右翼と左翼はどうちがう? (14歳の世渡り術)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309616438

作品紹介・あらすじ

ウヨクとサヨク。命がけで闘い、求めているのはどちらも平和な社会。なのに仲良くできないのはなぜ?両方の活動を経験した著者が、学校では教わらない右翼・左翼のテロ、革命の歴史や現状をとことんかみ砕く。現役活動家6人への取材も収録。中学生以上、大人まで。

感想・レビュー・書評

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  • 右翼や左翼と聞くと、実態はよく分からないが過激な怖い団体と思いがちだ。
    右翼は軍歌を流しながら街宣車でがなり立てる、左翼は赤軍派で知られる革命を夢見た昭和の過激な若者達…そしてどちらも最近は以前のように活動しているイメージがない。

    著者の雨宮処凛さんは、いわゆるロストジェネレーションの一人。正規雇用されず、フリーターという不安定な選択肢しかなく、生き辛さを常に感じていた。そして、右翼、左翼団体に順に所属し、学んだ人なのだ。

    「14歳の世渡り術」とタイトルにあるように、分かりやすい言葉で両者の考えが書かれており、過激な団体はごく一部だということも、自分なりの考えをもつことの大切さもよく分かる本。
    18歳で選挙権を得る、今の中高生に読んでもらいたい。

  • 山口二矢おとや。17歳少年。日比谷公会堂で社会党の浅沼委員長を刺殺1960。社会党は安保反対を訴えていた。

    中央公論に載った小説で天皇が殺されるシーンが出てきたとして、17歳の少年が中央公論社の社長宅に押し入り、家政婦を刺殺1961

    共産主義系テロ組織(連合赤軍)の残党が、長野県の保養所にて「反革命」的であるという理由で仲間を次々に殺害(死者12名)。あさま山荘事件1971

    「日本の大企業はアジアを侵略している」として、アナキズム系テロ組織(東アジア反日武装戦線)が、三菱重工業本社ビル(丸の内)を無差別爆破テロ1974(死者8名、重軽症380名)。

  • 左とか右とか、
    本当はどうでもよいのではないのか?

    ようは、自分でものを考えられるか、どうか。
    意見を持って言えるか、どうか。
    だと思う。

  • 子供に質問を受けたけどよくわかっていなかったので読んでみた。それぞれの立場をわける切り口はたくさんあることがわかった。戦後などにそれぞれの立場でどんな出来事がおきていたのかも分かりやすく説明されていた。

  • 右翼と左翼について学び始めるのにオススメだなと思いました。
    自分も全然詳しくないけど、これは学ぶきっかけになる良い本だなと。

  •  ざっくりと右翼と左翼のイメージをつかむにはよい入門書と思う。
     作家本人の体験談も織り込まれていて、読みやすい。


    右翼と左翼
    ・天皇制
    右:大事に思っている
    左:廃止すべし

    ・戦争
    右:日本は被害者
    左:日本は加害者

    ・9条
    右:廃止して、自国軍をもつべき
    左:反戦

    ・共産主義
    右:資本主義のほうがマシ
    左:共産革命を

    <右翼>
    日本は戦争の被害者だ→アメリカは敵・資本主義も敵
    だが、その後「親米右翼」として復活。
    理由は、冷戦時代で、左翼の台頭で政府が革命を恐れたため。

    <左翼>
    3つの潮流
    ・アナキズム
    ・党を重視する共産党
    ・労働者、農民の現場を重視する社会党

     幸徳秋水の大逆事件でやや低迷→戦後、アメリカによる共産党解放→ソ連への幻滅から新左翼の登場:日米安保に反対し過激な行動に出る→ベトナム反戦運動で華やかに・赤軍の登場、内部闘争の激化(内ゲバなど)→世間どんびき→ソ連崩壊→再び下火、しかし、弱者救済、エコロジーなど間口が広くなる

  • 過激はエスカレートし、さらなる過激を生む。主義や主張が何のためにあるのかということが置き去りにされ、過激であることを求める性向があるのではないか。

    赤軍などの、過激左翼運動が分かりやすい解説で描かれている。筆者の視点も、客観的な部分と、主観が強い部分を行ったり来たりする感はあるが、わかりやすさという点では評価できる作品だ。

    後半は6人の左翼、右翼の思想活動家たちのインタビューが収録される。右翼にしろ、左翼にしろ、考え方や立場は異なれど、世の中のことを、真剣に考えている人たちなのだ、というのがそれぞれの組織に所属した経験を持つ筆者の基本的な考え方であり、腑に落ちる。

