ボヴァリー夫人 (河出文庫 フ 9-1)

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 314
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (597ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309463216

作品紹介・あらすじ

冴えない田舎医師ボヴァリーと結婚した美しき女性エンマは、小説のような恋に憧れ、平凡な暮らしから逃れるために不倫を重ねる。甘美な欲望の充足と幻滅、木曜日ごとの出会い。本気の遊びはやがて莫大な借金となってエンマを苦しめていく。テンポの良い名訳で贈る不朽の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 冗長さに耐えられなくてかなりの部分を飛ばしながら読んだ
    巻末の解説が蓮實重彦で、むしろこの人の書いたボヴァリー夫人論のほうに少し興味があるから、もしかしたらボヴァリー夫人論を読むときに再びこの本を開くかもしれない

  • 今年読んだ本のベスト。多少読みにくかったが、空間の細部が緻密に描かれいることで、小説世界にグッと引き込まれた。主人公エンマの感情の機微がロマンチックに美化されることなく、リアルに描かれているので、より胸に迫るものがあった。フローベールは天才だと思う。訳者のセンスもいい。

  • フローベールが「ただ息をするように書いてみた」実験的小説。そして完成したこの小説は不思議な小説になった。恋愛とは幻想である。話自体は小説のような恋愛という幻想の中で借金が膨れて身動きが取れず全ての恋愛が終わり自殺する医者の妻、美しきエンマ・ボヴァリーの話。この話には恋愛の、欲望の、あるいは倫理的であれ何であれテーマがない。ただ人が生きるようにコトは進み、ひとりの女性の人生が終わる。大人になってから死までの間に幾度かの恋がありそれが形として不倫だったのだが、それはここではあまり関係ない。人は自分の作り出した幻想を最後まで貫徹することはできないという話なのか。ラスト100ページはスリリングに破滅していく。その破綻と共に彼女の恋も夫や娘の人生も全てが終わるということが淡々と語られる不思議な小説なのだ。森鴎外の孫にして森茉莉の息子、山田じゃくの訳文が素晴らしい

  • 小説の歴史に刻まれるとても小説らしい本格小説
    いつでもどこにでもある登場人物たちと筋書きとを
    文章芸という手先を超えて細部が造る全体として構成するような作品
    のようなものだと思うが
    原語で読んでもいないくせに何わかったようなこと言ってんだってなものかもしれない
    日本語で現在読んでも
    さすが時代を越えて読み続けられる作品と風格なんである

  • 2017年10月7日に紹介されました!

  • ぶっちゃけ単純な不倫小説と言ってしまえばそれまでですが、主人公ボヴァリー夫人ことエンマが、退屈な結婚生活から不倫に走って破滅するまでの身も蓋もない物語なのにめっちゃおもしろかったです。

    ふつーに考えると、医者シャルルと結婚してごく平凡ながらまあまあの生活が送れるエンマは、決して悪い状況ではありません。2回目の結婚のシャルルはそれは優しいし(先妻が最悪だったので)、エンマも愛せると思って結婚を決意したはずでした。しかし、甘いはずの新婚生活で気がついたことは「あ、全然好きじゃないわ」というのが悲劇の始まり。
    確かに結婚というのは愛だけじゃないけど、相性が悪いというのは片方だけの愛や金では埋め合わせできないもんなんですね。どう考えてもエンマが悪いのですが、気の毒なところもあります。
    また、エンマは意識高い系というかワナビーでもありました。「本当の私はこんなんじゃないはず」「他の同級生はもっと幸せになっているはずなのに、なぜ私は?」と言った考えから逃げられませんでした。なまじ美人でちょっといい学校に行ったばかりに…おまけに小説大好きで夢見る子だったので尚更。そんなエンマは今だったらインスタやフェイスブックでマウンティング女子になってるかもしれない。

    100年以上前の小説ではありますが、男と女の俗っぽい話はそんなに今でも変わらないし、むしろフローベールの視点はまだ全然通用するんじゃないかと思いました。
    どんどん落ちていくエンマの急展開人生は普通にエンターテイメントとしても面白く、どんどん読めちゃいました。
    ちなみに訳者は森鴎外の孫で森茉莉の息子、という華麗なる一族っぷりは蓮實重彦のあとがきでも伺えます。

  • 2014/07

  • フローベル氏の本に出会ったのはのは、私の敬愛する
    森茉莉さんの息子さんである山田爵氏が翻訳した。
    「ボヴァリー夫人」でした。

    やはり、翻訳の上手な人のを読むと、その本の世界に
    グイグイと引き込まれ、時間を忘れて読んでしまいま
    す。
    フローベル氏の作品が好きだった山田爵氏の翻訳され
    たものは、現在、あまり新刊では無いのが残念です。
    もっともっと読めたらいいのになあ・・・。

  • あまりにも有名なフランス文学の古典。
    これまでに色々なことが言われているが、読んでみると予想外に波乱万丈でエンターテイメントとしても一級品。これって今で言う『多重債務』ってやつだよなぁ……。

  • 『ボヴァリー夫人』って聞いたことあるけど、どんな話かまったく知らないなぁと思って手にとった本。

    解説にもあるように少し文章が読みづらいけど、そこを我慢して読み進めると途中からまさかまさかの展開で一気に読めた。

    ってかエンマ結局死んじゃうの!?っていうオチにびっくり!

    夫のシャルルは良い人だけど、退屈な人。
    既婚者ならエンマの気持ちに共感しながら読めるかも。

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著者プロフィール

1821年生まれ。19世紀フランスを代表する小説家。主な作品に、本書のほか『ボヴァリー夫人』『聖アントワーヌの誘惑』『サラムボー』『三つの物語』『紋切型辞典』『ブヴァールとペキュシェ』など。

「2010年 『ボヴァリー夫人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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