- Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309413259
感想・レビュー・書評
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それぞれの登場人物の原設定をよく知っていれば、何倍も楽しめたこと間違いなし。ただ、それを差し引いても十分に楽しめるエンターテイメント作品だった。あとがきにあるとおり、原案が伊藤計劃で、文章量としてはほとんど円城塔の作品。円城塔は伊藤計劃のことばかり褒めるけれど、どちらも力のある作家。
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なかなか難しい。
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20171231
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当時の生きていたとされる人物が実在架空問わず出てきて規模の大きな話が展開される。ぎゅっと濃縮したような作品だった。大型長編にもできそうなスケールの大きさのある作品。読むと関連した書籍を手にしたくなるオマケ付。話としても面白いのでオススメ。多少、SFについていく感覚が必要だと思うけどついていけたら色々考える余裕も生まれてより愉しく読めると思う。
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ちょっと難しかった。
アニメを先に見たがアニメを見てなかったら場景が浮かばなかったかも -
途中から、かなり疲れた。
導入に比べると、後半はダレた感あり。 -
フライデーの存在が映画と原作とでかなり異なっていたので驚いた。
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屍者の帝国
伊藤計劃の遺稿を円城塔が書いたもの。ところどころ円城塔特有のカタカナ的な分かりにくい言い回しがある。初めは気になっていたが、読むうちにそんな表層的なことではなく、伊藤計劃の物語に没入していった。
生命とは何かという問いかけの際に、「性交渉によって感染する致死性の病」という言い回しがとても気に入っている。ザ・ワンのいう、人間の意志は菌株によるものであり、その菌株が人間を駆動する。そして、その菌株を操れるようになった時、人類の歴史は変わるという考え方は、結局のところハーモニーで伊藤計劃が言わんとしていることに近いように思えた。死を前にしてもなお、人間を人間たらしめるものは何か、意思とは何かという問いに対して、魅力的な時代設定と登場人物の対話で答え続けようとするその姿に敬服する。最後に、菌株を言葉と言い換えるシーンがある。現実は物質化された言葉であり、言葉が人に感染し、伝搬していくことは多々ある。今まで多くの歴史上の事件が、魔術的に人を引き付ける標語と共に起こっていったことはまさしく「言葉の物質化」ともいえる。そして歴史とは言葉で紡がれた現実であると錯覚されたものである。歴史書に書かれたことは、現実であると錯覚してしまうが、それは言葉に過ぎない。本作の登場人物に、ダーウィンやワトソン、カラマーゾフなど実在した(とされる)人物とフィクションの人物が混在することに関して、私は伊藤計劃が歴史-言葉でつくられた世界―に対する過度な信用を疑うという目的があるのではないかとも思った。ワンピースの名言である人が死ぬときは、人に忘れられた時だという言葉は近いように思える。その人が実体として死んだとしても、語り継がれることで屍者として生き続ける。語り続けることで不死化を実現しているともいえるのだ。