- Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309019413
作品紹介・あらすじ
お前は、運命を信じるか?東京を仕事場にする天才スリ師。彼のターゲットはわかりやすい裕福者たち。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎-かつて一度だけ、仕事を共にしたことのある、闇社会に生きる男。木崎はある仕事を依頼してきた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。もし逃げれば…最近、お前が親しくしている子供を殺す」その瞬間、木崎は彼にとって、絶対的な運命の支配者となった。悪の快感に溺れた芥川賞作家が、圧倒的な緊迫感とディティールで描く、著者最高傑作にして驚愕の話題作。
感想・レビュー・書評
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山崎ナオコーラさんが好きだと、なにかのエッセイで書かれていた中村文則さんの作品。読むのは初めて。
「何もかも憂鬱な夜に」を読んでみたかったのだけど、図書館になかったので有名だというこちらの作品を手にとる。
ゆったりとした純文学とか、物語やキャラクターを通じて社会的なことを考えられる作品が好きなので、ハラハラするような小説は久々に読んだけど、とても面白かった。純粋に楽しめた。
他の作品も読もうと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「掏摸」という漢字はスリっぽくない。あまり見慣れないせいなのかもしれない。少なくとも私は書けないし、突然出てきたら多分読めない。
ねずみ小僧のようにお金持ちからしかスらないとい拘りは、読者を見方につける。 -
「すべてに満たされているのなら、小説は必要ない」
と、あとがきにあるように、
小説や物語でしか経験できないことがある。
掏摸にあったこともないし、あいたくもない、
そして、けっして、掏摸になりたいとも思わない。
「男の子」という名前のない登場人物が、
とても読んでいて辛かった。
あえて、名前を付けないことに、意味があるのだろう。
万引きは、ある意味病気の場合がある。
掏摸の場合は、どうなんだろう・・・ -
この作者の作品はどれも灰色なストーリーで、感動したりすることはあまり無いのだけれど、感情の底の方をえぐられる思いを味わいたくて読んでしまう。
読み始めた瞬間からハッピーエンドになる事は無いと分かっている。
醒めた感情と色の無い世界、諦めた思いで語られる物語。 -
ずっと読みたいと思っていたところ、最近著者の作品が映画化され始めたのを機会に読み始めた。ある天才掏摸師と巨悪とのやり取りであるが、掏摸くんだりでは抗う手段もなく、使うだけ使われて命も危うくなり、最後は何とか命を取り留めたのだろうか。起こっている事件の内容はほとんど分からず、命ずられるままに不可能とも思えるミッションをこなしていくところが見どころであった。続編があると聞くので、何とか反撃するところを見たいものだ。
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作中に何度も出てくる「塔」は何の象徴なんだろう?運命や権力など絶対的なものなのか?
最後にほんのわずかだけど「希望」のようなものが描かれているように感じられたのが良かった。 -
ダークな小説は好きではないし、読み進めながら嫌な気持ちになりながらも、やめることができなかった。
人物像を明らかにするよりも、動作を細かく描写することで伝わるものが緊張感を高める。本を読みながら、息をひそめてしまう。
裏社会の描写は現実にはわからないのでつまらない。親子のエピソードも余分に感じた。 -
流れる空気も最高にクールだし、どんどん進むストーリーもすげ〜面白かったんだけど、ラストの暴力的に理不尽な唐突さが嫌だった。読者に考えさせるラスト、ってのが俺は一番嫌いなんだよ!