- Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309414584
作品紹介・あらすじ
世界からヒトが消えた世界のカフェで、模造亀(レプリカメ)のカメリは思う。楽しいってなんだろう? カフェを訪れる客、ヒトデナシたちに喜んでほしいから、今日もカメリは奇跡を起こす。心温まるすこし不思議な物語。
感想・レビュー・書評
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読書会のために再読しました。今回も面白かったです。全部は間に合わなかったですが。
カメリ、かわいい。カフェの石頭のマスターも同僚のヌートリアンのアンも模造亀のカメリも、お客さんとして来るヒトデナシたちも全てニセモノだけれど愛しくなります。
でも、テレビやメトロは生きてる。塔や橋やテトラポットはヒトデナシで出来てるものもあるから生きてる…?
図書館の描写が好きです。水没している恐らく宇宙船の中にある本…というか本も生きてる。泳いでいます、楽しそう。
カヌレについて喋っているとき、形から未知との遭遇の話になっているところが好きです。ニセモノの世界でも未知との遭遇はテレビ放映されているのか。
「カエルみたいにヌレッとしている」カヌレ…気になります。カヌレ美味しい。
この世界に人が戻ってくる事はない気がするので、彼女たちの生活はこんな感じで永遠に続いていくのだろうと思います。
可愛いですが虚無感も覚える世界でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
夫の本を借りて読みました。
ヒトがいなくなった後の世界でヒトの生活を再現したい模造品たちの話でたぶんSFなんだけど、世界観を把握するまでにえらい時間がかかってしまって序盤は読むのに体力使った。テレビに出るくらいから面白くなってきた。
模造品が再現したいヒトの生活にはシナリオがあって、それを真似る模造品らの言動もぜんぶシナリオ通りで、思考もカメリの推論もたぶんシナリオ通りなんでしょうね。みんなそれに納得しとるしなんのためにこの世界があるのかよくわからないんだけどそーゆーディストピア風な世界観もよいです。 -
すこし、いや、かなり不思議な世界観。カメリの「理想的ボンヤリ屋さん」加減が心地よかった。いろんな旅先で少しずつ書いた物語だとあとがきで知って、なるほどーと思った。アンとマスターのやりとり、かわいい。
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話の広げ方の塩梅がうまいなあと。楽しい読書でした。しかし、図書館と地下鉄はインパクト強い。
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解説の森見の文章にひかれて購入。
人がいないディストピア的な世界で人工物たちが人を真似て生活している、という設定。
世界が常に大きく変わっているのに対して、主人公たちの暮らしは基本的には同じことの繰り返し、というギャップや、倫理観に縛られていないために行動として表れる残酷さが面白い。
またこの作家の作品を読んでみたい -
模造亀の女の子カメリは万年1号と仲間同士なのだろうか、まだよくわからないけれど、どうやら『どろんころんど』と地続きの世界(ヒトがいなくなった世界でヒトモドキがヒトの世界を再現しようとしている)の話らしい。舞台は石頭(シリコン製?)のマスターが仕切るカフェ、働いているのはカメリとヌートリア(型ロボット?)のアン。読み進むほどにいつもいっしょうけんめいなカメリがいじらしく応援したくなってくるふしぎな物語。
それにしても、「存在する」とはどういうことだろう、「理解する」ってどういうことだろう(見よう見まねとどこで分かれるのだろう?)、自分が知覚しているものごとや感じている気持ちは借り物やしったかぶりではなく本物なのだろうか、といった自分をゆさぶられるような問いかけが絶えず聞こえてくるので、ほのぼのした印象と裏腹になかなか深い作品だと思う。 -
カメリがカヌレを作っちゃうのとか、オタマに爪を突き刺してしがみつくとか、ヒトデナシが実は主役なんじゃないかとか、カメは夜更け過ぎに雪へと変わるとか、ファンタジーでけっこう心に残ります。
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おもしろい。けれど、少しこわい。
実は自分たちの住む世界も、朝起きたらなくなっていたり、倒壊したりするような、あやうい世界なのかもしれない。夢のような。
人間がいなくなったら、こんな世界が残されていたりして、と想像を巡らせる。