- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309411149
感想・レビュー・書評
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現在(2019‐2020年)ちょっとしたSFブームが到来しており、日本を代表するSF作家を読んでみようと思い手に取った。セレクション第1弾のテーマは『日本』。
1 戦争:地には平和を、戦争はなかった
2 経済成長とその影:御先祖様万歳、日本アパッチ族 まえがき、物体O(オー)、果しなき流れの果に エピローグ(その2)、ゴエモンのニッポン日記 、日本タイムトラベル あとがき
3 SF的、日本的:時の顔、東海の島、お糸
4 『日本沈没』より:日本沈没 エピローグ 竜の死
ずいぶんと前の作品なのに、なんて新しいんだろう。びっくりでした。結末だけ知ってしまったけど、日本沈没読んでみようかな。SFの巨匠すごいわ…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「日本沈没」は未読なので、エピローグは保留。
「戦争」の歴史改変ものは空恐ろしさを感じさせる。一見現実にはあり得ないことを書いているように見えるが、ほんとうにそうか。戦後70年近く経っても、同様の問いかけは有効なのではないか。
「御先祖様万歳」「時の顔」に使われているあっと驚きの仕掛けは、ハインラインの某短編がルーツだろうか。その仕掛けも去ることながら、時代小説としても読めるくらい、江戸時代の生活の生き生きとした描写が素晴らしい。しかも、昔は良かった式の単純な話ではないのだ。
小松さんのどの作品にも言えることだが、矛盾している、あるいは相反するような心情が、なぜか分裂することなく絶妙なバランスで盛り込まれていて、礼賛でも断固拒否でもない、複雑さがあるところが好きだ。それは、彼が作家として、冷静な視線と幅広い視野とを持っていたということなのだと思う。 -
九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1439711 -
東浩紀さんの編集、小松左京さんの傑作小説集である。日本というテーマで選出しているセレクション1となっている。
『御先祖様万歳』
『東海の島』
が私のお気に入りだ。これからも、小松左京さんの作品を読んでいくつもり。 -
収録作品のなかで特に印象深かったものを。
「戦争はなかった」。
太平洋戦争を体験した男。周囲に戦争の体験談を話すが皆怪訝な顔をする。一様に戦争などなかったと口を揃える。まるで戦中戦後がない異世界の日本に迷い込んだよう。男は納得できず「昔、日本は戦争したんだ」と叫ぶが次第に孤立し、やがて狂人扱いされる短編。
この作品を読む前に「世にも奇妙な物語」でドラマ化されたものを子どもの頃に観た。主演は林隆三。ただ、ラストが小説と異なる。新宿アルタ前で、原爆ドームを広島火災記念館と紹介したニュースを見た主人公が激怒して、道行く人に「俺の話を聞いてくれ!!」と喚き、警官に抱えられ連行される。
作品の発表は1968年。さらに遠くなる戦争の記憶について、この短編を読みたびに考えを巡らす。 -
小松左京こんなにおもしろいなんて知らなかった!読みやすい上に発想が面白い。時代物とSFの組み合わせが特に好きだった。
日本沈没エピローグは映画版を見てから読んだけど、結構原作と違っていて驚いた。原作のほうが余韻があって好きだな… -
なつかしいことは、なつかしい。