- Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309462134
感想・レビュー・書評
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かなりのボリューム
なかなか人物名とかヨーロッパの地理が頭に落としきれてないので理解できてない部分もあるが、そもそもこんな詳細な描写ができるのが凄すぎる。(何かで退任時に資料を全部もらったとか読んだ気も)
最後の首相になる部分は熱くなる詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[世界を決めた男の言]第二次世界大戦中のほとんどを英国の首相として過ごし、卓越したリーダーシップと戦略眼で連合国を勝利に導いたウィンストン・チャーチル。その激動に次ぐ激動の大戦期を自ら振り返った作品です。当時の国際情勢を知る上での超一級的著作であると同時に、チャーチルの人間像がくっきりと浮かび上がる一冊でもあります。訳者は、日本翻訳家協会会長を務められた佐藤亮一。原題は、『The Second World War』。
どんな時代に読んでも、様々な角度からの考査に耐え、同時に読者に対して有意義な教えだけでなく、読書の楽しみまでをも教えてくれる作品が古典と呼ばれるに足るものと考えているのですが、本作はまさにその条件を軽々と満たしているように思います。読み終えたあとに、「やっぱりチャーチルはとんでもない......」と感動の内に嘆息してしまうこと間違いなしの一作です。本書が持つ魅力は、何がすごいかを評するまでもなく、とりあえず読んでみてくださいとつい言いたくなってしまうほど。
チャーチルの当時の心情が余すところなく描かれているのも本書をして他の作品の追随を許さないものにしている理由の一つかと。もう引用したい箇所が多くてどれをここで紹介しようか迷いに迷ったのですが、やはり組閣命令を受けた晩のチャーチルの心境を物語る下記の一節を読んだ際には震えを覚えました。危機の時代においてここまで言い切ることができるチャーチルという人に改めて敬意と興味を抱くことになった読書体験でした。
〜私はあたかも運命とともに歩いているように感じた。そしてすべての私の過去の生活は、ただこの時、この試練のための準備にすぎなかったように感じた。〜
読んでよかったと心から思える作品に☆5つ
(注:本レビューは全4巻を通してのものです。) -
イギリス首相を退いたチャーチルが唯一要求したものは大戦中を含む公文書を自由に見られることだけだった。そのチャーチルが書き残した「第二次世界大戦」全6巻を改変したのが本書で、第1巻は第一次大戦後の軍縮が進む中、ヒトラーが政権を握り軍備を拡張し戦争を始める間の英仏両国の動きを描いている。そして政界に復帰したチャーチルがついに戦時内閣の首相に任命される。チャーチルの見方に立てばこの戦争は容易に避けることが出来た。しかし平和主義が英仏両国の軍備拡張を拒んだがために、領土拡大の野心を見せ挑戦するヒトラーを牽制出来ず勢い付かせてしまった。
ドイツに対する賠償支払いの要求は1ポンド43兆マルクと言う強烈なインフレを呼び自然と国家社会主義へと集まる下地が出来た。帝国主義に変わる勢力としてロシアの革命による共産主義とその影とも言えるファシズムが力をつけ始めていた。しかし国際連盟は創設され1934年まではドイツの武装勢力はまだ国連に歯向かえるほどの力はつけていなかった。
1918年にまだ無名の伍長だったヒトラーは19年9月にドイツ労働者党に加わり翌年2月の第一回大衆大会では議事を取り仕切り党の綱領を説明した。この頃からゲーリング、ヘスなどのヒトラー派が党内で力を持つ。1924年に収監されたヒトラーは「わが闘争」を練り上げた。ヒトラーとナチ党の勢力拡大にこの頃の戦勝国側は気がついていなかったが、1928年にはわずか12議席だったのが、30年に107、32年に230となりユダヤ人に対する迫害は激しくなっていく。
ヒトラーは権力闘争に勝ち残り、大恐慌が生んだ大量の失業者はヒトラー支持にまわった。33年ヒトラーのナチは過半数の支持を取り付け3月の第三帝国第一回国会は向こう4年間ヒトラーに非常時大権を与えることを決めた。粛清により軍の実権を握ったヒトラーは着々と軍備を拡張し、それを支える工業力をフル稼働させていく。一方で平和を望むイギリスはチャーチルが求めた空軍の増強を却下した。大戦開始時にはイギリス空軍は性能ではドイツを上回っていたが数では半数に過ぎなくなってしまったのだ。
35年の再軍備宣言は明らかな条約違反だったがイギリスはドイツの艦艇数をイギリスの1/3にするという新たな協定を同盟国のフランスや国連にも無断で結んだ。一見するとドイツ海軍の増強を制限する協定だがここで認められた艦艇数はドイツの工業力を超えたものであり、さらにUーボートの製造は含まれないなど実質的にはドイツを制限するものではなかった。
1936年ヒトラーはついに非武装地帯のラインラントに進撃した。この時ドイツ軍の将軍たちは消極的だったがヒトラーは賭けに勝ち以降軍はヒトラーに逆らえなくなっていく。イギリス首相は戦争の危険を冒すことはできないと実力行使には否定的で内部に強力な共産主義勢力を抱えるフランスもイギリスの後押しが無ければ国論を統一できない。そしてヒトラーの行動を制限する最大のチャンスは失われドイツはさらなる戦争に突き進む。
ラインラントの防壁がオーストラリア併合と続くチェコ侵攻を助け、ヒトラーはチェコとともに同時期のイギリスの兵器生産量に並ぶスコダ工場を手に入れた。領土は拡大し、工業力と1千万人の人口を手に入れとうとう独仏の戦力は逆転する。35年ならフランスは単独でドイツを再占領できたかもしれない。そしてのちのドイツ側の発表によると38年でもまだフランス側が優勢だった。
1939年9月1日ドイツはポーランドに侵攻し、3日イギリスは最後通牒を送り第二次世界大戦が開始された。チャーチルは戦時内閣の海相として入閣したようやくチャーチルが自分の力を発揮できる地位が与えられたのだが、もしもっと早くドイツに対する制裁を始めていれば第二次世界大戦は違った進行をしていたのだろう。アメリカの様にどこにでも乗り込んで行くのが平和につながるとは思わない。しかし、平和主義で有れば戦争を避けられるというわけでもない様なのだ。 -
「一次資料(生データ)にあたれ」という原則は,どの学問分野にも共通してあてはまる。一次資料というのは,えてして“面白くない”ものであるが,この回想録は実に読ませる。第二次世界大戦に至るまでの叙述は白眉であり,これからの日本・世界の平和を考える上でも興味深い。
*推薦者 (工教)S.F.
