十二月の十日

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309207865

感想・レビュー・書評

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  • 「十二月の十日」
    ジョージ・ソーンダーズ(著)
    岸本佐知子(訳)

    2019 12/20 初版 (株)河出書房新社
    2019 12/31 読了

    ジョージ・ソーンダーズ!

    どこかで聞いた名前だなぁ…
    と思っていたら
    あの!「人生で大切なたったひとつのこと」の作者ではありませんか!

    地元ラジオで印象に残った節をパーソナリティの方に朗読していただいた時に

    あまりの感動に(自分が紹介している書籍に関わらず)絶句して言葉が出なくなったと言う。

    本作はどうしようもなく…
    人として…
    どうしようもない人達の話が詰まった短編集だ。

    そこには正直で優しくて愛に満ち溢れた人々が描かれています。

    どうしようもないけど
    どこかで間違えてしまっているけど

    世界は愛で満ち満ちている。
    そう信じたいと心から思わせる物語でした。

    それにしても見事なのは
    岸本佐知子さんの訳ですな。

    2019年最後の本。
    素晴らしい。

  • 10作品の短編集。
    どの短編も人間の持つ面白みが感じられて噛めば噛むほど味がする。一度目では気づかなかった味に二度目なら気づくかもしれない。

    一作目の「ビクトリー・ラン」でまず度肝を抜かれた。たった30ページの話なのに三人の視点でドラマが繰り広げられて緊迫感がすごい。少女は現実を知り、少年は自我を解放させる。少年が両親の束縛に対する内面の葛藤を振り払い、自分の主導権は自分で握るシーンが素晴らしかった。

    もう一つ印象的なのは「スパイダーヘッドからの逃走」。何らかの罪を犯し服役中の主人公が薬の人体実験に参加している話。
    非人道的なデータ収集が行われる中で、殺人に加担したくないと決断する主人公が切なかった。人が苦しむところを見たくないという良心があったこと、悲しいけれども救いに感じた。最後、薬の効果などなくても美しい語りと共に、心から喜びながら天に召されていって、それは崇高な精神を感じる瞬間だった。きっと天国に行ったのだろう。

    表題作も胸が熱くなる話で、妻の表情に浮かぶ真意をしかと見つめているラストが良かった。著者は人間の心をよく見ているのだなと思った。

  • 自分には馬鹿SFは向いてない

  • 元々、翻訳本は苦手だが、何かで紹介されてて開いてみたが、十数ページで挫折。やはり、私には難しかった。描かれてる映像が全く見えなくて、理解出来なかった。

  • 私には
    良さも
    面白さも
    見出せなかった

  • 一つ目読んで、私には合わないなと思って読むのを辞めてしまいました

  • たぶん本としては初めて読む作家なのだけれど、この作家のこの短編集、全米でベストセラーだったらしい。
    また文体も学生たちがたくさん真似するような人らしい。
    ということは本を読んだ後、あとがきで翻訳者の岸本佐知子さんが書かれていたから知ったこと。

    これがベストセラーになったんや〜という率直な感想。
    変わってます。かなり。

    特別な刑務所に入っていて、感情に効くいろんな薬を注入されて、(恋愛感情とか操作される)人体実験される男の話 とか、
    ある未来の大金持ちは庭に〇〇を並べて吊るして飾っているんだけど、その〇〇の実態が明らかにされると…恐ろしすぎる事だったり
    戦争から帰ってきて、精神的にちょっとおかしくなってしまった男の実家を訪ねる話とか…
    変な話
    と思って読んでいたら、表題作のラストが泣かせる…
    もちろん入り方は普通じゃなくて、
    男の子(たぶんいじめられっ子)が独り言を言いながら森に入っていく。色んな人と頭の中で会話しながら。
    それと並行してガリガリの男が森の中に入っていく。こちらは着てたコートを脱ぎ捨て、このまま病気が悪くなる前に…という悩み事を頭の中で繰り返しながら。
    そして起こる出来事は
    この作家の作品では、今まであまり無かったらしい最後の救いがある。そこが最初の頭の中の支離滅裂な話からどんどんリアルになっていって結ばれる。あーいい本読んだな〜って気持ちになるラストでした。
    この本のタイトル「十二月の十日」、これを書くまで「十二月十日」と思ってました…

  • 展開が早くてついていけず、読後感もあまり良くなかった

  • 「わが騎士道、轟沈せり」、笑い死にしないよう要注意。

  • 岸本佐知子さんの翻訳なので手にとりました。
    どのように評価すればよいのだろう……
    貧乏や精神に異常を持った人、病気の人など世の中の底辺にいる人々が主人公。

    ちょっと……て思うほどの下品な言葉を使うんだけれど
    でも、この小説の場合はそれが適切な表現で他の言葉に置き換えられない。
    重くのしかかってくる、どうしてこんなこと思いつくのかしらと思うストーリーだけれど
    それぞれの主人公に少し心を寄せると不思議と理解できて
    彼らの言葉や行動のなかの真実や愛やまっとうさに突き当たる。

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著者プロフィール

1958年テキサス州生まれ。なにげない日常を奇妙な想像力で描く、現代アメリカを代表する作家。おもな小説に、『短くて恐ろしいフィルの時代』、『リンカーンとさまよえる霊魂たち』(ブッカー賞)など。

「2023年 『十二月の十日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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