私は生まれなおしている---日記とノート 1947-1963
- 河出書房新社 (2010年12月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309205540
感想・レビュー・書評
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こういうのキライ。
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スーザン・ソンタグが生前につけていた日記とノート類が、公刊され始めた。『私は生まれなおしている 日記とノート1947-1963』(河出書房新社)は、彼女の14歳から30歳という、まだ書き手として世に出る前、つまりソンタグがソンタグに〈なる〉前の物語である。思春期の少女の、将来への希望と性欲のめざめが赤裸々に書かれている。
本書の責任編集を担当しているのは、彼女の一人息子であるデイヴィッド・リーフであり(彼自身の著書『死の海を泳いで スーザン・ソンタグ最期の日々』というノンフィクションの邦訳あり)、また彼は、本書の中でスーザンの腹から誕生し、母の愛を受け、また両親の離婚とその直後の母のオックスフォード留学によって、母との別居を強いられた幼少期を送っている。そして、多くの読者がすでに承知しているように、このころのスーザンはレズビアンとしての自覚にめざめ、苦しい恋愛にかなりエネルギーを消費している。才能はあっても、まだ成熟していないころの母の書き綴った赤裸々な告白を、死後に公表するにあたり、息子はいかなる傷を受けるのか。実際に息子は、「本書の刊行は決して私が望んだことではない」と序文で述べている。
しかし、この息子の受けるであろう傷は、本書の潜在的な主題そのものではないか、という気さえしてくる。スーザンは、自分が優柔不断で、相手からの愛を求めてばかりで、他人に嫌われるのを恐れてその場を取り繕ってばかりいる気弱な俗物であるという自己嫌悪を、何度も何度もノートに書き綴る。峻烈な作家であり、毅然たる批評家であるソンタグが現れるのは、まだ少し未来のことである。
彼女は本書のなかで、自分が恋人の日記を盗み読んでしまい、恋人が自分のことを蔑視していることを知ってしまう。そして、日記というものは自分が今そうしているように、いずれ家族や恋人に盗み見される運命にあり、また潜在的には盗み見されることを前提としたテクストであるかもしれない旨を綴っている。こうした看破は、ある種老人的な、永井荷風的な意識でもある。
とにかく、死の2年ほど前まで丹念につけられていた日記は、母の日常を秘匿することをあきらめた息子の手によって、今後もぞくぞくと陽の目を見ていくにちがいない。 -
20世紀後半を代表する知識人の1人、スーザン・ソンタグの14歳から30歳までの日記というより、雑記ノート。ソンタグの個々の言論には必ずしも同調はできなくても、作家であり活動家であることをはじめとする自己矛盾への葛藤を隠そうとせず常に強靭な意志で世界と対峙しつづけようとした彼女の姿勢には、その死後も勇気づけられているし、傍らから支えられていない日はない。日記という私的領域に踏み込む作業には大変なエネルギーが必要で訳者の木幡和枝さんは途中で体調を崩されたこともあったようだ、とおっしゃっていたのは今福龍太さんだったか松岡正剛さんだったか。「自分を主人公に見立てた個人の物語以上のものを、自分自身の生涯以上のものを、重視している」という17歳のソンタグの言葉と、「『日記』というものをはじめて翻訳し、他者のプライヴァシーに踏み込む行為。その冒険を精神面、知識面で後押ししてくれたのは、本書に登場する広範囲にして厖大な著述の訳者や紹介者たちであり、今はなき方がたを含む先輩や友人たちだ。この長距離ランナーたちの群とともに走ってきた実感は心強かった」という「訳者あとがき」とが呼応して美しい。「性的な欠乏感と知的な『欠乏感』は似ている」とは30歳のときの言葉。
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スーザン・ソンタグの本を初めて読んだ
(日記を読む事を本を読むと表現していいかは疑問)
すごくおもしろかった
30歳までの日々の思索と読書リストその他
あまり論理的でもなく、感情的にもなりすぎない(私見 あきらかに感情的な部分も多数ある)のと、書かれていない生活も多分にある そこにこそ彼女の感情(勘定!?)が読み取れる
すべてを肯定的に受け入れることはできないけれど(あたりまえ)共感してしまう 女でよかったね
『私の欠点 いつも遅刻する 嘘をつく、しゃべりすぎ 怠惰 拒絶する意思の力がない』
一緒に買ったサルトルの『嘔吐』の新訳版はまだ読んでる途中 -
10代から20代にかけてのソンタグの日記。進学、結婚、出産、パリへの留学、女性との関わり合い。自分の考え、誰かの言葉、読むべき本や観た映画のリスト。人は何故、そこまでして知性を求めるのか。書くことによって、生まれなおしている。
ソンタグの息子のデイヴィッドが編集。日記には続きがあるらしく、2巻、3巻と続くようだ。日記は続く、そして人生も。繰り返して読みたい。