ナチュラル・ウーマン

著者 :
  • 河出書房新社
3.50
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本棚登録 : 217
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309009322

作品紹介・あらすじ

私はこの小説を書いたことを誇りに思う-著者。《定本》映画化決定。'80年代に孤立した輝きを放った女流文学賞作家の畸型的傑作。

感想・レビュー・書評

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  • ものすごく好きな一冊になった。猫背の王子を思い出した。あの平手でめちゃめちゃ叩かれまくるような痛みを抱えて読み、読み終えての余韻は楽しんでいいのか迷った。

  • 女同士の恋愛を描いた連作短編。
    映画化もされているらしい。

    この本も昔から何度も読み返している。
    松浦作品では「セバスチャン」と並んで一番好きかもしれない。

    主人公の容子と、倦怠期に入りかけた今の恋人の夕紀子、ほのかに好意を寄せている友達の由梨子、そして、昔の恋人の花世…

    それぞれとの関係が丁寧に、醜く美しく描かれている。

    自分と他人とを隔てるものは何か…これがこの作品のテーマになっていると思う。
    女同士だから表現できたことなんだろうな。
    男女間なら、身体を使って繋がることができる。
    じゃあ、身体の繋がりを排除しても人は他人と繋がれるのか…

    難しいから、不器用に体を使って繋がろうとする姿が痛々しくて愛おしい。

    レズビアンものでアナルセックスやSMの描写もあるけど、本質っていうか伝えたいことは特別なことじゃないと思う。
    むしろ男女間にある無意識の安心感とか妥協がないから、生身の感情が伝わってくる。

    「私、あなたを抱きしめた時、生まれて初めて自分が女だと感じたの」
    タイトルのもととなったこの台詞。
    男の対としての女ではなく、純粋に女を感じることが出来たら幸せだよね。

    とにかく名作。
    恋愛を深く考えてみたい人、恋愛で挫折したことがある人にはぜひ読んでもらいたい。

  • 帯裏
    ・・・多出するVAOを使っての性描写は、単なる性を指し示すのではなくどうしようもなく女性的なものを浮かびあがらせる。つまりナチュラル・ウーマン、そのまま放っておけば母に易々なってしまうし、また母の庇護を受ける子にもなってしまう存在。ホモ・セクシャル=ナチュラル・ウーマンを別な言葉で置き換えるなら、いい女、というところか。日本文学という手ばなしの母性礼賛の土壌、さらに小さ神礼賛の土壌に、松浦理英子が突き出したナチュラル・ウーマンの意味は大きい。
    中上健次氏
    ☆第一回三島賞選評(「新潮」'88年7月号)より

    初出
    「いちばん長い午後」=「文藝」八五年五月号
    「微熱休暇」=「文藝」八五年十一月号
    「ナチュラル・ウーマン」=八七年二月・『ナチュラル・ウーマン』旧刊(トレヴィル)

  • 「私」と女性の茫漠とした日常が綴られている。同性との性的遊戯が読み進んでも気分があまり良くなれず、苦痛でもあった。

  • 12/10/11

  • 人を「愛する」とは、いかなる行為なのか。
    愛と性的欲望といかなる関係にあるのか。
    性器の挿入によって取り結ばれる幻想としての「愛」の神話。

    凄い小説と出会った。

  •  私は訊いた。
    「私が言い出すのをずっと待ってた?」
    「待ってたりはしなかったけど、あなたとやれることで残っているのは別れることだけだ、とわかってたわ。」
    (P.163)

  • 読んでて苦しいけど、読んでしまう。ただ激しいとかじゃない、複雑な心がそうさせるんだと思うと、なんとも言えない。

  • 本当に 好きな 話 最後の二人が。

  • この表紙ではなく、一番最初に出た分の本を持っているのですが、表紙の話からはじめるのもなんなのですが、あれ、とっても美しいです。中身ともあっているのであの表紙で刷って欲しかった。

    内容はというと
    互いに必要としていながらも、ねじれ、破綻し、くずれていく女二人の話。
    花世のもろさとか、愛されたいのに愛してもらえない、信じてもらえない、もどかしさ、主人公が花世を必要とし、思っているのに、理解してもらえない、ねじれていってしまう、でも互いが互いを必要としている。

    そういうねじれの話。切なく、涙の温度を感じる小説で、一番最初に読んだ松浦先生の作品です。

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著者プロフィール

1958年生まれ。78年「葬儀の日」で文學界新人賞を受賞しデビュー。著書に『親指Pの修業時代』(女流文学賞)、『犬身』(読売文学賞)、『奇貨』『最愛の子ども』(泉鏡花文学賞)など。

「2022年 『たけくらべ 現代語訳・樋口一葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松浦理英子の作品

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