苦悩

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309207643

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  • M.デュラス『苦悩』冒頭2作が映画に対応するテクストだけど「帰ってこない」ときのデュラスの精神状態もさることながら状況として壮絶なのは「帰ってきたあと」だった。収容所から瀬戸際で助け出された夫のチフスの看病、飢えへの対応、それが彼女の文章で立ち上がってくるときの濃密な死の匂い。

    やっぱり情景をイメージしやすいのは映画に対応した2作だったけど、「オーレリア」の時間と空間の概念を飛び越える描写と少女への切実なデュラスの眼差しに打たれた。たしかにこれは舞台で発話されるのがいい、声でもって語りたいテクストだと思った。少女は戦禍の只中にいながりも解放されていた。

  • 祝新装版
    「苦悩」「ムッシュウX仮称ピエール・ラビエ」「アルベール・デ・キャピタール/親独義勇隊員テル」「手折られた刺草」「オーレリア・パリ」

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    ナチス占領下のパリで強制収容所からの夫の帰りを待つ苛烈な日々を綴った、文学の限界を超えた作品。デュラスが“私の生涯で最も重要なもの”と告白する、自伝的記録。表題作の他5篇。
    http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309207643/

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著者プロフィール

仏領インドシナのサイゴン近郊で生まれる。『太平洋の防波堤』で作家としての地歩を築き、『愛人(ラマン)』はゴンクール賞を受賞、世界的ベストセラーになる。脚本・原作の映画『ヒロシマ・モナムール(24時間の情事)』、『モデラート・カンタービレ(雨のしのび逢い)』、『かくも長き不在』は世界的にヒット。小説・脚本を兼ねた自作を映画化し、『インディア・ソング』、『トラック』など20本近くを監督。つねに新しい小説、映画、演劇の最前線にたつ。
第2次大戦中、ナチス占領下のパリでミッテラン等とともにレジスタンスに身を投じ、戦後も五月革命、ヴェイユ法(妊娠中絶法改正)成立でも前線にたち、20世紀フランスを確実に目に見える形で変えた〈行動する作家〉。

「2022年 『マルグリット・デュラスの食卓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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