MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296100071

感想・レビュー・書評

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  • 自動車関連の仕事をしており、MaaS(Mobility as a Service)と言う言葉を聞かない日がない昨今、課題意識を持って、本書を読了。

    ★何に気づき・何を学んだか?

    1. MaaSの概念

    本書ではMaaSの概念を下記の通り定義。
    改めて言語化してもらえたのはありがたい。

    「MaaSとはマイカーと言う魅力的な移動手段と同等か、それ以上に魅力的な交通サービスを提供し、持続可能な社会を構築していこうという全く新しい価値観やライフスタイルを創出していく概念」

    上記にある通り、MaaSの発展は移動手段の改善に留まらず、より住みやすい街・社会を構築し、新たなライフスタイルを提供することまでを包括する。

    2. モビリティプラットフォーマーの座を誰が勝ち取るかが重要

    MaaS等のことを考える際はUberや自動運転等のサービスを思い浮かべがちだが、重要なのはそれらの一つ一つのサービスではなく、そのサービスをまとめるプラットフォームである。

    「あそこに行きたい。」となった場合に、プラットフォーム(アプリ)に目的地を入力する。そして、そのプラットフォームが目的地に移動する場合の最適ルートを提示してくれる。その最適ルートの中に鉄道やバス、Uberなどのタクシー配車や自転車シェア、自動運転サービス等が含まれる。
    その全ての予約や支払いは全てそのプラットフォーム上で行われるので、キャッシュレスである。

    上記のようにモビリティーサービスを統括するプラットフォーマーが今後のMaaSが発展する上での最重要プレーヤーであり、誰もがこの座を狙っている。

    3. 結局は顧客のニーズをどのように満たすかを考え、サービスに落とし込むことが重要

    誰もがMaaSが発展することによる明確な未来を読めない状態ではあるが、大切なのはやはり顧客のニーズを満たすサービスを提供できるかどうか。

    これはどれだけ時代が進んでも、技術が進歩しても、ブレてはいけない部分。
    顧客のニーズを満たし、幸せにしたプレーヤーが生き残るはず。
    それに改めて気付かされた。

    私個人としては車の販売店が今後どのような役割を担っていくのかを考えながら、プレーヤーとしての生き残り戦略を模索していきたい。

  • ★MaaSとは経路検索ができて予約・決済までできる便利なアプリ、ではない。渋滞、事故、温暖化、駐車場だらけの都市、公共交通の乏しい地域、高齢者や障がい者の移動手段、住宅問題等々、マイカー依存社会の課題を解決し、まちをリ・デザインするものである。

  • MaaSのコンセプト・世界事情・技術動向・社会的インパクトが概括で分かる書籍(ただしコロナ前の景色)。MaaS先進国であるフィンランドの自治体やMaaSグローバルの取組みといった事例が豊富で興味深い。日本ではちJRを代表とする超一流の交通システムやトヨタ自動車を始めとした自動車メーカーを有しているが、車両がモノではなくサービスとして扱われる時代にどうゲームチェンジしていくかが楽しみである。

  • 面白いね。Maasの未来にワクワクした。
    旅行などあまり慣れていない土地に行くとき不便に感じていた。
    理想論ではなく、本当に実現してほしいと感じた。

  • MaaSとは、がわかりやすく説明されており、入門書としてぴったりと感じた

  • MaaSに対する各国での取り組み現状と各産業への影響が端的にまとめてある。2018年出版と少々古新聞であり、またコロナ禍の影響が反映されていない内容であるが、自分のような初学者にはわかりやすくためになった。

  • 目的Maasの基礎を把握し、現状と展望を自分なりにまとめる
    締切12/20

    MaaSの目的
    ◯あらゆるモビリティサービスの統合と、その最適化によって利用者や都市、交通の課題を解決する
    →マイカーの削減
    →車ではなくヒト中心のまちづくり

    MaaSによって実現されること
    ①移動のパーソナライズ化
    ②都市・交通の全体最適化
    ③ヒト中心のまちづくり

    日本は海外と比較してマイカーへの依存度が大きい。一家に一台マイカー所有というのが一般化しているため、渋滞や駐車場の乱立といった交通・都市課題が存在している。MaaSの実現によって人の移動がパーソナライズ化できればマイカーの所有は必要なくなり、様々な都市課題を解決することができる。さらに言えば、現在のクルマ中心の都市をヒト中心に作り変える機会となりうる。

    現在、日本では外出というのが減少しているがそれはクルマ偏重の社会により、徒歩圏内に魅力的な施設がないことが挙げられる。地方都市を歩いて楽しめるまちに作り替えることができれば、経済の活性化にもつながる。

