なんのための仕事?

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309245898

作品紹介・あらすじ

どの仕事の先にも、かならず人間がいる。わたしたちの働きの意味や質はその"人間"が、どんな存在として見えているかに懸かっている。技術もやり甲斐も、そのあとをついてくる。働き方研究家の著者が、いまデザインを通じて考える"仕事のあり方"。

感想・レビュー・書評

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  • 2日くらいで一気に読了。2012年6月5日。
    読んでいてきもちがすっと伸びるような本。
    気になったキーワードの抜き書き。
    しごとのなかでなにを大切にしてきたか? 思考を介さずに自然と身体がうごくように自分がくりかえししていることとは?
    全体性の回復。
    精神的な余裕をつくりだせる環境が要る。
    本気ではないし、気持ちも入ってないのに、それをばれないようにすること。
    ということばにどきっとしたり。
    仕事でかかわる近しい人を傷つけたくない。慣れてしまうことがこわい。自分の中のいろんなスイッチを切ったりブレーカーを落としていること。
    そこに居合わせた人がすべて方式でものごとをたちあげたい。
    人ありき。
    自分を否定しないところが、いいなとおもった。
    思考にくらべて、感覚の鮮度がたかいこと。
    自分に素直であること。仕事を通じてその心の動きが感じられることをこの人は人間的であると捉えている。
    どんな仕事の先にも必ず人間がいる。
    従来の枠や定義を超えて働くことがその仕事自体を豊かにする。
    いかに、自分を表現するかといった話で終わらずに人と人とやかかわり合いの話になっていることがすばらしい。
    などなど。

    読んで良かった。

  • 【夏の17冊目】

    西村さんの本はいつも面白い。
    聴くの本質とは何か、考えるとも繋がる、本当に読みたくなる言葉がある。
    思考と感覚の話が、すごく納得だし、考えを深めたくなった。


  • “デザイナー”とは、才能とアイデアに溢れた眩しい存在だと、遠い世界の人だとずっと思ってきた。

    けれど、大企業や世の中の一般論に圧倒され、絶望し落ち込んで悩んだり。なんか違う、と思ってもそこには確かに需要があって葛藤したり。仕事に対して絶対的な自信が持てなかったり。凄く私と似ていて驚いた。
    それでも、人と人の対話を諦めずに信じて行動しつづけること。
    《こうしたい。どうする?》を問い続けること。
    彼らのその前向きさと強さ、共に仕事する相手への尊敬のまなざしにグッとくる。デザインに携わる方へのインタビューを軸に展開される話だけど、どんな形であれ働く人の胸に迫る内容だと思う。

    『仕事は常に、自分と他の人の間にある』。
    今年から新しい仕事を始めるタイミングで読めたことが、本当によかったと思う。
    そういう姿勢と視点で働いていきたいし、彼らの言葉を忘れたくない。

  • 印象としては、総集編のようだ


    デザインとは何か
    はたらくとは何か

    生きるとは
    豊かさとは

    そういうものをすべてひっくるめて
    テーブルに並べて、どう思う?

    と問いかけるような作品だ

    一番得たものは、エフスタイルを知ったこと
    その本をその何年後かに買ったこと

    ユニット、手作り、DIY
    まるでパンクロック、そういうバンド感は
    リアルでライブ的でなんだかエモい

    そういう温かいものが好きだ
    温度が少しでも高い方に手を伸べたい


    デザイン
    上手さ
    上辺だけ

    そういうものはなんとなく心の熱を下げてしまう気がする

    冷めた関係(人だけでなく物の関係含む)
    は、なんとなく寂しい、なんだか豊かさから遠い気がする。


    物が多いなって、最近身の回りを見て思った
    もっとガンガン減らして、身近にあるものだけを
    丁寧に見つめて生きて行けたらどれだけいいだろうって
    夢を見るように思う(←掃除しろよ!)

    なんだかもう一度新しく始めたくなる

    心の窓を開け放って
    新しい風を入れたくなる

  • その答えはまだまだ見つけられそうにない。おそらく自分自身は死ぬ直前までなんらかの仕事をしているのだろうと思う。

  • 【概要】
    デザインに限らず多くの人は何かの下請けになりがちで、自分の居場所の確保ができていないと感じる人が多いと思う。
    そんな人向けに著者も含めた5人の仕事と考え方をインタビュー形式で紹介されている。

    【感想】
    仕事がテーマなのでしょうがないところもあるが、多面的に話題に触れている分浅く、どうも自分の身になったと思うことが無かった。
    自分のできる範囲で仕事をできている人たちが羨ましく感じた。
    どの仕事は結局人と人の関わりあいで、それが自然と大事になっているという印象だった。

    【気に入った表現】
    著者の商品づくりのペースが落ちていって焦っているときに
    ---
    自分たちが運営しているのは小さいながらも一つのブランドだ。それは生き物のようなもので、代謝や呼吸がいるし、息づいている感じが無いと人々の関心も離れてしまう。
    せっかく火を起こした焚き火にあまり薪をくべられずにいて、消えるまでいかないけれど置き美のようにしてしまっているような感覚があった。

  • 『いま本当に必要な仕事は、人が「生きてゆく」ことを可能にする仕事だと思う。』お金は生活のために必要。でも交換価値だから、生活に必要な分だけあれば足りる。深めたいのは、周りの人たちとの関係性。なるべく、どの局面でも正直に素の自分で通していくこと。素の自分が出来ることを、人のためになることを、やっていこうと思う。それでいいんだ、と同じ方向を見てうなずいてくれたような本だった。

  • 人が生きていくことを可能にする仕事。私にとって、それはなんだろう。

  • 人の話を「きける」人の数と、「きき合える」関係性の質が 埋没したり萎えることなく育つ、創造的な組織や場をつくる条件になるんじゃないか。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。武蔵野美術大学卒。建築設計の分野を経て、つくること・書くこと・教えることなど、大きく3種類の仕事に携わる。デザインオフィス、リビングワールド代表。多摩美術大学、京都工芸繊維大学非常勤講師。働き方研究家としての著書に『自分の仕事をつくる』(晶文社/ちくま文庫)、『自分をいかして生きる』(ちくま文庫)、『自分の仕事を考える3日間 Ⅰ』『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』(以上、弘文堂)、『かか
わり方のまなび方』(筑摩書房)など。

「2011年 『いま、地方で生きるということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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