*所蔵情報
http://opac.lib.utsunomiya-u.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00358261&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB -
長かった。 (−_−;)
途中で何度やめようと思ったことか。
ストレスなく読むには私には教養がなさ過ぎました。
ヨーロッパを中心とした第二次世界大戦の、主要な場所、戦闘とその計画、重要な会談等々が頭に入ってないと
読んでいて、もうワケワカラン。
チャーチルさん、宰相の書く文章じゃないっす。
こまかすぎます。
加えて日本語訳も分かりづらい。
ずいぶん昔に訳されたっきりみたいです。抄訳が読みたかった。
でも読んで良かった。
本書を読んで、自分は日本から見た第二次世界大戦しか知らなかったという事がよく分かった。
アメリカって、太平洋だけでなく
ヨーロッパでも戦ってたんだね~。
ノルマンディー上陸作戦というのが、だいたい何なのかようやく分かった。
本シリーズ読破は今年の目標30個のうちの一つでした。
次はベストアンドプライテストで、ベトナム戦争について理解を深める。 -
思わず「平和とは何か」を考えてしまいました。
平和を享受しようと現実を直視せずただひたすら衝突を回避しようとする英国の姿勢、これは今の日本に通じるものがないか?
そして戦後の国連やその安全保障理事会は、第2次世界大戦への道筋を二度とたどるまいという、人類の反省のもとに創設されたことが現実的なものとして理解できます。
訳された文章は皆さんの評通り日本語としてはいまいちですが、原文が名文であるだろうことを推測させます。 -
ノーベル文学賞受賞、英国宰相ウインストン・チャーチルの書いた大戦録。
前から一度読みたいと思っていたのだが、Amazon書評によると日本語訳がイマイチとありずっと躊躇っていた。
しかし、少し前に抄録である「第二次大戦回顧録 抄」を読んだ友人が読書録をアップしていて、それに触発されて遂にトライすることにした。
確かに読みにくい日本語で読書スピードが一向に上がらないのだが、さすがに当事者の書く記録は違う。
欧州主要国だった英仏は、なぜ大戦前のドイツの増強を許してしまったのか、を当時の主要人物たちの言動を的確に描写しながら説明するので納得感がある。
あまり詳細な記録を読んだことがなかったので、訪れたりして馴染みのある都市で大戦開始に際して起こったことなどが興味深く次々と現れる。
チェコスロバキア、ポーランド、ノルウェーと緒戦に連合国を圧倒して次々と勝ちを収めていくドイツ軍の圧倒的な存在感と、チャーチルの冷静な分析が対照的で印象に残る。
最後は遂に挙国一致内閣をチャーチルが立ち上げる所で第一巻は幕を閉じる。
ここからいよいよ戦線が欧州全体に広がり、英国への空爆と続くチャーチルにとっての正念場へと雪崩れ込んでいくのだろう。
時間がかかりそうだが、しばし60年以上前の欧州に思いを馳せながら読み通して見ることにしよう。
内容的には間違いなく☆五つだが、読みにくい翻訳で一つ減とした。
また、普段は分冊ものは最終巻読了後に書くのだが、最後まで行き着いた時には一巻の内容を忘れそうだったので書いておくことにした。 -
「これは最初はこの分野の一部だけをカバーしたにすぎなかったが、これはわれわれのところに流れてくる無数の事実と数字について……」万事この調子のすごい訳文。英語の得意な高校生に訳してもらったほうがまだマシだと思う。ごめんなさい投げました。
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単に名前を知らない人たちが多く出てくるので判りづらいのか、他の人が言うように訳が悪いのか…。
基本的にスラスラ読んで頭に入る感じじゃないです。
学問として読むわけではないので、あまり細かい点を気にせず、とりあえず大きな流れだけを読むようにしたら面白かったです。
戦争アレルギーというか「ありえない!」って拒否反応は万国共通なんですね。それでも起こってしまう時はあるのだから、現実に即して対応をすべきことを教えてくれます。
理念だけじゃ物事解決しない…。チャーチルのブレないリアリストさは含蓄があります。
一部引用しましたが、他にも良い言葉があったので、再読したら載せたいです。