ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか

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  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296106721

作品紹介・あらすじ

【全編コロナ後、書き下ろし!「ワークマン初のビジネス書」誕生】
作業服専門店がアウトドアショップに転身!?
商品を全く変えず、売り方を変えただけで2倍売れた、
「アパレル史上に残る革命」の舞台裏を渾身ルポ!

消費増税も、新型コロナ禍も、全く揺るがぬ右肩成長。
ワークマンはなぜ、強いのか。その強さは、本物か。
ビジネスモデルのすべてに迫ったノンフィクションの決定版が登場。

●新業態「ワークマンプラス」は、なぜ生まれたのか?
●「ワークマンを変えた男」とは?
●実は「データ経営」企業だった!
●販促費を全くかけずに売り切る秘策!?
●まだまだある「第2、第3のワークマンプラス」

初出し情報多数。
国内店舗数でもコスパでも「ユニクロ超え」を果たしたワークマン、
大躍進のカラクリを仕掛け人が独占激白!

感想・レビュー・書評

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  • 図書館リサイクルでもらった本。

    ワークマンは歩いていけるくらいの場所にある。
    しかし利用するのは仕事着やインナーくらい。どうにも普段着を買うのは憚られる…。という思いがあった。

    オシャレなんて何にもわからないけれど、ワークマンで普段着を買ったら何か…と思ってしまう。
    現在は、それがワークマン女子とかでイメージも変わってきている。
    テレビや雑誌でもよく見かける。
    そんなイメージを払拭したワークマンのお話。

    あとがきでも書かれていたように、短編小説のように読める作品になっている。

    ワークマンの取り組みや考え方は面白くて、また利用したくなってくる。
    さて、買おうか迷っていたMA1を買ってこようかな。

  • この本を読んでまず思ったのがワークマン行ってみたい‼️ワークマン最近人気あるんだよってなんとなく回りで聞いたことがあったが、そりゃそうだよなと納得しました。いろんな企業の歴史があるなかでワークマンは新たな一人の人材によって新たなワークマンを作り上げたリーダーシップがとても印象に残った❗同じ店舗で看板を替えて二つのお店として営業してみたり、お店の雰囲気を変えて商品はそのままといった売り方などはとても参考になった❗あとは商品や自社を知ってもらうための取り組みもここまでやるのかというところが大いにあった。私自身ワークマンのファッションショーすごい好きです⤴️ひとつのムーブメントを起こすのにそれぞれが与えられた役割を愚直に進めていることがワークマンの企業の強さなんだと思う❗

  • 本当に良い本。ワークマンの成長を物語としても、マーケティングの教科書としても読むこともできる。優れた経営者はきちんと現場を見て、戦略を立てている。商品が変わらなくても、コンセプト、ストーリーを持たせることで、特定の顧客をつかめるということを学べた。

  • 勢いのあるワークマンの潜入ルポ!
    コロナでも売上を伸ばしたのは、職人を支えている「社会インフラ」なので、単純にユニクロとかとは比較できないと思いました。
    ワークマンプラスとは、見せ方を変えただけ!でとてつもないヒット!
    この発想はBtoCだと当てはまるだろうか?おもしろい!
    あと、善意型サプライチェーンという方法も初めて知った。
    しかし何よりすごいのは、価格軸に機能軸を追加してポジショニングしたところ。
    世の中にある、「ライバルが多い、ありふれたサービス」、は自社だけの強み・特色を見つけてポジショニングをする必要があり、他と戦ってはいけないです。価格で勝負できるのは大手だけです。
    そのような「発想を出す場、脳に汗かく場」が中小企業には本当に欠如していると思います。そのようなサービスにもっともっと磨きをかけ、自社を成長させたいです!

    ↓備忘メモ

    2020年5月末で869店舗(うちプラスは175店舗)、95%FC、継続率は99%
    コロナ禍でも、1月~3月は前年比2桁、4月5%増、5月20%増
    ☆ワークマンは社会インフラ(職人を支えている、という決断)

    ワークマンプラスは、1700アイテムのうち、アウトドア、スポーツに絞って320アイテムを切り出しただけ
    商品を変えずに見せ方を変えて2倍売れた
    ☆アウトドアショップ風に見せた
    今後は女性向け店舗、ワークマンシューズ等を考案

    価格軸に、機能軸を加えてブルー・オーシャンを発見
    ☆「低価格で高機能」
    とにかく競争しない
    まず先に売価を決める
    機能や品質でトップメーカーにはかなわないが、トップメーカーの商品はいらない機能までついている

