小松左京セレクション 1 (河出文庫)

著者 :
制作 : 東浩紀 
  • 河出書房新社
4.04
  • (8)
  • (12)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 232
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309411149

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 現在(2019‐2020年)ちょっとしたSFブームが到来しており、日本を代表するSF作家を読んでみようと思い手に取った。セレクション第1弾のテーマは『日本』。

    1 戦争:地には平和を、戦争はなかった
    2 経済成長とその影:御先祖様万歳、日本アパッチ族 まえがき、物体O(オー)、果しなき流れの果に エピローグ(その2)、ゴエモンのニッポン日記 、日本タイムトラベル あとがき
    3 SF的、日本的:時の顔、東海の島、お糸
    4 『日本沈没』より:日本沈没 エピローグ 竜の死

    ずいぶんと前の作品なのに、なんて新しいんだろう。びっくりでした。結末だけ知ってしまったけど、日本沈没読んでみようかな。SFの巨匠すごいわ…

  • 「日本沈没」は未読なので、エピローグは保留。
    「戦争」の歴史改変ものは空恐ろしさを感じさせる。一見現実にはあり得ないことを書いているように見えるが、ほんとうにそうか。戦後70年近く経っても、同様の問いかけは有効なのではないか。
    「御先祖様万歳」「時の顔」に使われているあっと驚きの仕掛けは、ハインラインの某短編がルーツだろうか。その仕掛けも去ることながら、時代小説としても読めるくらい、江戸時代の生活の生き生きとした描写が素晴らしい。しかも、昔は良かった式の単純な話ではないのだ。
    小松さんのどの作品にも言えることだが、矛盾している、あるいは相反するような心情が、なぜか分裂することなく絶妙なバランスで盛り込まれていて、礼賛でも断固拒否でもない、複雑さがあるところが好きだ。それは、彼が作家として、冷静な視線と幅広い視野とを持っていたということなのだと思う。

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1439711

  • 東浩紀さんの編集、小松左京さんの傑作小説集である。日本というテーマで選出しているセレクション1となっている。
    『御先祖様万歳』
    『東海の島』
    が私のお気に入りだ。これからも、小松左京さんの作品を読んでいくつもり。

  • 収録作品のなかで特に印象深かったものを。
    「戦争はなかった」。
    太平洋戦争を体験した男。周囲に戦争の体験談を話すが皆怪訝な顔をする。一様に戦争などなかったと口を揃える。まるで戦中戦後がない異世界の日本に迷い込んだよう。男は納得できず「昔、日本は戦争したんだ」と叫ぶが次第に孤立し、やがて狂人扱いされる短編。
    この作品を読む前に「世にも奇妙な物語」でドラマ化されたものを子どもの頃に観た。主演は林隆三。ただ、ラストが小説と異なる。新宿アルタ前で、原爆ドームを広島火災記念館と紹介したニュースを見た主人公が激怒して、道行く人に「俺の話を聞いてくれ!!」と喚き、警官に抱えられ連行される。

    作品の発表は1968年。さらに遠くなる戦争の記憶について、この短編を読みたびに考えを巡らす。

  • 小松左京こんなにおもしろいなんて知らなかった!読みやすい上に発想が面白い。時代物とSFの組み合わせが特に好きだった。
    日本沈没エピローグは映画版を見てから読んだけど、結構原作と違っていて驚いた。原作のほうが余韻があって好きだな…

  • なつかしいことは、なつかしい。

  • 目当てだった『戦争はなかった』だけ読んだ。
    昔、世にも奇妙な物語でショートドラマ版を観た記憶があったので、読んでみたが、原作の方もショートショート的にあっさりしていた。
    たしかに過去の特定の記憶のありなしは現在の生活に直接的な影響は無いかもしれないが、対象を理解するにはその対象の生成過程を知ることが必要ということを考えると、日本という国の生成過程に戦争があったか無かったかは、日本という国の理解に大きな影響があるし、それはすなわち、この国のあるべき姿や未来を考える上でも重要となると思う。その意味では、生活に直接的な影響は無くても、政治的な判断(一般国民では選挙)はその記憶のありなしで変わってくるであろう。もう少し生活に近いところでも、技術や経済の未来考える上でも重要になる、すなわち、選択する職業や会社を考える上で重要になるということなので、大きな意味では生活にも影響してくる。

    ——

    『地には平和を』を読んだ。
    歴史を創り出した博士自身が、歴史の中の影響で頭がおかしくなるのが、面白かった。
    『仁』みたいな感じか

  • この書籍では、数ある「小松左京」氏のSF小説の内
    「地には平和を」「戦争なかった」や経済成長とその影では色んな小説の「抄」など収録しています。

  • 「地には平和を」って名前は聞いたことがあったけど、読んだことが無かったので。購入。

    ほぼ同じテーマの「お糸」の方が好みだな。お糸ちゃんかわいい!
    後は、「御先祖様万歳」と「時の顔」(ああ、これもかぶるか

全16件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

昭和6年(1931年)大阪生まれ。旧制神戸一中、三校、京大イタリア文学卒業。経済誌『アトム』記者、ラジオ大阪「いとしこいしの新聞展望」台本書きなどをしながら、1961年〈SFマガジン〉主催の第一回空想科学小説コンテストで「地には平和」が選外努力賞受賞。以後SF作家となり、1973年発表の『日本沈没』は空前のベストセラーとなる。70年万博など幅広く活躍。

「2019年 『小松左京全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小松左京の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×