古典再入門: 「土佐日記」を入りぐちにして

著者 :
  • 笠間書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784305703262

作品紹介・あらすじ

この本から、古典の読み方が、変わる。
ひとつの文を完結した表現として分析し、
前後との関係に無頓着な
古典文法はリセット。
断片としての古文から、
文学作品としての古典への再入門。
文献学的アプローチによる表現解析から
土左日記を読みなおす。

感想・レビュー・書評

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  • 『土左日記』の前文を、きちんと見直していきましょうよ!という姿勢に自分の勉強に対する意識を変えられた一冊。

    女である私もしてみようと思って、という女性仮託説を一蹴。いや、一笑?
    最後には「『土左日記』の前文を例にして二種類の助動詞ナリの違いを生徒に教え込むことはやめてほしい」と仰る。痛い。。。

    数多の註釈人に喧嘩を売りまくる小松英雄氏、この人を敵には回したくないと思った。

    ルールブックに則れば間違いは起きないなんて怠惰はやめなさいよ!と鼓舞されてしまった。
    古文との向き合い方、論の詰め方、潰し方は更に参考になった。

    古典文学に携わる学生さんや若い人たちには是非、小松英雄氏に日本語感覚が狂っていると言われないように、熟読してほしい。

  •  「 土左日記を読みなおす」より前に書かれた本。重複はあるが、併せて読むと良い。古文鑑賞の心構えが丁寧に書かれている。基本的な文法学習を疎かにしてきたぼくには、これを読んだからといって他の古文もすらすら読めるようになるわけでもないが、それでもエキサイティングな本。
     こちらを先に読もうとしていたら、イントロ部でげんなりしてしまったかもしれない。国文学者の怠慢を罵倒しまくっているからだ。書店で立ち読みして、ここで書棚に戻してしまった人がいるとすれば、実に勿体ない話。著者の意図を汲みつつ、編集者がもう少しソフトな表現を勧めてくれていれば。
     

  • 非常にスリリングでおもしろい。このように知的興奮に溢れた授業をしたい。

  • をとこもすなる日記といふものををんなもしてみんとてするなり

    漢字(男文字)で書く日記を仮名(女文字)で書いてみる

    仮名表記の世界 墨の濃淡・文字のおおきさ・ことばのきれめ・変体仮名のつかいかた(藤原定家)

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著者プロフィール

出生 1929年、東京。
筑波大学名誉教授。文学博士。

著書
日本声調史論考(風間書房・1971)
国語史学基礎論(笠間書院・1973:増訂版 1986:簡装版 2006)
いろはうた—日本語史へのいざない(中公新書 558・1979:講談社学術文庫・2009)
日本語の世界7〔日本語の音韻〕(中央公論社・1981)
仮名文の原理(笠間書院・1988)
やまとうた—古今和歌集の言語ゲーム(講談社・1994)
仮名文の構文原理(笠間書院・1997:増補版 2003:増補版新装版 2012)
日本語書記史原論(笠間書院・1998:補訂版 2000:新装版 2006)
日本語はなぜ変化するか—母語としての日本語の歴史(笠間書院・1999:新装版 2013)
古典和歌解読—和歌表現はどのように深化したか(笠間書院・2000:増補版 2012)
日本語の歴史—青信号はなぜアオなのか(笠間書院・2001:新装版 2013)
みそひと文字の抒情詩—古今和歌集の和歌表現を解きほぐす(笠間書院・2004:新装版 2012)
古典再入門—『土左日記』を入りぐちにして(笠間書院・2006)
丁寧に読む古典(笠間書院・2008)
伊勢物語の表現を掘り起こす—《あづまくだり》の起承転結(笠間書院・2010)
平安古筆を読み解く—散らし書きの再発見(二玄社・2011)
日本語を動的にとらえる—ことばは使い手が進化させる(笠間書院・2014)
土左日記を読みなおす—屈折した表現の理解のために(笠間書院・2018)

解説執筆
小川剛生(おがわ・たけお 慶應義塾大学文学部教授)

「2020年 『新版 徒然草抜書 表現解析の方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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