ビル・エヴァンスについてのいくつかの事柄 改訂版

著者 :
  • 河出書房新社
3.93
  • (3)
  • (7)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 65
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309272221

作品紹介・あらすじ

リリシズム、崇高、繊細、数々の言葉が冠されるジャズ・ピアニストの真実を探り、もうひとつのエヴァンス像を描き出す。ユーモア、耽美、静謐、作品と共鳴する生涯を、魅惑する文章で綴った改訂版。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 美しくも哀しいビル・エヴァンス。淡々とした文章がその哀しみを強調している。心が痛くなる本。

  • 説の当否はともかく、エヴァンス、そして後年のマネージャーのヘレン・キーンの考えたアルバムのリリース戦略を推測しているところは面白いと思った。またエピソードも豊富で、翻訳の問題もあるのかもだけど、他の翻訳ものの類書より読みやすかった。またファーストトリオの時期を神聖化したり、エヴァンスが徹頭徹尾、大人気で重く扱われていたわけではない部分も、バランスをとって描いているように思えた。/「スコットがベース・ソロを弾いているときだった。店のレジに置いてあった電話が鳴った。するとスコットは何食わぬ顔をして、その電話が鳴り響く音にベースで応え、電話を相手にインタープレイをやってのけた」/活動記録を詳細に見れば、ラファロ自身がエヴァンス・トリオのレギュラー・メンバーであることを自覚していた時期はきわめて短期間だったように思われる。/モチアン「あの2枚のレコードに入っている。"サウンド"は、すべてが音楽だと思う。アルコールが入ったグラスが鳴る音や客席の話し声や雑音、すべてがあの音楽に必要なサウンドだった。(略)あの日、あのとき、あそこには”みんな”がいた。そして、音楽があった」

  • 僕は若い頃はマイルスの信奉者でイケイケジャズが好きだったので白いリリシズムは理解できなかった.最近になって聴きなおす機会ができて...昔はものを思わざりけり..ジムホールとの作品などにもっと触れて欲しかった.

  • ビル・エヴァンスがユーモラスな人物だったというのがまず驚き。
    そしてビル・エヴァンスがこの一冊にすっぽりおさまってしまったことも驚き。

  • ビルエヴァンスの人柄というか、人間くさいところがよくわかる。当時のジャス事情やミュージシャンの横のつながり、レコード会社との契約など知らないことが多かったので知識として学べた。
    ただ、文章の書き方が単調すぎて流れがつかみにくい印象だった。

  • 理想と現実とのギャップに翻弄されながらも、文字通りその生涯を「芸術」のために捧げた孤高の音楽家ビル・エヴァンス。

    その苦悩に満ちた人生を、さまざまなかたちで彼に関わった人間たちの証言を引き合いに出しながら、ときに大胆な推理も交えつつ描いた評伝。読みながら、まるでテレビのドキュメンタリーでも観ているかのように鮮明なイメージを結んでゆく構成のおもしろさは、きっと著者の手腕によるところも大きいのだろう。

    全幅の信頼を寄せていたベース奏者スコット・ラファロが不慮の事故により突然この世を去って以降、ビル・エヴァンスはソロ以外で「I Loves You,PORGY」を演奏することがほとんどなくなった。その「理由」は…… と言ってポール・モチアンが明かすエピソードは、その真相はともかく、哀しく、そして美しい。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

1952年大阪生まれ。『スイングジャーナル』編集長を経て音楽評論家。ロックにも造詣が深くビートルズ系の本の中でも『ビートルズを笑え!』は辛口でありながら面白く書かれている。オノ・ヨーコに批判的で日本語が読めるオノに対して批判する評論家としては希有な存在。主な著書に『マイルスを聴け』(双葉社)『エヴァンスを聴け』(ロコモーションパブリッシング)『超ブルーノート入門』(集英社)『Jazz名曲入門』『Jazz名盤入門』(宝島社)『ジャズを聴くバカ、聴かぬバカ』(KKベストセラ-ズ)『スイングジャ-ナル青春録』(径書房)『ビートルズ アメリカ盤のすべて』(集英社)『ビートルズ全曲制覇』(エイ出版)『ビートルズを笑え!』(廣済堂)『ディランを聴け』(講談社)『音楽中心生活』(径書房)『超ビートルズ入門』(音楽之友社)『クワタを聴け!』(集英社新書)『ジャズ・ヒップホップ・マイルス』(NTT出版)等がある。

「2012年 『かんちがい音楽評論[JAZZ編]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中山康樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×