演劇とその分身 (河出文庫 ア 5-4)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309467009

感想・レビュー・書評

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  • アルトーってタメ?ってぐらい今に響く言葉ばかりだった〜曲解ばかりかもだけど。笑っちゃうぐらい言葉が回りくどいから友達になったらめんどくさそう!悪口めっちゃ言うし。
    でも超ありがとうだよー心強いです
    演劇とペストはもっかいよむよーサンキューアルトー

  • 今までに数冊読んだアルトーの本もそれなりに難解だったけれど、アルトーが演劇人であることを念頭に置いて読むと意外とわかることが多かったので、今回、タイトルからして演劇についての話なら、いつもよりいくらか入りやすやすかろうと油断していたのだけれど、結果やっぱり難解だった(苦笑)

    内容が難解なのもあるけど、たとえば「その事実は、単なる政変をきっかけに、紀元前660年前に日本の聖都メカオで爆発的に起こった伝染病と比較すべきものなのだ。(24頁)」という記述など、え?紀元前の日本?縄文時代とか?聖都メカオ?どこそれ?え?え?と、本筋と関係ないところでクエスチョンマークだらけになったりもする。まさか誤訳じゃあるまいし、アルトーの脳内日本はいったいどうなっていたのだろう。

    まあそれはさておき、寺山修司や土方巽にも影響を与えたという本書、現代人にとってはわりと当たり前にある前衛舞踏や身体表現がまだなかった時代にこれを言い出したアルトーは、なるほどすごい。「感情の競技」で息の使い方がどうのこうのというあたりなんかは、一種のメソッドとして成立しそうだ。先見の明という意味では「残酷の演劇(第一宣言)」内で提唱される四方に舞台があって真ん中に可動式の椅子を置いて観客を座らせるという構想も、たしか数年前日本でも円形のホール360度ぜんぶ舞台になってるステージアラウンドシアターとして実現しているし。

    演劇とペストの比較は突飛なようで解りやすい。「演劇もペストもひとつの危機であり、死か治癒によって解決される」「ペストと同じように、演劇は悪の時間であり、黒い力の勝利である」「演劇はひとつの病である」「演劇はそのエネルギーを高揚させる錯乱へと精神を誘う」などなど。どちらも強い伝染性を持ち、ペストは人間の肉体を汚染し破壊するが、演劇は人間の精神を蝕み破壊する。

    アルトーにとって東洋の演劇=バリ島の演劇というのは東洋人のはしくれとして極端すぎる分類だと思うけれど、要は西洋的な台本至上主義からの脱却、演劇における「話し言葉」=セリフ、会話による筋運びから自由になることをアルトーは理想としていたのだろう。現代演劇を見慣れた者からすれば、もはや演劇は「そういうもの」(アルトーが提唱していた通りのもの)にすでになっているのだけど、当時はそうではなかったということで、つまり現代我々がさまざまな前衛的な舞台を見ることができるのはアルトーのおかげかもしれない。ありがたや。


    ※収録
    序 演劇と文化/演劇とペスト/演出と形而上学/錬金術的演劇/バリ島の演劇について/東洋の演劇と西洋の演劇/傑作と縁を切る/演劇と残酷/残酷の演劇(第一宣言)/残酷についての手紙/言語についての手紙/残酷の演劇(第二宣言)/感情の競技/二つの覚書(一、マルクス兄弟/二、母をめぐって)

  • アルトーの演劇理論。
    『理論』と言うと些かややこしいイメージがあるが、文章そのものが持つ躍動感やダイナミックさの方に惹かれた。特にバリ島の演劇について書かれた一節は、その場の空気が伝わるようだった。
    ……ところで、内容とは無関係だけど、これを文庫で出しちゃう河出って、色んな意味で凄いよなぁ。

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著者プロフィール

1896-1948年。「思考の不可能性」を思考するフランスの詩人。「残酷劇」を提唱する演劇人。西洋からの脱却を必死に試みて、後年、精神病院へと監禁される。激烈な生涯と『演劇とその分身』『ヘリオガバルス』等の著書によって巨大な影響を与え続けている。

「2019年 『演劇とその分身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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