  •  一読して,この手の本としては,良くまとまっているなと思いました。
     私自身は,左翼的な考え方の本を追っかけてきたので,自分の思想的な立場も,そちらのほうです。が,一水会の本も読んだことがあるし,統一戦線を組める問題は,組んだ方がいいという中道的考え方も持っています。
     さて,著者の女性は,右翼にも左翼にも関わったことがある人です。彼女は,『ゴーマニズム宣言』に影響されて,右翼と接触を持つようになったといいます。おそらく,たくさんの若者が,『ゴーマニズム』だけを読んで,保守的な思想を作っているんじゃないかと思います(違っていたらごめんなさい)。また,右翼の集会へ行ったら,とても分かりやすい言葉で話していたけど,左翼の集会は,難しい言葉ばかりで,私の来る場所ではないと思ったとかも書いています。確かに,右翼の言っていることはわかりやすいですよねえ。「伝統を守れ」「私たちのために亡くなっていった英霊に手を合わせよう」ですから。

     現実の矛盾を,そのまま「仕方ない」と肯定するのではなく,「なんとか,自分にできることはないのか…」と考える時に,行動の指針が必要になってきます。そのとき,どんな運動をして,社会に働きかけていくのか。フクシマ以来の原発反対デモなどでは,新しい形の(従来の右翼・左翼に支配されない)運動形態が生まれてきているような気もします。
     右翼・左翼という言葉よりも,自分の意見をしっかりもって,社会を見ていくことが大切です。そのときに,人の意見にもちゃんと耳をかたむけることです。靖国神社に参拝するのはなぜか,靖国神社参拝に反対するのはなぜか。相手も「善意」で動いているはずなので,まずは,その善意をじっくり聞いてあげる。その上で,自分の意見をしっかり伝える。そんなことが大切なんだと思いました。
     14歳が読んだら,どんな感想を持つのかなあ。知りたいものです。
     

  •  現在活動中の右派・左派各3名の方にインタビューをしている。それぞれの立場の人がちゃんと立脚するところがあって活動をしているというのがわかりやすくていい。

     雨宮処凛本人に対する評価はもっと詳しく関わっている方にお任せするとして、本文に書いてある通り、この本はあくまでも<知るためのイントロ>です。14歳が(そして筆者のような無学なおっさんが)右翼や左翼のことに興味を持ったときに、どっちにも進めるように細心の注意を払って書かれているのが非常に好感でした。

     なぜなら、どちらかのイデオロギーに与する(させる)ことが最終的な目的ではなくて、今の日本の現状について把握して、日本国民各自がそれぞれなりに考えることが目的だからです。

     お読みいただければわかるけれども、少なくともどっちが正しくてどっちが間違っている、という問題ではないのです。ただ、自分の実感に近いアプローチの仕方をしていくしかないというのがわかるわけです。

     結論。まぁ、怖くないから読んでご覧なさい。

  • 若い頃にこれを読んだら「ここが違う」「あそこはでたらめ」と批判しまくったろうが、オッサンになった今、「こういう切り口もありかな」とは思う。雨宮は「右翼出身」と言うことを売りにしているようにも読めるが彼女は「反米右翼」という現代右翼のなかではかなり「特殊な立場」だった故にこのような著書を上梓できたのだろう。
    この本に書かれている「反米右翼」は日本の現代右翼の主流ではないし、その主流が「親米右翼」「新自由主義のポチ」という現状と彼女が描く右翼には絶望的な乖離がある。其の点だけは補足しておきたい。

  • 実際の右翼左翼活動家のインタビューがよかった

  • 市原中央図書館でレンタル

    常日頃から、国粋右翼を名乗っておきながら右翼・左翼などの思想の概要についていまいちよくわかっていなかった私。
    あからさまに易しい入門書的なオーラが出ていたので、借りてみました。両者の概要もよくわかり、自分の思想がどうやら「新右翼」に近いということが分かり、満足です。

  • 文字通り
    「右も左もわからない」まま大人になった僕ですが

    雨宮さんの説明はとっても分かりやすかった。

  • この本を14歳向けのシリーズに出したことがまず凄いなあと。

    右翼も左翼もことばでは知っていて、どちらに寄ってもよくないと言われるけれど、でも実はちゃんと意味を教えてもらったことってないし、今の自分も知らないなあと思い、読むことに。

    右翼の人も左翼の人も国や自衛隊、天皇、領土など普通の人なら「避けて通りたい、立場を表明したくない」話題についてしっかりと自分の意見を述べているのが印象的で、自分が恥ずかしくなる本でした。

  • 右翼、左翼として活動していた雨宮処凜氏の著書。

    14歳の世渡り術というだけあって、非常に分かりやすく、かつ簡潔に右翼と左翼の歴史が記されている。
    しかし、ボリュームとしてはかなり少ないので、本当に初学者に向けた本といった感じ。

    私自身、右翼の歴史についての本は読んだことはあっても、左翼の歴史について学んだことがあまりなかったので、左翼についての記載は勉強になった。

    本書の一番のポイントは、右翼、左翼それぞれの活動家3名ずつにインタビューをしているところである。
    右翼活動家の思想については、細かいところで異なる点はあるものの、概論については、私の思想と一致していたが、左翼活動家の思想については、保守本流に身を置く私としては、「国賊」としかいいようのないものであった。
    しかし、左翼思想が言わんとせんことも分からんでもなく、その点において対立する2つの思想を供に記している本書の価値があるといえよう。