    ☆善意型サプライチェーン メーカーが生産した分はすべてワークマンが買い取る。
    無条件で買い取るからこそ、メーカーは責任を感じて、ワークマンの立場に立って最善の納品をしてくれる

    ブロガーやユーチューバーによる製品開発アンバサダー
    芸能人は一切起用しない、ワークマンをどれだけ愛しているか

    SASUKEファッションショー

    日本みたいに狭い国ではクリック&コレクトがメインでもいい
    注文はネット、受け取りは店舗
    それだけの店舗網がある

  • ワークマン。
    吉幾三さんのCMでしか知らなかったが去年初めて友達とワークマンプラスに行ってからいろいろお世話になっている。特にレインウェアは秋頃のツーリングウェアとしても活躍中。
    作業服というコアコンピタンスが元々あって、時代がワークマンに追いついた感じもあるのかもしれない。

    以下、印象的なシーン
    ・システムは構想1年、作って1年、使って6年
    →この構想1年がいかに重要かがわかる

    ・最初はスモールスタート。100個作って80個使わないよりは10個作って10個出した方が安い。
    →まさしく、まずは作って使ってもらう。これ大事だよなぁ。最初から100点は目指さない。

    ・トライアンドエラーで10年、20年かけてちゃんとしたものを作る。そのかわり、最終的には完璧なものを作って業界ナンバーワンを目指す。
    →会社が許してくれるかどうかわからないけどこういう進め方を仕事でもしたい。

    ・ジャストインタイムではなく、買取型で勝負
    国内メーカー(自主納品)➡︎ワークマン本部(全量買取して自主納品)➡︎加盟店(全量買取)
    情報優位者が納品数を決める
    →これ、他のモノを扱っている会社でもできるのかなぁとか思ったりした。例えば食品とか、、、

    ・社内には作業服の専門家は大勢いたが、バイク用品、キャンプ用品に精通している者は皆無だった。
    →さすがにバイクやキャンプを趣味としてる人はいる気がする笑実はそういう一部の人たちはワークマンの商品をそもそも使ってたりして

    ・クリック&コレクト:通販サイトで商品を選んで購入し、店頭で受け取る仕組み
    →これ本でやって欲しい!Amazonちょいちょい在庫ないからなぁ。すでにどこかの書店がこの仕組みを使ってるとかあるんだろうか。誰か教えてください。

    ・ネットで選んで店で買う戦法でamazonに立ち向かおうとしている
    →応援します。でもこれができるのはある意味作業服に特化しているからだろうな。なんでも売り出したらきっとできない。そういう意味でも狭く深くはやっぱり大事だなぁ

    ・短期で一喜一憂するのではなく、時間をかけてもいい仕事をすれば良い。頑張る代わりに何かを捨てよう。
    →目まぐるしく変わる社会の中で良い意味でマイペースに仕事したい。

  • 昔からワークマンの存在は知っていたがここ3年の株価の急上昇は何なのか?そんな疑問を持っていた中、ワークマンが出していたペットボトル真空保冷容器が気になり、ワークマンへ足を運んでみたが売り切れていた。ロンブーの淳がワークマンをベタ褒めしていた。テレビで店の看板を時間帯で変える報道を見た。
    色々な断片的な情報しかなく、悶々としていた中、この本の存在を知り、読んでみたくなった。
    この本を読んでワークマンは急成長すべくしてしていることが分かった。
    ・飽和状態に見えるアパレルにおいて独自のポジショニングを見つけたブルーオーシャン戦略。
    ・原価率65%による高品質、低価格な商品ラインナップ。
    ・独自のオートメーション在庫管理システムにより地域によって差をつけながら自動的に発注できる。
    ABテストによる市場マーケティング。
    ・タレントを起用せず、本当にワークマン商品が好きなアンバサダーと協同した広報戦略。
    ・FCの経営者を厳選すること。片手間、副業は許さない。

    こういった戦略により、ワークマンは地域密着型の地元業者の良さとマニュアルなど効率化された大手企業の良さが融合された他に真似できない経営をすることで急成長を遂げているのだと思う。
    ワークマンの要素は自分の会社でも取り入れられるものがあるのではないか考えてみる必要がある。

  • 商品を変えるのではなく、販売手法を変えて大きな成功をおさめている。
    新しい取り組みにも積極的にチャレンジすることでより大きな成果がついてくる。
    固定観念がいかに良くないことなのかが再認識させられる内容でした。

