- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784284101257
作品紹介・あらすじ
「戦後教育論」「道徳教育論」「学校・教師論」という3つの観点から戦後教育の歴史と現在を検証。「二項対立図式」に支配された「思考停止」の戦後教育を超えて、あるべき教育のかたちを提示する。
感想・レビュー・書評
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貝塚さんの主張はどの本でも一貫している。「修身教育を批判する人・肯定する人のほとんどは修身教育についての文献を読んでいない。」「文献をあたってみれば、修身科が現在の道徳のように機能していない(未履修や修身の時間に違うことをしていた)ということがある」、「GHQも日本の修身科を肯定的に評価しているにもかかわらず、日本側が修身科を厳しく批判したのだ」ということだ。一貫しているため、貝塚さんの本をどれか1つ読めばその要主も捉えることができるだろう。
本書は上記に加えさらに、教育問題の「二項対立」の批判を行っているのが特徴だ。
気になったのは次の文章。
・「道徳性をどう評価するのか」という問題は確かに難しい課題である。しかし、(中略)これは算数でも国語でも同じことだ。(中略)難しいのは当たり前ではないか。「評価が難しい」から「徳育の教科化」はできないという反対論は、「ためにする批判」であり、「思考停止」の態度が見え隠れする。「徳育の教科化」を批判するのは簡単である。では、(中略)反対論者に「徳育の教科化」に代わる「妙案」はあるのか。少なくとも筆者は、(中略)批判する側からの説得力のある「妙案」を聞いたことはない。(p.156)
・(修身科の反省を踏まえているので)人間としての生き方の形式として「型」を教えることを神経質なまでに避け、まずは、子どもに「感動」を与えることが重要であるという昨今の状況は、こうした「いびつ」な状態の延長線上にあるといえよう。しかも深刻なことは、こうした状況が結局は子ども達の「道理の感覚」を鈍らせることに、ほとんど注意が払われていないことである。(p.152)
(まっちー)詳細をみるコメント0件をすべて表示