属性
・ナレッジワーカーは自立を好む
・第一の特徴は、指図を嫌うことだ。
頭脳労働で報酬を得るには、自力で考えなければならない。
つまりナレッジワーカーはその教育、経験、専門能力によって報酬を得ているのだから、
その知的領土に他人が踏み込んでくるのを許せないのは当然である。
⇒EXプランが無意識的に導入コンサルに敬遠される理由はここにあるような気がする。
自分の場合も、とにかく予め自分の業務領域が他の何かによって決められていて、その決められた枠内での仕事をやれと命じられるんじゃないか?という危惧を感じていた。
⇒実際は必ずしもそうではないし、自ら参加しより良い形に変えていくという意思を持つことで自分自身のモチベーションとした。
・知識集約度の高いプロセスでは、具体的なステップや流れを明らかにすることは、ほかの業務より価値がないうえに難しい
・観察するだけで多くのことがわかる
・ナレッジワーカーの行動には、多くの場合もっともな理由がある
・コミットメントが重要
・ナレッジワーカーは自分の知識の価値を重んじ、簡単には提供しない
⇒?
ナレッジワーカーのパフォーマンスをどのように測定するか?
⇒同僚同士の評価
大切なのは、単位あたりの時間と費用で質の高いアウトプットを生ませること
アウトプットの測定
生み出された知識の量
その知識に基づく決定と行動の室
その知識が与えた影響(第三者の評価)
例
コンサルティング会社では、コンサルタントはプロジェクトの内容と要求できる対価という基準によって評価されるのがふつうだが、それ以前に、そのコンサルタント自身が所属企業にもたらす知識と、それが顧客に与える影響によって評価されている。
まずい管理
・トップダウンのリエンジニアリング
⇒ナレッジワーカーに指図してはいけない
【教訓】
ほとんどのナレッジワーカーは、新たなプロセスに従わなければならないのなら、少なくとも
自分たちが設計や再設計に参加できたという意識が必要なのだ。しかし、同じプロセスに多くのナレッジワーカーがかかわっている場合、これは事業遂行上難しい。このような状況では、全員参加ではなく代議制民主主義のようなスタイルが現実的な方策かもしれない。敬意を払う同僚がかかわって決めたことならとナレッジワーカーに思わせることができれば、彼らの協力を得られるかもしれない。
⇒仕事を進める上で「納得性」が重要な理由。すべてのタスクにおいて広く参加者をつのり、自律的に物事がすすむように誘導する必要がある。
・マニュアル
マニュアルを読むのでは、担当者は自分の能力や想像力をフルに発揮する気にならない。これでは未熟な担当者の応対技量をある程度まで伸ばすことはできても、グループ全体のパフォーマンスを高いレベルに引き上げることはできないだろう。業務に必要な知識とスキルのレベルが高ければ高いほど、マニュアルが役に立つ確立は低くなる。
マニュアルにはそれなりの価値があるし、これについては、知識労働のプロセスを改善する有効な方法として、何度か本書で触れるつもりである。それにしても、やはりマニュアルは最大公約数的な手法なので、ナレッジワーカーのアウトプット改善を真剣に考えるなら、使わないほうがよい。
⇒自社にてタスクや、導入方法の効率化を考える時に頭に置いたほうが良いポイント
⇒熟練度の低いナレッジワーカーにはよいかもしれないが、複雑な統合プロセスでは役に立たない
コンピューターは使いようによっては知識労働の改善に役立つが、型にはまらない業務や高度な協働を必要とする業務には使えない。
ナレッジワーカーに対する情報共有の有効な手段
アーンスト アンド ヤングの例
文書の場合なら、「ツールとテンプレート」を使う方法がある。これならば、ナレッジワーカーにプロセスフローや詳細な方法論を頭から押し付ける代わりに、業務の進め方の例や見本を示すことができる。
一例をあげよう。ある日私の机の上に置いてあった「マネジメント・コンサルティング・プロセス」と題された大きなバインダーの問題についてはすでに述べた(ダメな例)。そこにはプロセスのすべてのステップについて、鮮やかな四色のダイアグラム付きでごていねいな解説が施されていた。私の目には、それはあまりにも硬直的で定型化が過ぎるように見えたし、敬意を払っている同僚が誰もその作成に参加していなかったので無視することにした。
ところが、この同じ企業(アーンスト アンド ヤングだが)が学習したのだ。私は退職直前に、同社の最初の「パワーパック」開発に参加していた。パワーパックとは、クライアントの発注管理プロセス改善プロジェクトを提案するためのツールキットで、クライアントに対する提案のスピードを速めることが目的だった。それから一〇年ほど経って同社のウェブサイトを覗いてみると、パワーパックはなお活躍中とのことで、以下のように説明されていた。
それ[パワーパック]は優れた提案、プレゼンテーション、競合情報、モデル、専門ツール、 その他多くの関連ビジネス資源をひとつにまとめたものです。いい換えれば、パワーパック には、アーンスト アンド ヤングが提供する「ベスト・オブ・ベスト」の情報が盛り込ま れており、弊社の社員はいつでもそれをコンピューター上で入手できます。
私の在籍中は、パワーパックはバインダーかCDの形でしか存在しなかったが、非常に重宝されていた。コンサルタントはここから、業務を成功に導き高い生産性を維持するために必要なすべてのツールを入手できたが、資料の使い方については特に説明がなかった。コンサルタントをロボット扱いしないという配慮だった。個々のパワーパックは具体的な顧客の問題を扱っていたので、使い勝手はよかった。