  • 【本書の概要】
    ワークマンはコロナ禍においても前年比2倍を達成した。それは新しい商品やコンセプトを開発したからではなく、既存の商品の見せ方を変えたことで達成したのだ。
    好調な経営の根底にはデータをもとにした戦略がある。在庫管理、店舗運営の徹底的なマニュアル化、商品開発など、戦略に必要とされるデータは全て「エクセル」によるものであり、しかも「全社員」がそれを扱うことが出来る。
    ワークマンはやることとやらないことを明確に峻別する。会社、加盟店、取引先、顧客との信頼関係のもと、全てのステークホルダーが「良し」とする経営を行ったことが、ワークマン躍進の要因である。

    【詳細】
    ①客層拡大とデータ経営への方向転換
    ワークマンはもともと、店の標準化が日本一進んでいると言えるほどのマニュアル経営を行っていた。過去のワークマンは超効率経営を重んじており、在庫リスクとなる自社商品の開発を行わず、納品された作業服をただ売るだけの店であった。そこにメスを入れたのが、ワークマンプラスの立ち上げ人である土屋氏である。
    土屋氏は、「客層拡大」と「データ経営」をビジョンの中に取り込み、新しい世界に打って出ることを決意する。
    まずは「客層拡大」として、カジュアルブランドのコンセプトストア、「ワークマン+」の構想を描く。
    ワークマン+実現にあたって壁となったのが、アパレル業界の競争の激しさである。低価格はユニクロが、高価格とデザインは各種ブランドが徹底的にポジションを抑えており、従来の軸では勝負にならない。そこで、ワークマンのお家芸である「機能性」を取り込み、デザイン⇔機能性、高価格⇔低価格という軸で他社とのポジショニングを行ったところ、機能性×低価格というブランドがすっぽり抜け落ちていることに気づく。ここに商機ありと見た。
    新規の商品は開発せず、既存の商品の見せ方を変えた。機能性を前面に打ち出し、店のBGMや内装、マネキンの見せ方をアパレルショップのように刷新した、「ワークマンプラス」をららぽーと立川にオープンすると、瞬く間に長蛇の列となる。1店舗目が行ければ2店舗目も行けると見込んで、どんどんロードサイドに出店して行った。

    同様に、ワークマン躍進の原動力となったのが「データ経営」である。
    ワークマンのデータ活用の原則は「浅く広く」だ。データサイエンティストを雇わず、全社員が業務に必要な最小限のエクセルの使い方を学ぶ。そして毎年データ分析講習を受けさせ、社内を少しずつ「エクセルをできる人」で埋めていく。
    「DXやビッグデータなど、バズワードに目を奪われてはいけない」と土屋氏は語る。地域ごとに売れ行きが異なるワークマンに必要なのは、各店舗における売れ行き商品や駐車場の回転率、来店者の特徴などの「草の根的データ」だ。そこには大規模なデータ分析は必要なく、関数とピポットテーブルだけで事足りる。
    そんなワークマンも一度はAIを導入しようとしたが、取りやめた。AIは答えを簡単に出せるが、思考の過程が見えづらく、社員が自分で考える能力を養うことにならない。大切なのは自分で考える癖をつけることであり、社員一人一人が気軽にデジタルツールを使えることである。
    今までは勘と経験で動いていたワークマンが、急速に変わり始めた。組織の上から下までがデータマンになったのだ。
    その結果、ボタン一つで需要に見合った商品が自動で全て届くというシステムが生まれた。このアルゴリズムもエクセルで作られている。

    ②「見せ方を変えるだけ」という戦略
    前述のとおり、ワークマンとワークマンプラスが扱っている商品は同じであるが、時間帯によってBGMや照明やマネキンを切り替え、一つの店内に対して二つの見せ方をしている。
    何故かと言えば、ワークマンが大切にしているのは、「ヒット後に今までのお得意様(職人たち)が離れて行かないか」であるからだ。大きな商品の変更無く新しい客を呼び込み、かつ今までのお得意様を離さないために、来店客パターンの変化に合わせて店内の雰囲気を2パターンにしているのだ。
    そんなワークマンは、新業態への進出も「見せ方を変えるだけ」戦略を取ろうとしている。
    ワークマンはAmazonやユニクロと同じ土俵で勝負しないことを宣言している。ユニクロがアウトドアに舵を切り始めたら即撤退を考えており、ワークマンレディースやワークマンレインなど、女性向け衣料、防水衣料を店舗化し差別化することを考えている。
    というのも、女性向けや防水衣服は既にワークマンの人気商品となっているため、これを取り出して新店舗として売り出すだけなら、新業態に打って出るコストはかからない。ここでもワークマンは「見せ方を変え」、生き残りを図っているのだ。

