白骨の処女 (河出文庫 も 9-1)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 105
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309414560

感想・レビュー・書評

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  • 森下雨林氏といえば探偵作家より新青年の編集長のイメージが強くて、この人作家さんだったのかとなかば信じられない気持ちで手にした。
    そのくせ横溝正史氏も同じ新青年の編集長なのに著書の量で探偵作家のイメージしかないw
    内容は後日。

  • 昭和7年刊行の長編小説。
    アリバイ崩しものの古典として知られ、新潟、東京、大阪、果てはハルピンまで、トラベルミステリー的な要素もある。文章はかなりモダンで、そこだけ取り上げると余り古さを感じない。展開もスピーディで、後半にかけての盛り上がりも良かった。
    著者の森下雨村は作家としてよりも編集者として語られることが多かったようだ。そう考えるとちょっと勿体ない気がするなぁ。

  • 盗難車の中の死体、盗まれたダイヤモンド、血痕を残し失踪した令嬢、これら三点の謎を追う探偵小説。

    戦前の探偵小説のため、「実は○○は○○だった」という唐突な伏線回収が後半部に多いのはご愛嬌。
    戦前の作品と知って読んだせいか、古臭さはさほど感じず、レトロ感が良かったです。

  • 森下雨村、は江戸川乱歩を世にだした編集者として有名な人で、日本の推理小説の父、と呼ばれている人です。
    高知の佐川の人ね。
    編集をやめたあとは自分でも書いていました。
    これは1932年の作品。
    なんと90年近く前の作品の復刊です。
    でも、文章は現役だよ。
    軽々と読める……。
    ときどき“省線”とか(JRのことです)混じったりするけど、横溝正史より江戸川乱歩よりはるかに現代文だよ。
    ずっと読みたかったんだけど、全集にしかなくってまだ読んだことがなかったんです。
    河出書房、復刊ありがとう!
    公共図書館は買うべきでしょう。

    2016/9/9 更新

  • ようやく読了。

  • 風俗描写などはそれなりに時代通りなんですが、昭和7年の作品とはホント驚き。モダンな作風と、主役級で動き回る男性達が皆どこかキュートで萌える。妙に甘味好きだったり、果物食べてたり、男性二人でカフェでオレンジジュースを飲みながら事件の検討するんですよ。萌えますよね!
    あと、ホームズ役・ワトソン役的な明確な役割分担はなく、全員探偵状態(つまり、全員有能なのです!)で、それが連携しながら事件を調査してくので、情報開示のテンポも良くグイグイ読ませてくれました。

  • 森下雨村は横溝正史や江戸川乱歩よりちょっと先輩にあたる「新青年」の編集長。作風は両者よりもドロドロ感はなく、なんというか、オシャレ(?)だった印象。昭和初期の東京の風俗がモダンに描かれて、さらに二人いる探偵役のうち一人が新聞記者というのもスタイリッシュだったのかも。

    東京で起きた第一の殺人、盗難車のタクシーで青年が変死。さらにその婚約者で新潟の石油王の令嬢が失踪する。現場には血だまりと、切断された指、その指には指輪。二つの事件の繋がりは?さらに第三、第四の殺人が起こり・・・。

    謎解きとしては飽きさせず最後までぐいぐい読めた。東京の事件の探偵役と、新潟の事件の探偵役の連係プレーになってる構成も面白いし、伏線も丁寧。ただ第一の殺人の容疑者について、探偵たちはアリバイ崩しに夢中になるあまり、動機について一切言及されなかったのがちょっとモヤモヤ。結局最初の被害者は、なぜ殺されなければならなかったのかの説明がない。以降の事件については怒涛の展開で解決してまあまあスッキリ。

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著者プロフィール

明治23年、高知県生まれ。本名・岩太郎(いわたろう)。早稲田大学英文科卒。やまと新聞社社会部記者を経て博文館編集部員となり、大正9年に『新青年』が創刊されると同誌の編集主幹となる。編集者として江戸川乱歩や横溝正史など若い作家を世に送り出す一方、翻訳者としても活躍し、ウィルキー・コリンズの「月長石」などの海外探偵小説を翻訳紹介した。昭和6年秋に博文館を退社、翌春からは作家専業となる。当時の探偵小説界を憂い、昭和10年には「一般大衆に喜ばれる軽い文学としての探偵小説」を目指す〈軽い文学(ライト・リテラチウア)〉を提唱した。戦時中に高知県佐川町へ戻り、戦後は故郷で過ごす。昭和40年5月、脳出血の後遺症のため死去。

「2019年 『楽園事件 森下雨村翻訳セレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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