葬儀の日 (河出文庫 ま 1-3 BUNGEI Collection 初期作品集)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309403595

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  • 「葬儀の日」「乾く夏」「肥満体恐怖症」の3篇。第一作品集。

    文学とは有難いもので、普通では経験出来ないことも擬似体験させ、
    遭遇しがたい場面にも、居合わせたかのごとく、想像力を刺激してくれる。

    それがわかれば表題作「葬儀の日」も難解ではない。

    若い日には終末的傾向に陥る。人生悟ったような気がしてしまうので、好んで退廃的になる。
    太宰も「晩年」という作品からスタートした。その後太宰はいい作品を多く残した。

    「葬儀」とはなにか。自分自身なのか?

    「泣き屋」というのは 古典的な職業。聞いた事がある。
    「笑い屋」がほんとにあるのか知らないが、「泣き」があれば「笑い」がある人生。
    自分の片割れのような「笑い屋」との愛するあまりのいたぶり。

    言ってはなんだが、いつも松浦理英子の繰り返し描くところは、
    相手を痛めつけ自分自身をも痛めつけている様子、それがすさまじくもうまい。
    この本の解説では「精神的SM」といっている。

    そして確執もの終わり「笑い屋」に別れた日、それが葬儀の日。
    奥深い作品であるので、もっともっと掘り下げたいが、力不足。

    「乾く夏」「肥満体恐怖症」の方がわかりやすいかもしれない。

  • 面白かったです。
    愛だの恋だのではない、けれどそれより濃密な関係で、直接性的なことはなくても、なんだか性的に密でした。
    こうまでなれる人に出会えたことは幸せでもあり苦しみでもあり…でも知らなかった頃にはもう戻れない。
    「乾く夏」が好きでした。「肥満体恐怖症」は、わたしもこの恐怖症は持ってる気がするので、ラストにゾッとしました。嫌悪するのは、意識してるってことなのだろうし。
    一読ではまだ掴みきれていないところがたくさんあるだろうので、また読みます。

  • 「セックスとは、時間の停止した次元での横への拡張の意志である。確かにその時点では充実している。しかし、時間の観念のない所での行為だから、進歩も発展もない。その場限りのものだ。だから仲が深まるのは、性交によってではなく、時間の流れの上でのかかわり合いが進行することによってである」

  • 紀伊国屋書店新宿本店の『ほんのまくら』イベントで手にしたのがこの本だった。
    その書き出しは『昨日の葬式はとてもうまく行った』。

    三編とも死にまつわる小説だった。
    表題作が難解で、私には楽しく読むことができなかった。
    ふたつめの『乾く夏』は夢中で読んだ。
    『肥満体恐怖症』も怖面白かった。
    読みにくかった表題作は、著者の処女作だった。
    なんか、ちょっと、安心した。

  • 松浦理英子をはじめて読んだ。この葬儀の日は19歳の作品だとか。
    ・・・恐ろしい子。

    「葬儀の日」
    「乾く夏」
    「肥満体恐怖症」

    他の作品を読んでいないけど、この人は女性とか男性とかそういうわけ方じゃなくて、もっと別の区分で、それも固定的ではないわけ方、というか、そもそも分け方というものがあるのか、だけど、ニュートラルなような全然そうじゃないような、感覚を持っているのだろうな、と思いました。

  •  そして、私が笑い屋でなく、あなたも泣き屋でなくなったら、私たちは二人である必要もなくなるだろう。現実には私たちは二人だ。一人である方がずっとすっきりしているはずなのに。完全に一人であることは身に余るから、二人であらざるを得ないのかも知れない。二人であったところで、会わないわけにはいかないのだが。袋小路。
    (P.25)

  • 再読。売らないで取っておくことにする。

  • ライトノベルに慣れてる身にはちょっと固いかなーw 

  • 11月
    友達にねじまき鳥のお礼に貸したら好評ではなかった。ファンタジーだって。

著者プロフィール

1958年生まれ。78年「葬儀の日」で文學界新人賞を受賞しデビュー。著書に『親指Pの修業時代』(女流文学賞)、『犬身』(読売文学賞)、『奇貨』『最愛の子ども』(泉鏡花文学賞)など。

「2022年 『たけくらべ 現代語訳・樋口一葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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