消えたダイヤ (河出文庫 も 9-2)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 21
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309414928

感想・レビュー・書評

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  • 少女雑誌に掲載されただけあって、残酷で煽情的な殺人場面がないところが好ましい冒険活劇。
    探偵役の青年男女、ハネ子と茶目助というあだ名が時代を感じさせる以外は軽妙な語り口が終始読みやすく、物語のタネと構成に満足できるかどうかは別として読後の満足は高いと思う。すれ違いを含めた悪役との二転三転の攻防が、どこまでブラフなのか分からなくなって最後まで気が抜けないところが特に良い。疑うほどに疑いが膨らむ(笑)。爽やかな大団円もマル。
    で、ハネちゃんと茶目坊の依頼人が「警察へ届けないように」と念を押した理由が最後の種明かしでもちょっと理解できなかったのと、高名な犯罪学者のホンモノはちゃんと存在していたのかがぼんやりしていたので(ホンモノ登場、だと分かりやすかった)そこが残念。

  • 乱歩の少年探偵団が好きな人におすすめのさわやかな青年淑女冒険活劇譚。各章につけられた小見出しを読んで気持ちがワクワクする人なら間違いなし!記憶喪失の少女を探していくうちに少しずつ謎が解き明かされていく過程もよいですが、作中に出てくる当時の銀座の風景・風俗などが活き活きと描かれていてとても興味深かったです。

  • 少年探偵団とか好きな人にオススメしたい。
    好奇心旺盛な主人公の二人(咲子と敏夫。20前後の若者です)が生き生きと活躍する様から読んでる最中「少年探偵団よりちょっと対象年齢が上向けのYA作品みたいだなぁ」と思ってたんですが、巻末の解説で「少女倶楽部」という雑誌で連載された作品と知って納得。大正14年初出作品なんですよ。凄いですね。

    内容は、推理モノというより青年と少女が機転をきかせて冒険活劇してるエンタメ作品。明らかに怪しい男とか出てくるんだけど、そいつに無邪気に事件の情報を喋っちゃう辺りとか「あー!あー!しむらーうしろー」の気分で大変楽しめました。
    さらなる森下雨村作品の復刊を楽しみにしております。

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著者プロフィール

明治23年、高知県生まれ。本名・岩太郎(いわたろう)。早稲田大学英文科卒。やまと新聞社社会部記者を経て博文館編集部員となり、大正9年に『新青年』が創刊されると同誌の編集主幹となる。編集者として江戸川乱歩や横溝正史など若い作家を世に送り出す一方、翻訳者としても活躍し、ウィルキー・コリンズの「月長石」などの海外探偵小説を翻訳紹介した。昭和6年秋に博文館を退社、翌春からは作家専業となる。当時の探偵小説界を憂い、昭和10年には「一般大衆に喜ばれる軽い文学としての探偵小説」を目指す〈軽い文学(ライト・リテラチウア)〉を提唱した。戦時中に高知県佐川町へ戻り、戦後は故郷で過ごす。昭和40年5月、脳出血の後遺症のため死去。

「2019年 『楽園事件 森下雨村翻訳セレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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