ゆずこの形見

著者 :
  • 河出書房新社
2.89
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本棚登録 : 244
感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309022796

感想・レビュー・書評

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  • 妻が死んだ。突然、知らない男性と一緒に行った旅行先で。冷蔵庫の中には、たくさんの作り置きのおかずと毛ガニが1杯残されている。

    妻ゆずこの残したおかずを消費していくことで、妻とのことを自分なりに片付けていこうとする夫の気持ちが切ない。
    残されたカニの中に、不倫をしながらしっかり家計簿をつけるゆずこという不条理な女が、カニミソとして住みついている、と言うフレーズが著者っぽく、そのカニを間男に食べさせるという仕返しを成し遂げ、晴れて踏ん切りがついた太一が嫌いになれなかった。

    もうひとつの短編『夢見入門』も、大学生カップルの、彼女とのことを自分たちなりに終わらせようとする彼氏の話で、根っこは表題作と同じかなと思いました。

    伊藤たかみさん、やっぱりすごく好きです。

  • おもしろさが全くわからなかった。
    残念。

    あと2冊借りてあるけど…。

  • 2015.06 市立図書館

    雑誌の本の紹介に載ってって、興味をそそられて借りてみた。お初の作家さん。

    表題作の「ゆずこの形見」は、おもしろかったけど、「夢見入門」の方は、うーん??

  • 不倫途中に死んでしまった妻を思う夫と、残された子供の話。
    蟹の擂り身を不倫相手に食べさせるところがおもしろかった。

  • 亡くなるのは寂しいけど、そこですらほっこりというか。

  • *妻が出張先のホテルで死んだ。実は男との浮気旅行だった。残された太一と幼い息子は、冷凍庫に残されたゆずこの作った惣菜を食べていくことで、ゆずこの死を受け入れていく。一方、妻の本心を探るため、ある「復讐」をするため不倫相手に会いにいく。各紙で絶賛された、芥川賞作家の最高傑作! *

    伊藤たかみさんらしい、美しく繊細で優しい文章。
    「やはり苦しみは、間男とシェアするべきである。文字通り彼女の残したものを食べて、自分の身にするべきなのだー」てことで、冷凍カニをすり身にして間男に食べさせる太一。「婚外恋愛の代償として、ゆずこのことを一生忘れないで欲しい」と完食を要求し、「ゆずこの中にいつまでも残っていた女の部分を、ようやく嫁がせたような気がして、花嫁の父親よろしく、ぐっと涙をこらえたのだった」。
    独特の世界観。一度目はさらっと読んで、二度目は一文ずつじっくり味わい、それが身体に染み込んでいく感じが楽しめた。

  • 温度感は好きなんだけど、設定に無理があり、創り話っぽさが際立つ。

  • あらすじだけを読むと暗い感じですがゆずこの描写が少ない為か不思議とゆずこを嫌な女だとは思えないんです。
    ゆずこを許すことも憎むこともできない太一がカニを始末することで彼女への宙ぶらりんな気持ちを落ち着けてゆく。
    前に進もうとする太一を応援したくなる本でした。

  • 奥さんと間男に対しての、心の整理の仕方と、同僚の病気からの死。
    その辺の描写はまぁまぁ。
    子供が健気。

    夢をコントロールする云々が余分な気がする。

    だから後半の話しは記憶に残らない。

  • 面白かったです。

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著者プロフィール

いとう・たかみ
1971年兵庫県生まれ。1995年、早稲田大学在学中に「助手席にて、グルグル・ダンスを踊って」で第32回文藝賞を受賞し作家デビュー。2000年『ミカ!』で、小学館児童出版文化賞、’06年『ぎぶそん』で坪田譲治文学賞受賞、「八月の路上に捨てる」で芥川賞受賞。主な作品に『ドライブイン蒲生』『誰かと暮らすということ』『 そのころ、白旗アパートでは』『秋田さんの卵』『ゆずこの形見』『あなたの空洞』など。

「2016年 『歌姫メイの秘密』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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