- Amazon.co.jp ・本 (80ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309275758
作品紹介・あらすじ
“漫画の新たな可能性を拓く”と評された新鋭による驚異のマンガ体験●カフカの「城」●漱石の「こころ」より“先生と私”●ポーの「盗まれた手紙」●ドストエフスキーの「鰐」ポーやドストエフスキーの大胆にして精緻なマンガ化に出会うのは、斬新な新訳に出会うのと同じ嬉しさがある。ここにはまるごと1ジャンル、新しい文学の可能性が見えている。─―柴田元幸氏歴史上のブンガクも、森泉の手に掛かると同じ寸法に収まってエッセンスだけとなる。まるで魔法だ。――椹木野衣氏限られたページを読む間に小説そのものの世界を確かに生きることができる。心の奥深くにずっととどまる1冊。――柴崎友香氏
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
原作の漫画化ではない。
原作となる小説「そのもの」を漫画で表現しようとしたものだと思われる。
だからシーンの順序は入れ替わる。「城」など長さがまったく違う。
自分は「城」は読み終わらなかったし「盗まれた手紙」は忘れたし「鰐」は読んでもいない。
だから試みが成功しているのかどうか判断することはできないが、とても良かった。
絵のタッチもすごくよい。 -
「盗まれた手紙」の
『暗闇で見えるものがある
考えてみたまえ僕たちは祈るとき何故
目をつむるのだ』
という言葉すごい印象的だった -
小説のコアの部分を、作者の言う「たましい」を、16ページで圧縮して切り閉じて描く。
城とこころと盗まれた手紙は、私はすでに読んだことがあった。鰐は知らなかった。
私の知っているはずの話は、見たことのない姿で、しかし確かにそんな風だった、と思える形で描かれていた。この技量を信頼するので、鰐もそうなのだろうと思う。
小説に、コミックとしての構図を与えること。映画ならカメラワークというべきところだが、コミックではなんというのか。
霧島の見開きには驚いた。こころとは、これほど官能的な作品であったか。 -
2015-4-10
-
絵才かあるというのは羨ましい。文学作品を見事に、ビジュアル化する。しかし、その前にしっかりと読み取る力も要求されるはずだ。
-
カフカ、ドストエフスキー、漱石、ポーの小説を、各16ページで奇跡のコミック化! 柴田元幸、椹木野衣、柴崎友香氏絶賛、世界の名作がまったく新たに甦る驚愕のマンガ体験!
-
漱石のこころ、カフカの城、ドストエフスキーの鰐、ポーの盗まれた手紙を16ページにおさめた短編集。どれも一部を切り取ったような、不条理でいて、どこか不安にさせるような編み方。作者の墨と水で描く独特の味わいも健在。こころ、だけは、読了後すぐまた再読。画面いっぱいの咲き乱れる躑躅が心にとまる。こちらの作品集も原作にあたってみたく思った。