不道徳お母さん講座: 私たちはなぜ母性と自己犠牲に感動するのか

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 561
感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309027159

感想・レビュー・書評

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  • 【概略】
     「母」「母親」「お母さん」という言葉から、どんなイメージを想像するだろうか?女性が母というフェーズに入った途端、目に見えないナニカに縛られてしまう。その正体は「道徳」。「母親とは、~であるべき」という強大な型枠である「道徳」を、明治から現代にかけて様々な角度で比較した一冊。

    2020年03月31日 読了
    【書評】
     その時代その時代に母親から「見ちゃいけません!」「やっちゃいけません!」なんて言われたもの、または世間的に「子どもが触れたらよくないのでは?」なんて扱いを受けたもの、あると思う。現代だったらスマホ?昔だったらゲームボーイ?マンガ?小説?そしてこの「~してはいけません」という線引きでよく使われる言葉が「道徳」「道徳的」といったものなのだよね。
     本書では、この道徳が時代の流れ・世相とともにどのように変化をしていったのか?という部分、そして、とりわけ子どもの成長に大きな存在となっている(この表現すら旧態依然の価値観なのかもだけど 笑)母親という存在を一つの軸として展開している。
     小さな頃、「先生」という存在がどこか完全無欠な存在のように見えたのと同様、父親や母親の存在に対してもかなり特別な存在に見えた。大人全体がそうなのかな?ところが自分がその年代になってみて、「全然、完全じゃないやん」なんて思ったこと、沢山あると思う。でも、どこかの段階で色んな「しがらみ」という服を着ていくような。子どもがいる人は特にそうなのじゃないかなと想像してる。親は親で「~あるべき」を自ら望んでしまってるとこ、あると思うのだよねぇ。道徳って、甘美な響き、あるよ、そういう望みに対して。
     本書内で(この部分は引用だったけど)国語教育の中に道徳の普及が多分に含まれていたというのは、すごく実感。矛盾した言い方を承知で言うけど、ある意味、道徳って、形のない・目に見えない正解のような気がする。正解が好きな日本人からすると、その正解から外れたものに対する拒絶反応、強く出ると思う。別に道徳心(?)があったって問題ないのだけど、針がふれすぎちゃってるのだよね。問題は、大人にせよ子どもにせよ思考停止して道徳という枠にはまるのではなく、思考する、ことなのだけども。
     今回、もうちょっと(読者の読みたいという欲求という意味で)期待したのは、事柄の羅列ではなく、著者の思考がもうちょっと盛り込まれてたらなぁという点。垣間見えた部分だけでも面白そうだったので。
     北原白秋が童心から急に愛国心に変化したり、新見南吉のごんぎつねが教科書用にカスタマイズ(しかもそれをしたのは別の方)された話であったり・・・そういった文学界の歴史などは知識として興味深かったね。

  • つまらなかった。いや、興味を引かなかったというべきか。

  • session-22で倉本さおりさんが紹介。

  • 若いお母さんにオススメ。

    Stop the Kiroro!

  • 強要される運動会の組体操、1/2成人式、PTA、道徳科目化、そして子育てに関わる数々の神話や良妻賢母である専業主婦への称賛、働く母への冷酷なまなざし、、自己犠牲、同調圧力、日本社会の変な美徳感、こちらの著者のご指摘には非常に共感できます。どうしてこのような日本風の異様な文化が出来上がってしまったのか、現代から明治、大正、昭和の戦後と、時代を遡って考察されている点、非常に面白かったです。やはり戦争時の軍国社会主義的な、天皇万歳!国家主義、あれがおかしかったのですね、今こそ過去の過ちを反省して本当の民主主義的な日本を取り戻して欲しい、将来の子どもたちにはもっと自由に生きて欲しい。そういう母親にならねばならないー

  • いやー、笑った笑った。ごんぎつねがストーカー系BL。小説を読むと不良になります(爆)1/2成人式「地獄かよ…」などなど。

  • 「伝統的な理想のお母さん像」は最近つくられたまぼろしなので気にする必要なし。

  • 思索
    家族

  • VERY 推奨

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著者プロフィール

1973年生まれ。文筆家。早稲田大学第一文学部卒。著書に『エモい古語辞典』(朝日出版社)、『女の子は本当にピンクが好きなのか』(河出文庫)、『不道徳お母さん講座』(河出書房新社)、『スゴ母列伝』(大和書房)など、訳書に『自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界』(河出書房新社)、『だからわたしはここにいる』(フィルムアート社)、『ギタンジャリ・ラオ STEMで未来は変えられる』(くもん出版)、 『ガール・コード』(Pヴァイン) など。

「2022年 『「女の痛み」はなぜ無視されるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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