- Amazon.co.jp ・本 (688ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309256283
感想・レビュー・書評
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めったに読まない美術史の本。
原始の洞窟壁画から現代の実験的芸術まで幅広く物語る。前世紀から各時代の建造物も紹介、もちろん絵画だけではなく、彫像や絨毯まで及ぶ。美に対してその時代その時代にすべて目にするものは同時に影響しながら追及している。
でも、私が良き美術品として目覚めているものは、19世紀入ってからのものばかり、いかに我が美的感覚は、いまから遡って200年ぐらいの近年のもの。
ということは、江戸時代の浮世絵なんぞに心揺さぶられるのは日本人として血のつながりのなせる業か?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
20世紀最大の美術史家と評されるエルンスト・H・ゴンブリッチ(1909-2001)の〝美術という心惹かれる不思議な世界のガイドブックの決定版〟と素人でも納得する、原始の洞窟壁画から現代芸術に至るまでの素晴らしく壮大で、誰にも分かる平易な解説で美術の世界に誘ってくれます。〝絵や彫刻を好きになるのは、どんな理由からでもいい。生まれ故郷を思い出させてくれるからという理由で、ある風景が好きになるかも知れない。友人に似ているからというので、誰かの肖像画が好きになるかも知れない。それで悪いというという理由はどこにもない。誰でも絵を見れば、いろんな事を思い出し、そこから好き嫌いの感情も生まれる。それによって絵が楽しめるのなら問題はない。しかし、とんでもない連想から偏見が生まれ、せっかくの楽しみが台無しになってしまうこともある。山登りが嫌いだというだけで、見事な山岳風景から目をそむけてしまったりするのは困りものだ。そういう場合には、ちょっと考え直してみる必要がある。好きになるのは、どんな理由からでもいいけれど、嫌いになるのは、どんな理由からでもいいという訳にはいかない・・・〟「序章:美術とその作り手たち」 より
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面白い。美術史を一から学ぶのは骨が折れるが、この本は、美術というものがこの世に誕生してから現在に至るまでの、それぞれの時代で起こった重要な変化や事象が、極めて適量でまとめられており概要をするのに非常に優れた本。各時代や項目でさらに深掘りしたければ、その画家や時代を改めて調べれば良いわけで、その足掛かりとなる、いわば “美術史の目次” としても使えるかもしれない。
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先史、エジプト、メソポタミアから20世紀に至るまで、主にヨーロッパの美術が歩んできた道を厳選した図版とともに物語る。
絵画や彫刻が、鑑賞する美術としてではなく、一定の目的のために作られた時代から、美そのものを追求する時代への移り変わりのダイナミズム、科学と美術の関係、「見えているもの」と「知っているもの」の違いなど、美術の枠を超えて考える楽しみが味わえる本。
図版入りでこの厚みの美術本となると、必要な時に必要なところを繰って読むことが多いが、これは最初から読み通して楽しめる、タイトル通り「物語」。筆者の語り口が極上。なるほど、と思うところに付箋を挟みながら読んでいったら、付箋だらけになった。(美術館巡りはそれなりに楽しんできたが、専門知識はまったくない美術素人の私だから、かもしれないが)。 -
700ページ近いどっしりした美術の歴史書.選ばれた作品,作者はその与えた影響に重きを置き,卓越した技量,歴史の中での存在価値なども配慮し,読み応えのある一冊となっている.美術史の大まかな流れがわかり,突然現れたような変化にもその源泉となるものがあったと腑に落ちる.
ただ,オリジナルにこだわったことで,ギリシャ彫刻など紹介されていない作品のあること,好きな作家モローやルオーやルドンなどにも触れてほしかったことなどが少し残念. -
面白かった.
難しい前提知識は要らない.
「美術館で雄弁に語るためにある本ではない.」と本人が書いてくれてるし、そのくらいの距離感で語ってくれてるので、全然学術書という本ではなくて読みやすかった.
全然お値段はお手頃ではなかったけど、手元に持っておいて気が向いた時に好きなページを開いてみたら良いと思った.(友人の受け売りも半分) -
大阪樟蔭女子大学図書館OPACへのリンク
https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/686971 -
ぶ厚いけど面白い。
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セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンが分岐点らしい。セザンヌを研究したい。
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ここ数年の中で個人的に最高に楽しかった本。美術の歴史ではなく、物語。そこには人間がいるのだ。彼らの情熱・苦悩・喜びが重なり合って情感豊かな美の世界が織り出されていることが見えてくる。