母の発達 (河出文庫 し 4-2 BUNGEI Collection)

著者 :
  • 河出書房新社
3.44
  • (23)
  • (26)
  • (46)
  • (9)
  • (7)
本棚登録 : 309
感想 : 38
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309405773

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • YouTube東京の本屋の中で本谷有希子がお薦めの本という事で読んでみたが、ほとんど無茶苦茶な本だった、形而上小説ならまだ分かるのだが、ただただ母親を罵倒して無茶苦茶に扱うだけで、バカボンのパパが小説を書いたらこうなるのかなと思われる小説で、出版社は河出書房新社であるがよくこんなの出版したなと思うレベルだった、これまでの読書経験上最低最悪の本らしき物だった。

  • 笙野頼子さんの作品て、読むのにいつも変な体力使うし気合い入れて読んでぐったり疲れる感じになるんですが、これも、変な体力使ったし気合い入れて読んだのに、ぐったり疲れるとゆーことはなかったです。すっきりした読後でした。でもやっぱり毎回圧倒されます。おかーさん再構築。
    しかしあの五十音順の母は、ヤツノの理想というか、望むものなんやろうか。あれすらも母の命令で行われとる感じやったけど、そっちはいいのか。うむむ。
    でも、母を生むむすめって、つまり母子関係ってそういうことやよね。

  • 母の縮小と大回転音頭の結末のところを読みあとは、はしょりました。こういう関係の母娘は世の中に実はよくいる。こういう妄想でもしないと生きていけなかったんだろうな。妄想の世界感の広げ方は作者のワールドで評価されているところなんだろうな。作者を画像で拝見すると想像どうりの方でした。世の中で虐げられたり抑圧されたりしながらも体裁を整えながら生きている人達の感じ方が少し理解できました。

  •  母親から医者になるよう半ば強制的に勉強を強いられていたヤツノは、受験を控えた頃から軽い鬱状態に陥り、登校拒否をし出す。そして強烈な頭痛を境に、母が縮んで見えるようになる。この作品は、その発端となる”母の縮小”、続編となる”母の発達”、”母の大回転音頭”の三編から構成されている。
     物語らしい物語ではない。だが難解ではなく、読み進めていくと不気味な笑いがこみ上げてくる。その理由は関西弁のテンポや音の良さももちろんだが、言葉の選び方、造語の面白さがあると思う。作品の柱の一つとなる”お母さんの名前”がとても面白い。”母の大回転音頭”では「地獄のお母さん」、「ウニのお母さん」、「戦後派のお母さん」など様々なお母さんの名前を挙げていく。その名前や、名前から派生していくちょっとした物語も面白い。そういった言葉の面白さに加えて興味を引かれるのが、母と娘の関係である。母の支配下にあったヤツノが、”母の縮小”をきっかけに支配から逃れ、”母の発達”において逆転してしまうのである。逆転からさらに関係を修復していき、母への崇拝にまでいたってしまう”母の大回転音頭”。豪快でありながら暴走していくこと無く、見事にまとめ上げる手腕と世界観に驚く。

  • 笙野頼子の存在を知ったのは佐藤亜紀のHPからでした。
    その直後に本屋で見かけた『金毘羅』>『水晶内制度』>『絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男』と読み進めて、その流れで『説教師カニバットと百人の危ない美女』と『だいにっほん、おんたこめいわく史』を読むつもりだったんだけど、ついつい、ふらりと手に取ってしまったこの本。
    「文庫で薄く」て「読み始めたらすいすい」読めてしまったからなんだけど、いやーまー…やっぱりすごいっ!笙野頼子!!文章は「すいすい」だけど書いてる内容はすさまじく深いっ!!なのに、この枚数で治まるなんてっ!ぎゃーはっはっはっはっ。
    感想はもちろん◎!花丸つけちゃうぞ。

    いやはや、笙野頼子の作品を読んでてつくづく思うのは、「大学のゼミでだったら、どう読んだだろう??」って事。なんでゼミで誰も取り上げなかったんだろ!?と思いつつ笙野頼子の経歴を見たら…ああああ、自分が学生の頃ってまだ笙野頼子はデビューはしていたけど、知られてはいなかったのね…。
    特にこの『母の発達』は、ものすごくエキサイティングに読めちゃうような気がするなぁ。
    おおいなる呪縛と化していた「母」を「縮小」し、解体再構成することによって「発達」させ「大回転音頭」する事で昇華してしまう…。
    うー鮮やかだっ!

  • 「母の縮小」
    「母の発達」
    「」

  • 3.44/276
    内容(「BOOK」データベースより)
    『殺しても母は死ななかった。「あ」のお母さんから「ん」のお母さんまで、分裂しながら増殖した―空前絶後の言語的実験を駆使して母性の呪縛を、世界を解体する史上無敵の爆笑おかあさんホラー。純文学に未踏の領野を拓いた傑作。』

    冒頭
    『母が縮んで見えるという視界の異変にずっと苦しんでいた間の事を、なんとか文章で説明してみたいと思ったのだが、そもそも縮み始めてからの記憶は目茶苦茶だし、苦しまなくなったきっかけはごく単純な事で、しかもそれを機会に母と会わなくなってしまったのだから一方的な話になってしまうかもしれないのだった。』


    『母の発達』
    著者:笙野頼子(しょうの よりこ)
    出版社 ‏: ‎河出書房新社
    文庫 ‏: ‎188ページ

  • 町田康さんみたいな文体で女性でこれはすごい!とも思うんだが、個人的にう〇こや群体が出てくる描写が生理的に好きでないので減点した次第。

    キモさ度で言えば高得点です。

  • こんなにメチャクチャで最高な本はひさしぶりに読んだ。小説というのは元来ことばが物語を生むもので、書かれたことがそのまま虚構内の現実になるような、そういうものだけれども、それをあえてメタ的に示したようでとにかくたのしかった。

  • 連載途中のなにかを数度読んだ以来の笙野頼子、
    世界観がくっきりで、
    多少その世界に中って気持ち悪くなりながらも読みきりました。
    愛憎を笑えるようになろう。

全38件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

笙野頼子(しょうの よりこ)
1956年三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。
81年「極楽」で群像新人文学賞受賞。91年『なにもしてない』で野間文芸新人賞、94年『二百回忌』で三島由紀夫賞、同年「タイムスリップ・コンビナート」で芥川龍之介賞、2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞、04年『水晶内制度』でセンス・オブ・ジェンダー大賞、05年『金毘羅』で伊藤整文学賞、14年『未闘病記―膠原病、「混合性結合組織病」の』で野間文芸賞をそれぞれ受賞。
著書に『ひょうすべの国―植民人喰い条約』『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』『ウラミズモ奴隷選挙』『会いに行って 静流藤娘紀行』『猫沼』『笙野頼子発禁小説集』『女肉男食 ジェンダーの怖い話』など多数。11年から16年まで立教大学大学院特任教授。

「2024年 『解禁随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

笙野頼子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×