    MaaSは交通の最適化を行うだけでなく、その先に様々な産業と連携してスマートシティを構築することにある。
    交通の最適化により移動することへのハードルを下げることができれば、不動産価値の変化や医療等の社会的サービスの提供方法の変化など、様々なものが変化する。

    ◯日本のMaaSの現状
    ・プラットフォーム
    ソフトバンクとトヨタのモネテクノロジーやJR東日本のコンソーシアムなど
    現在の日本のMaaSプラットフォームの候補はこのように交通事業者が中心となっているが、このまま進めば、交通全体の最適化ではなく、その交通事業者にとっての最適化が行われる可能性がある。ユーザ目線で考えても中立な立場のプラットフォーマーの出現が待たれる。

    今の日本では公共交通機関が発展しているのに対して、配車サービスや乗合タクシーのようなラストワンマイルを繋ぐサービスが欠けている。現在はタクシー業界の既得権益のおかげで海外資本の参入を防げているという現状があり、ここに日本のMaaSの勝機があると考えられる。日本のクルマ産業を軸にこのラストワンマイルをつなぐ新ビジネスが提供できれば、それをパッケージ化して海外に輸出することも可能だろう。

    ◯当社にいまできること
    プラットフォーマーになろうとするのは間違い。プラットフォーマーが出てきたときにそれにうまく参入することが求められる。

    鉄道会社がMaaSに参入するために解決しておくべき課題
    ・決済の簡略化→随時決済ではなくプラットフォームを中継して顧客からお金を回収するシステム
    →改札の省略→GPSによる移動履歴の追跡

    ・駅周辺へのラストワンマイルを担う交通事業者の乗り入れ
    →車が駅にアクセスしやすく、駅から人をピッキングしやすい駅構造への変革

    ・営業制度の簡略化
    サブスクが始まったときに他社との利益分配を行うためには営業制度を簡略化し、乗った距離に応じて料金を徴収するシステムに一本化した方がいいのでは?
    現在の大都市近郊区間や特定都区市内制度は平均的な顧客のための制度であり、一人一人に応じたサービスであるMaaSとの親和性は低い。

  • MaaSについての本。

    MaaSはサービスのひとつであるので、
    当然、その地域の人間のwant,tobeが絡んでくるはずである。
    当書では、シームレスな移動、決済など「便利になること」が多数書かれていた。それはそれで素晴らしいことですが、結局、目的のレイヤーが低いまま終わってしまった印象があります。
    MaaSの達成の先に何を睨むのかが不明でした。

    あるいは、素晴らしい移動手段があったとしても、移動したくなるような街でなければそれは意味がないのでは?と地方都市の現状を聞いて感じた。
    MaaSですら駆け出しの状況の今、最終的にスマートでセクシーな街になる日はかなり遠そうであると認識した。

    私のようなコンサルトにとっては、モノのサービス化の目的を改めて考えることができたので、本としては素晴らしいものであると認識している。

  • MaaSの基礎的な知識が網羅されている良書。
    さらに、今後の各産業への影響、著者らのアイディアも記載があり勉強になる。

    個人的に、自動運転が普及した後のメンテナンスの大切さに触れている点が印象に残った。高度な技術を搭載した車が増えるほど、整備の難易度は上がり、人材の確保が難しくなる。
    現状、車の整備は人気のある業界ではないので、今後確実にMaaS進展のネックになるだろう。
    だからこそ、メンテナンス関連は人手不足解消に躍起になっているし、知識を持った人が重宝される。

    IT関連が花形になってきて久しいが、これからは“自己研鑽に励むブルーカラー”の市場価値が高騰するのでは?と考えている。

  • 持続可能な社会を維持/構築するために何を再定義していくか、いま自動車産業に携わる中で大きなヒントを得られた。「社会問題を解決する」ことを深掘りする先に大きなチャンスが訪れる可能性が高い。

著者プロフィール

MaaS Tech Japan 代表取締役2005年、鉄道会社に入社。ICTを活用したスマートフォンアプリの開発や公共交通連携プロジェクト、モビリティ戦略策定などの業務に従事。14年、東京大学学際情報学府博士課程において、日本版MaaSの社会実装に向けて国内外の調査や実証実験の実施により、MaaSの社会実装に資する提言をまとめる。現在は、MaaS Tech Japanを立ち上げ、MaaSプラットフォーム事業などを行う。国内外のMaaSプレーヤーと積極的に交流し、日本国内での価値あるMaaSの実現を目指す

「2020年 『Beyond MaaS』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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