古代ローマ人の24時間---よみがえる帝都ローマの民衆生活

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (425ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309225319

感想・レビュー・書評

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  • 紀元150年、とある火曜日のローマ人の1日を描いた本作。

    筆者と共にその時代まさにその時間を歩いているような感覚…
    ローマ人の汗、息の匂い、体臭、血しぶきまでをも感じることができるようだった。

  • 紀元115年のある日のローマの24時間を描いた作品。特権階級の富裕層から、一般庶民、高層住宅の最上階に住む貧し者たちから奴隷に至る人々の日常生活を、読者がタイムスリップして実見しているような雰囲気を与えてくれ、ローマ帝政時代の普通の人々の暮らしが手に取るように分かる。ローマについての入門書としてもオススメ。

    著者が企画・監修を行っている番組「スーパークォーク」のサイトには、この本で触れられているトピックの再現映像があるようである。自分の想像力では追いつけないところもあったので、映像の助けを得ることにより、より古代ローマの生活に親しめるようになるかもしれない。

  • 「ローマ人の物語」が政治を中心とした話なら、この本は生活を中心とした話。塩野氏の世界をより色鮮やかに見るには、大変助けになる本だ。著者はテレビの制作に関わっているだけあり、カメラのアングルのように、「少しのぞいてみよう」「喧嘩が始まったので去ることにしよう」といった表現で、ローマ人の一日をまさに『視聴』することができる。キリスト教文化の視点からローマを見た場合、どうしても勝者脚色の原理で、暗く乱れた社会だったという結論に陥りがちだが、この本ではそれを真っ向から否定。詳細なデータをもとに、感情を抜きにしてローマ社会を考察している。「へぇ~」と参考になる雑学も満載。2日目も見続けたいと思ってしまった。


    ローマがギリシア、東方世界を征服し始めたことで、
    ・ポエニ戦役以降、貴族の食材が多種多様になった
    (ただし、トマト、ジャガイモ、大粒の豆、トウモロコシ、チョコレートはコロンブスが持ち込んだ)
    (フォークが発明されたのはルネサンス期のフィレンツェ)
    ・ギリシア式の同性愛が、ステイタスシンボルとして認められるようになった
    ・女性も男性を誘惑できるようになった

    ローマで内乱が続くようになると、
    ・財産の相続権が女性にも与えられるようになった
    ・それにより女性も経済的に自立し、離婚など自由が認められるようになった
    →現代社会において当時のローマレベルに到達するのは、ようやく1970年代になってから

    ディオクレティアヌス大浴場はどれだけ広いのか
    ・浴場のホールは、現在、ローマ国立博物館として使用されている
    ・冷水浴室は、サンタ・マリア・デッリ・アンジェリ聖堂に改修されている

    ローマ人は小柄だった
    ・平均身長は男性で165センチ、女性で155センチ
    (現在のヨーロッパ人の平均は、男性で176センチ、女性で164センチ
    ただし、1930年では167センチで、第二次世界大戦後、急激に伸びた)

    キリスト教がローマで普及した原因
    ・外来の宗教の多くが幸福な来世という到達点を予見させるものだった
    ・ローマの宗教とは異なる、密儀のようなイニシエーションがあり神秘的
    ・キリスト教の祭司は、全存在を神にささげ、信者と密な関係を築き、信者の話に耳を傾け、導いてくれる。
    ⇔ローマの祭司は、役人のようで、個々人の宗教的な要望には無関心。
    ・女性に門戸を開いていた

  • 町の情景がよく伝わってきて楽しかった。

  • 古代ローマについて詳しく知れるうえに、専門書のような堅苦しさや退屈さがないので勉強したいってほどじゃないけど古代ローマ好きな人におすすめです。

  • この臨場感はなかなかない。古代ローマの街中を、個人宅を、食事風景を、透明人間になって見ている様。頭の中で、カラーで映像化されていく。過去の歴史としてしか知らなかったが、確かに人は生きて生活していたんだと古代の異国の人々に親近感がわいてきた。読んでタイムスリップできます!!

  •  古代ローマ最盛期の一日を追いかけたもので、当時のローマの空気や匂いに包まれているような感がする。
     それにしても、古代ローマの最盛期でも時間は人と場所によってバラバラであったという話には笑ってしまった。現在でもローマの公共の場所の時計表示はテルミニ駅や空港以外はまったくハチャメチャで信用できないが、これもまた古代ローマの遺産なのだろう。

  • 午前 6時00分 裕福な人が住む邸宅
         15分 室内装飾に見る古代ローマの趣味
         30分 主人の目覚め
    午前 7時00分 ローマ式の服装
         10分 女性のファッション
         15分 古代ローマ時代の身だしなみ
         30分 2000年前の美しさの秘訣
    午前 8時00分 古代ローマ風の朝食
         30分 開門前の時間
         40分 理髪師と一日の最初の労役
         50分 インスラの人間的な側面
    午前 9時00分 インスラの「非」人間的な側面
         10分 ローマの道路
         20分 商店と工房
         40分 神との出会い
         50分 古代ローマ人の名前はなぜ長いのか?
         55分 ローマ人の遊び
    午前10時00分 路上の学校
        20分 家畜の市場、フォルム・ボアリウム
        30分 インドのような雰囲気だった古代ローマの街路
        45分 芸術作品に囲まれ、つかのまの憩いを楽しむ
    午前11時00分 奴隷市場
        10分 フォルム・ロマヌムへ
        30分 ローマの裁判所、バシリカ・ユリア
        40分 大理石に囲まれた皇帝たちのフォルムを散策する
        50分 古代ローマのトイレ
    正午     古代ローマにおける出産
        20分 タキトゥスとの出会い
    午後 1時00分 昼食は、バールで軽く
         15分 みんなで公共浴場へ
    午後 3時00分 コロッセウムの中へ
         30分 剣闘士の登場
    午後 4時00分 宴に招かれる
    午後 8時00分 無礼講の時間
    午後 9時00分 古代ローマの性
    午前 0時00分 別れの抱擁

  • 最近は「テルマエロマエ」でも脚光浴びたが。大浴場等、あれだけの大工事成し遂げ、しかも一日数回も風呂入ってたというのに、この非衛生的日常環境。

  • 殆どが名前さえわからない一般庶民の生活を、24時間見て回る展開が面白く、まるで実際のその国を見て歩いているような気分になれて面白かった。
    難点は、挿絵が少ないのということ……。

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著者プロフィール

1962年、パリ生まれのイタリア人。自然科学が専門。テレビの人気サイエンス番組や教育番組の監修やキャスターを務める。科学ライターとしても活躍、前著『古代ローマ人の24時間』は大ベストセラーに。

「2014年 『古代ローマ人の愛と性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アルベルト・アンジェラの作品

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