    印象に残ったのは、左翼活動家の、「世界の同年代の人のことを思い浮かべてみよ」という言葉であった。
    生まれた場所や環境によって、人々が不平等になってはならない。
    それが彼らの思想なのだ。

    憲法改正や国軍の設立、核武装や天皇の位置づけなど、左翼思想とは相容れることのない私の思想だが、反資本主義という点では左翼思想と繋がっている。

    無論、社会主義がいいというつもりもないし、頑張ったものが報われる社会というのは当然だと思う。
    しかし、生まれた場所や環境で、頑張ってもどうしようもない壁が出来てしまうという現代を受け入れることは出来ない。
    極論を言えば、生まれて時には人類皆平等であるべきなのだ。

    今まで触れたことのなかった左翼思想に触れ、思わぬところに共感をした。
    左翼活動家に高学歴者が多いのは、左翼思想の方がより奥が深いからかもしれない。

    今後は、右翼思想だけではなく、左翼思想へも興味を持って行こう。
    そんな風に思える本であった。

    なお、最後になるが雨宮処凛氏のいうように、現在の思想は多様化しており、簡単に右翼と左翼に分けられるものではないと思う。
    右翼と左翼という言葉、区切り自体、旧時代の陋習で、今後新たな言葉の定義づけが必要となっていく気がしてならない。

  • 右翼と左翼、どう違うのか?どちらの団体の活動もした著者が、とことん噛み砕く。考え方は違えども、国の事を本当に想っていることは一緒である。各活動家の反省や言葉が興味深かった。

    17歳の右翼少年が国の将来を想い、人の命を奪い、みずからの命をかけた。今から40年以上も前に、そんな時代もあったことを今の若い人たちはどれだけ知っているのだろうか。

  • 右翼と左翼、両方の団体を経験したという雨宮さんによる解説書。
    現役の活動家へのインタビューも掲載されおもしろい。

    雨宮さん自身が両方を経験したとおり、実は右翼と左翼というのは相対的なものでしかないというので、厳密な違いというのは、実はないのかもしれない。
    そのあたり「右翼と左翼 (幻冬舎新書)」に非常によく書かれているので、更に知りたい方はお勧め。

    この本は「国家観」のない(考えない)若者向けへのアンチテーゼというべきだろう。それすら触れる機会を与えられることもなく、漠然と漫然と生きていること、それが「この国に生まれながら幸せだと思えない」という日本の姿かもしれない。(と書くと右翼的なのか左翼的なのかわからないが・・・)

  • 右翼と言われたら私も入ってる人に出会ったことがあるし、なんとなくイメージは湧いていた。
    しかし、左翼と右翼の違いは?
    と言われると正直答えられない。
    実際の右翼左翼の人の話もあり、初めてこのことについて興味を抱いた私でも読みやすかった。

  •  27歳になった今でも、よく分からない右翼と左翼…右翼は街宣車など少しでもイメージがあったけれども左翼についてはチンプンカンプン???
     そんな思いから本書を手に取った。

     通読して分かったのは、右翼であれ、左翼であれ、何かしらの自己主張をしたい人だ!ということ。右翼の反対が左翼だから、左翼はとても平和的な行動をしている人たちなのだろう…と思っていた私にとって、60年安保闘争や赤軍が左翼の人たちの一部であることに衝撃を覚えた。

     著者も記しているが、私たち若者は右翼についても左翼についてもよく知らない。よく知らないモノがある日突然やってきて、自分たちにとって魅力的な話を展開させていったらどうなるだろう?
     それはきっと、80年代のオウム真理教の信者たちのように、素直に、無条件にその考えを受け入れ、活動にのめりこむのではないのだろうか。

     現代はよくも悪くも個人主義の社会である。個人で生きていくためにはより多くの情報を取得し、取捨選択しなければならない。大人たち(団塊の世代)が、教えてはくれなかった、隠してきた事実を私たちは知らなければならない。強くそう思った。

     14歳を対象として書かれているので平易で読みやすい。著者のメッセージ力というか、思いの強さには多少辟易とするが、同意できる部分は多々ある。第3者として、客観的に読むことができる人にはオススメ。

  • 簡単だけど難しい

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著者プロフィール

1975 年北海道生まれ。作家・活動家。「反貧困ネットワーク」世話人。フリーターなどを経て2000 年、『生き地獄天国』( 太田出版/ちくま文庫) でデビュー。主な著書に『生きさせろ! 難民化する若者たち』( 太田出版/ちくま文庫)、『相模原事件・裁判傍聴記 「役に立ちたい」と「障害者ヘイト」のあいだ』( 太田出版)、『コロナ禍、貧困の記録 2020 年、この国の底が抜けた』( かもがわ出版) など多数。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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