三塁ベースコーチ、攻める。 ---監督を代行する10番目の選手

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309273914

作品紹介・あらすじ

走者を止めることは簡単だ。走者をためる、という口実で責めも受けにくい。しかし、走者と一体となり、かつ壊れた信号機にならず、勇気を持って「伝説の走塁」をめざし、士気を高めることこそ。豊富な取材にもとづく新時代のスポーツノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • プロ野球オープン戦開催記念。 
    NHK BSで放送されている『球辞苑』が面白く、野球のニッチな部分に興味があったので手に取った一冊。 
    「監督を代行する10番目の選手」の副題の通り、様々な事例を示しながら、三塁ベースコーチの重要性を説いている。 
    正直、コーチャーズボックスで腕をぐるぐる回すだけの役割だと思っていたが、ゲームを左右する重要なポジションだとは知りませんでした。
    「外野手の捕球の体勢、肩の強さ、守備位置」「味方の走者の足の速さ・その後の打順・打者の調子」「風向き、土の湿り具合」etc.それらの情報を総合的に吟味し、三塁に止めるか本塁まで突っ込ませるかの判断を瞬時にする。 
    なかなかできるものではない。 
    実際、メンタル面が強靱でなければ続けられないとのこと。 
    今年のプロ野球見方がちょっと変わりそうだ。
    『野球のルールやセオリーは、ゆっくり紙に書かせたら、誰にでもできる。それを瞬間的にいい判断をやらねばいけない。頭の鋭さも必要』
    やはり真似できるものではない・・・。 

  • スポーツライターによる三塁ベースコーチに焦点を当てて書かれた本。三塁ベースコーチの任務、苦労などの体験談をうまくまとめている。今までに名だたる三塁ベースコーチが何人かおり、そのコーチたちの物語は面白かった。プロ野球のみならず高校野球や大学野球にまで触れているところもよい。
    「(本塁へ突入させるかどうかの判断)打球の速さ、外野手の肩の強さ、捕球体勢、走者の足の速さ、そして球場の風の向き、強さ、グランドの土が乾いているか、湿っているか、芝生の向き、これらを瞬時に判断材料に入れて、走者を三塁に止めるか、本塁まで突入させるかの指示を出さなければならない。当然、次の打者が当たっていれば、無理をせずに三塁で止めることもある。しかし、次の打者が不調の場合は、多少無理をしても、本塁へ行かせる場合も出てくる。相手投手の球威の状態、味方の打順も、その指示要素に影響してくる。相手投手の調子が良ければ、これ以上は打てないだろうと判断し、一か八かで強引に突っ込ませることも出てくる」p6
    「走者が無事に生還すれば、好走した選手の手柄にされ、アウトになれば、「壊れた信号機」と呼ばれ、三塁ベースコーチが非難の矢面に立たされる」p7
    「彼らが本塁へ入ってゆく後ろ姿を見てますとね、何とかセーフになってくれよと思いますわ」p124
    「1回アウトになったら、10回アウトにさせられた気分になる」p124
    「自分以外の誰かのために一肌脱いだり、体を張れる人は、挫折を感じることはない」p155
    「キャンプでは1日2000本、シーズン中はトータルで1000本のノックを打つ」p162
    「(2塁ランナーへ)ツーストライクになってるんやから、投げた瞬間にストライクかボールかわかるやろ。わかったら打つ前に走れ(阪急 上田監督)」p189

  • 今度球場へ行った際は三塁ベースコーチの動きにも注目してみたい。
    また、三塁ベースコーチ的な視点でゲームを観るのも面白そう。
    そんな気分にしてくれた本だった。

  • 地味だけど、奥の深い野球のツウなお話でした。

  • 野球でもなかなか日の当たらない三塁ベースコーチにスポットを当てたノンフィクション。
    野球の見方が変わるかもしれない。

  • 着眼点がよい。野球の見方が変わる一冊。
    個人的には、森脇浩司氏(現オリックス監督)が取り上げられていたのがうれしかった。
    2015.3.16再読

  • タイトル通り三塁ベースコーチオンリー。
    三塁ベースコーチの役割がこれ程たくさんあるとは驚き。高校野球でも有名校は専任を育てているというのは納得するところ。
    本塁セーフで当たり前、本塁アウトなら非難されるというあたりも野球というスポーツの不思議さを感じさせる。
    バッティングなら10回中7回失敗しても一流なのに、、。

    書かれていた名三塁ベースコーチャーを生で見てみたいな。
    野球観戦の魅力かひとつ増えた感じ。

    2013.6.17読了

  • 2013/5/30

  • 三塁コーチの隠れた重要性はこうだよ、と言う本ではない。
    重要性を認めたうえで、それにまつわる数人のドラマを描いたもの。
    それはそれで良いが、やっぱり野球自体にそう興味が無いので、のめりこむことが出来なかった分、減点。

  • ふだんろくに野球を見ない僕でもとってもおもしろかった。『g2』10号に掲載された著者の記事で、目立たないけど実はキャッチャー並のすごく重要なポジションである三塁ベースコーチのことを知った。これは、さらに多くのコーチに取材を重ねて、ちょっと他にたとえようのない特殊な職業について掘り下げた本。ああ、でも、リーダーの意図を酌み取り、プロジェクトがうまく動くよう、あちらこちらにきめ細かく配慮するところなんかは、組織のナンバー2や事務局的なポジションに似ているかもしれない。基本的には二塁から走ってくる選手を止めたり走らせたりする仕事なんだけど、その裏には膨大な準備があり、蓄積してきた情報と経験を直感にまで高めるための日々の鍛錬がある。読めば野球の見方がまったく変わる。とりあえず漫画の編集者は澤宮さんに相談して三塁コーチを主役にした高校野球漫画の企画を立てるべき。

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著者プロフィール

澤宮優(さわみや・ゆう) ノンフィクション作家。1964年、熊本県生まれ。青山学院大学文学部卒業、早稲田大学第二文学部卒業。2003年に『巨人軍最強の捕手』(晶文社)で第14回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。主な著書に、『バッティングピッチャー』、『炭鉱町に咲いた原貢野球』、『昭和十八年 幻の箱根駅伝』(以上、集英社文庫)、『世紀の落球』(中公新書ラクレ)、『イップス』(KADOKAWA)、『戦国廃城紀行』(河出文庫)、『暴れ川と生きる』(忘羊社)、『集団就職』(弦書房)など多数。

「2023年 『「二十四の瞳」からのメッセージ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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