菅原道真 見果てぬ夢

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 68
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309021652

作品紹介・あらすじ

抜きんでた才覚を見込まれ、儒者でありながら右大臣まで上りつめた道真。貴族たちのうごめく野心と、業平と高子らの恋の傍らで、政治家として奔走した劇的な生涯を描く本格歴史小説。

感想・レビュー・書評

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  • 2023.3 司馬遼

  • 道真の一生が分かる本。適時にルビがふってあるので戻って探さなくてもいいのでロスは少ないが人物が多いので時間をかけて読む。優雅な平安時代と勘違いしていたが派閥による格差がひどくて昔の人は心身共に身を削って職務にあたっていたのかと思う。

  • "なりひらくん"の「なりひらの恋」とは打って変わって、シリアスモードの天神様半生記。冒頭の辺りで15歳の道真と10歳の宣来子の幼い夫婦、微笑まし過ぎて『応天の門』がオーバーラップする。
    清和の異母兄で道真とタメの源能有がいい味を出していた。もう少し長生き、せめて宇多の譲位後に醍醐の内覧を時平とやってくれていれば、道真も楽だっただろうにな。
    良房と道真、基経と道真がサシで飲むシーンが要所要所にあって、時代の節目を効果的に浮かび上がらせる演出がニクい。

    結局のところ、道真って藤原北家の兄妹/姉妹争いに巻き込まれただけの感がある。名門貴族は下級官僚の人生なんか鼻にも引っ掛けないでやりたい放題って訳よ。熟女の高子に寄られ、胸の内で業平にすがってるしw。
    橘広相がイケメンで淑子がすり寄ったとか、胤子が基経の養女格で定省と結婚してたとかは、少しやり過ぎの感もあり。紀長谷雄が癒し系で救われたね。

  • 応天門事件における基経と道真の役割を作者が
    アレンジする事で物語に緊張感を増した
    後世の我々の視点ではなく同じ時間から見つめ
    ると、平城帝の子孫たちが藤原の世に不協和音
    をかき鳴らす様が想像できた
    彼等の物悲しい末路と巻き込まれた道真のアリ
    ジゴクに落ちていく様に苦しみを覚える
    良房・基経が政敵に太政大臣へ祀りあげられて
    無力化していく様が既視感があって面白い
    天皇の親子関係にうまく理由をつけて相克する
    関係に持ち込むのはサスガ

  • 菅原道真の名前は昔から知っていましたし、学問の神様として祀られていることも、遣唐使を廃止したことも知っていますが、この本を読むまでは、菅原道真のことを、よく知りませんでした。

    この本1冊で、すべてがわかったとは言えませんし、まだまだ知らないことばかりですが、菅原道真の人生に、少し触れることができた気がします。

  • 菅原道真といえば、学問の神様である天神様。そして、左遷されて怨霊になって人々を恐れさせた人。その両方の情報は知っているけれど、実際のところ、どんな人だったのかは知らない。

    「応天の門」「ノラガミ」百人一首の解説本と、ちょこちょこと入ってくる菅原道真の情報を、ちゃんと筋道立てて知りたいと思い、読んでみました。

    道真の一生を、淡々と描いている小説。
    道真公の視点から書かれているし、小説として脚色もされていると思われるので、本当のところはわからないけれど、ここに描かれた真面目で不器用で職務に対して真っ直ぐな道真の人物像に心打たれました。

    そうそう、道真だけではなく、在原業平像も描かれていたので、かなり得した気分です。

  • 初読。図書館。『菅原伝授手習鑑』でライバルとして描かれる藤原時平は26歳も年下だったんですね。なんとなく同世代かと思い込んでました。そのへんの確執もさらりと触れられてるだけでした。メインは高子と淑子の姉妹の張り合いにまきこまれる孤独な道真というところでしょうか。業平との友情も描かれ、この二人仲良しさんだったのねえ。特に心揺さぶられることもなく、史実の確認というところでした。

  • 『なりひらの恋』が面白かったのでこちらも…と思いましたが、文体がふつー(笑)で、権力争いばかりの描写にウンザリ、挫折(._.) 『なりひらの恋』では、オチャメサンだったのにな、道真さん。

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著者プロフィール

(みた・まさひろ)小説家、武蔵野大学名誉教授。1948年生まれ。1977年、「僕って何」で芥川賞受賞。主な作品に、『いちご同盟』、『釈迦と維摩 小説維摩経』『桓武天皇 平安の覇王』、『空海』、『日蓮』、『[新釈]罪と罰 スヴィドリガイロフの死』、『[新釈]白痴 書かれざる物語』、『[新釈]悪霊 神の姿をした人』、『親鸞』、『尼将軍』、『天海』などがある。日本文藝家協会副理事長、日本文藝著作権センター事務局長も務める。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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