アブサン物語 (河出文庫 む 2-1)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 170
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309405476

感想・レビュー・書評

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  • 今宵も猫本を1冊。内田百?『ノラや』とはちょっと趣向を変えて(失礼、かな?)、これを読み返して、寝ます。『ノラや』から町田康『猫にかまけて』『猫のあしあと』というライン(私が勝手に引いた)があるとすれば、年代的にも状況としてもその間に置かれるべき1冊。とはいえ、そのラインからはちょっと逸れるかな、というのが個人的な感想です。私がそう感じる理由は……。いくつかあるし、詳述すれば長くなりそうだし、ちゃんと綴れるかどうか心許ないし、控えます。敢えて、一言。「伴侶」であるアブサン(猫の名)が死んだとき、著者の「カミさん」は「辰吉丈一郎の十二ランウド目」と綽名されるほど泣き腫した、……と述べられているけれど、私が「泣いた」ことは書かれていない、ということ。敢えて言えば、そこが内田百?・町田康との違い、かな。勝手な感想で申し訳ない。でも、猫の大往生(と言っていいのでしょう)を看取ることのできた幸せ、というものも感じます。私は、ここに書かれているような事態が、実は嫉ましいのかもしれません。突然いなくなる、不慮の事故でなくす、よかれと思ったことではあるが僅かな時間で他人に託す、…、そういう猫との別れ方の多かった私は、最期を時間をかけて看取ることを許されたい、と思ってしまいます。いずれにしても、こちらの身勝手なのでしょうけれど。猫が、幸いなれば十数年から二十年余は長生きするとして、私が「その一生」に寄り添うには……、もう残されたチャンスは少ない?そんなことも考えて、また別な意味でせつない。この本自体の感想になっていませんね、再度陳謝します。「アブサン」は言わずと知れたお酒の名。「不在(absens, absentia)」とは直接関係ないけれど、どうしても「不在」の一語をイメージしてしまいます。それが私にはせつない理由のひとつでもあります。それにしても、羨ましい!こんなふうに一猫と添い遂げてみたい。

  •  考えてみれば、ミステリと演劇観系でない本を読むのも久しぶりだなって思ってショックを受けた。偏った読書をしているものだ。
    で、これは筆者のペット「猫のアブサン」と、筆者とその妻を巡る私小説である。私小説というよりエッセイに分類する人もいるかな。僕には小説的な味わいの方が強く感じられた。本の中では20年という時間が経っている。でも、読むとそれを感じない。描写が生き生きしているのと、話題を絞り込んでいるからだろう。たまたま僕の家にも猫がいるが、「そうそうその通り」なんて思いながら楽しく読んだ。手あかのついた言葉だが、癒し系の本であり、読み終わったあとで、ふと命とか縁とかいうものについて考えてしまう本であった。
    2004/8/22

  • 星2.5

     なんとなく聞いたことのあるタイトルに惹かれて読みました。

     猫の一生のお話でした。猫って、びっくりするほど(と私は思ったのですが)長生きするんですね。ともかくアブサンはとても長生きした猫さんです。いいですね。

  • 2009年4月3日購入

    最後は・・・(ゴシゴシ)
    まあいいや。

    少し引いて眺めた感じの文章で
    たんたんとアブサンと私のことが綴られる。

    筆に力がこもってくると
    自分でもわかるのか茶化すような文章が入るのが
    なかなか面白い。

    猫の話はやっぱり好きである。

  • 特に猫好きではないけど読み終わるとじわんとしてしまった。

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著者プロフィール

1940年東京生まれ。慶応大学文学部卒。『時代屋の女房』で直木賞、『鎌倉のおばさん』で泉鏡花賞受賞。著書に『アブサン物語』『北の富士流』『アリと猪木のものがたり』『猪木流』『老人の極意』『老人流』等。

「2022年 『ゆれる階』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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