    ③ワークマンの哲学~変えたものと変えなかったもの~
    ワークマンがここまで成功を収めたのは、変えるもの、変えないものを明確に峻別して改革を行ったからだ。

    〇変えたこと
    ・在庫リスクを取った。自社開発をしてPBを売り出した。システム至上主義から、商品力至上主義に生まれ変わった。
    ・前例踏襲から、データをもとになんでも変える主義に切り替えた。
    ・行ったことは、どれだけかかっても必ずやるという凄みを見せ、組織の末端まで改革意識を浸透させた。
    ・頑張る代わりに何かを捨てるというトレードオフ経営を行った。

    〇変えなかったこと
    ・徹底的な標準化経営。売り場は100坪で、品ぞろえも店内業務もマニュアル化する。値下げはせず、価格は分かりやすく5パターンのみとした。
    ・ローコスト経営。売り上げに占める家賃を3%にし、販管費を抑制した。
    ・やらないことが決まっている経営をする。海外展開をしていない。
    ・ステークホルダーを大切にする。フランチャイズの店長に積極的に報酬を与える。また、ワークマン+がヒットしても、今までのお得意様である職人の期待は裏切らないように、作業服を売り続けた。

    年30%成長を続けるワークマンには、明確な哲学がある。それは「しない会社」であり続けるということだ。
    無理しない。ノルマを作らない。残業するぐらいなら製品を売らなくていい。他社と競争しない。値引きをしない。デザインを変えない。取引先を変えない。社内行事をしない。幹部は思いつきでアイデアを口にしない。
    加盟店にしても、無理せず収入がどんどん入って来るほうが好ましい。社員にしても、無理なノルマなく自由に提案をできるほうがいい。社員、加盟店、取引先、顧客すべてと信頼関係を結び、「四方よし」とするのがワークマンの哲学である。


    【感想】
    以前ニュースサイトで読んだ「ワークマン、脅威のエクセル経営の全貌」という記事に心惹かれ、この本を手に取ってみたが、やはりワークマンは凄いということが身に染みた。ワークマンは世界的トレンドであるDXやAIには目を向けずに自分の進むべき道を行く。先駆者がいないどころか後ろからついてくるライバルもいない。

    「DXなんか言ってるようでは、こうした変革はムリです」

    土屋の語る言葉には、凡人達だけでデータ経営を成し遂げた者が放つ凄みを感じられる。ワークマンは40年もの間、地域の職人達相手に現場目線で作業服を売ってきた地場商店だ。

    「経営の方向性が明確ではないまま、いきなり外部のデータサイエンティストに分析を頼んでも、「『アパレル業界の特性みたいな誰も知っていることだけが証明される』」。

    地域密着のプロフェッショナルであるワークマンは、コンサルやデータサイエンティストに対して懐疑的である。そもそも、データ経営の目的は企業全体を効率化することなのだから、わざわざデータ専門の人間など雇わなくても、社員一人ひとりが成長すれば同じことだ。むしろ、一握りの優秀な社員を働かせ続けるよりも、みんなで少しずつデータの扱いが上手くなれば、社員が働き過ぎないまま会社が成長し、ノウハウの引継ぎも容易であるということだ。いやはや、日本でこの考えを持ちながら、実現できている経営者が何人いるのか。お見事という他ない。

  • 開発部署にいるので、ワークマンには注目していますが、改めていろいろな取り組みや社風なんかを垣間見て、なんか本当ワークマンってすごいなぁという、頭悪い感想が出てきてしまうのですが(笑)
    これをマネしてもダメなんだろうけど、いろいろな本質を見極めてワークマンらしさを作っていっているんだなぁと。
    どうしたらこうなれるのか、、、
    すごいなぁと思いつつも圧倒されて絶望感すらも感じるw

  • なんとなく、ちょっと古い気がしました。

    個人でも企業でも、居場所を見つけることってやっぱり大切ですよね。

    会社としては、死活問題になること。居場所。

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著者プロフィール

会社員。“Who is Peer Reviewed? Comparing Publication Patterns of Peer-reviewed and Non-peer-reviewed Papers in Japanese Political Science,”(Scientometrics, Vol. 121, Issue 1,2019, pp. 65–80)、「戦後政治学の諸潮流──計量書誌学的分析一九四五~一九八九」(『政治思想研究』21号、2021年)、「多元主義からイデオロギー対立へ──大嶽秀夫の政治学とその変容」(『年報政治学』2016-Ⅰ号、2016年)など。

「2021年 『日本政治研究事始め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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