- Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309021690
作品紹介・あらすじ
「命をかけてた恋が、終わっちゃったの! 」失恋して自殺未遂したと噂される女友達。
見舞いに行った私に、彼女が語った恋の真相とは!?
綿矢りさの新たな魅力あふれる初の連作短篇集。
感想・レビュー・書評
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4寄りの3。
面白くないとかじゃない。怖い。怖すぎる。
可愛いフォントで”憤死”と書いてある表紙に、リボンとドッド模様の見返し。
なのに、怖い。
不意打ちすぎる。
特にトイレの懺悔室は、結構トラウマになりそうでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表紙を開くと目に入るリボンのペーパー。
紙もの好きにはたまらない。
カバーをとると別の楽しみもある。
このピンクのかわいらしい包装紙の柄は
意外と綿矢さんのイメージにしっくりくる。
(意外に、というのはわたしのなかで
綿矢さんはかわいいイメージよりもきれいなイメージなので)
プロローグのようにみえる「おとな」という作品に
小さく驚き、読み返す。
このまま一冊続いていくのかと思ったら
まったく別の作品だった。
どことなく推理小説っぽい。
え、なに、どうなるの?と
手に汗握るような感覚と似たようなものがあった。
トイレの懺悔室なんて
恐くなりました。
(タイトルからして怖いけど) -
どこにでも、意地悪な人はいる。
年端もいかない少女に向けた興味本位の悪意、懺悔という形を取った恐ろしい告白と甘い餌で他者をコントロールする悪意、成金で自己陶酔の激しい不美人な同級生を観察し続ける悪意、人生ゲームに倣い、少年たちに将来陥る危機を予言する悪意。
「世にも奇妙な物語」のように、どこか不気味で歪な短編集。 -
めちゃくちゃ良い!!
表題作の憤死好き。
拗らせ系女子2人とも客観的には嫌な奴ってかんじだけど、一生懸命で可愛らしい。特に佳穂は姫系な感じのところとうちに秘めた豪快さのようなものとの対比がよく伝わってきた。人の裏と表の表現が読者にもそのまま伝わってくるような言葉選びはさすがとしか言いようがない。 -
短編集。
「トイレの懺悔室」はゾッとしたし、「憤死」はこれぞ綿矢りさ!な女の子の話だし、なかなか面白かったです。短編なので読みやすいですし。
「人生ゲーム」も私は好きでした。最後の方なんてちょっとグッと来てしまったし。
でもやっぱり綿谷りさには性格のひんまがった女の子を沢山書いてほしいです。 -
2011年から2012年にかけて発表された四つの短編が収められている。
最初の超短編「おとな」と「人生ゲーム」は初読。
「トイレの懺悔室」と表題にもなっている「憤死」は文芸誌ですでに読んだものだ。
「おとな」は小説というよりも作者自身の子ども時代の記憶に関するエッセイ風だ。
「トイレの懺悔室」は綿矢さん初めてのホラー系作品。
これは率直に言うとそれほど面白さを感じなかった。
「憤死」は、以前雑誌で読んだ時は失望感を覚えた記憶があるのだが、
あらためて読み直したら結構面白い。
子ども時代から自分をお姫様と勝手に思っている友人とその後の再会。
その友人は、毎度お馴染み綿矢りさ特有の勘違い精神分裂少女。
そこでの友人の会話に対する表現。
P94:様々な分野の自慢話を流暢に数珠つなぎして披露する彼女は、まるで自慢の露天商だった。
この比喩はまさに綿矢節だ。
「人生ゲーム」は、私の時代には一世を風靡した子どものボードゲームである「人生ゲーム」を題材にした、
これもSFというかミニホラーというか、ちょっと変わった物語。
四作品ともそれぞれ趣の異なった短編集。
ところどころで、綿矢さん独特のオリジナリティ溢れる比喩と表現が楽しめる作品である。 -
大学生のとき、知り合ったばかりの女の子が
「ボニファティウス8世って、憤死したんだよ。怒って死ぬってすごくない!?」と興奮気味に言っていて、
今も仲良い彼女に薦められて読みました。笑
表題作の「憤死」は、「あー、こうゆう女の子たちいるだろうなぁ・・・程度の差はあれ」
と思いながら読みました。
人間の醜い心を少しユーモアを交えながら描写するのがうまいなぁ、といつも思う。
「トイレの懺悔室」はちょっと怖くて、
「人生ゲーム」も怖いんだけど、興味深かったです。 -
おとな
トイレの懺悔室
憤死
人生ゲーム
装丁を見て、いつものような痛い女子のお話かと思っていたら、ホラーというかファンタジーというか、世にも奇妙な物語にありそうなお話でした。
この中だったら、やっぱり憤死が一番好きです。
女版スネ夫を冷静に見守る主人公。
最初は復讐?と思ったけれど、いい具合に裏切られました。
久しぶりに再会した佳穂の格好が痛々しいけれど、指摘できず、意図してのものなのだと気づいて行く様子とか、三階から飛び降りるシーンを想像するところ(しかも、ちゃんと着地する)とか。こんな風に、あんまりにも突き抜けられちゃうと、惹かれてしまう…のだろうか。