- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309631127
感想・レビュー・書評
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「一億三千万人のための『論語』教室」高橋源一郎著 2500年前の講義、現代風に再現
2020/3/7付
日本経済新聞 朝刊
中国の思想家、孔子の教えをまとめた「論語」は学校の授業で習うこともあり、日本人にもなじみ深い。40歳を不惑、50歳を知命と呼ぶのも「論語」に基づくものだ。もっとも、作家の高橋源一郎氏によれば「一筋縄ではいかない本」という。様々な解釈があるし、そもそも孔子が全部を語っていないからだ。
そんな「タカハシさん」が現代語訳に取り組んだ『一億三千万人のための『論語』教室』が売れている。2019年10月末の刊行以来、発行部数は7刷6万部に達している。
13年ごろ、高橋氏がほぼ20年「論語」の翻訳に取り組んできたことを知った担当編集者の尾形龍太郎氏は、まず季刊文芸誌「文芸」での連載を依頼。「『光文社古典新訳文庫』が話題になるなど、古典への関心が高まっていると感じていた」と尾形氏は振り返る。
本にするに当たっては、18年に約60年ぶりに復活した「河出新書」という形を選んだ。「(古典を解説するという)内容が新書に合っている上に(四六判に比べれば)価格も抑えられる」と考えた。500ページ超とかなり大部になったのは「『この一冊で論語が分かる』ということを売りにしたかった」ためだ。
孔子を「センセイ」と呼ぶなど、大胆な翻訳も人気の理由という。孔子が政治家の子産を「君子の道、四あり」などと評した一節。「政治家が持つべき四つのモラルをちゃんと持っています」と評価し、それを「威張らない」「気をゆるめない」「人びとにとってなにが一番大切かを第一に考えた」「人びとを使うにあたって、決して無理はさせなかった」と訳す。さらに「(さすが、センセイ! いいこというじゃん)」と感想を加える。
2500年前の講義風景を現代社会に合わせてよみがえらせた点が、読み手の心をつかんでいるようだ。
(編集委員 中野稔)
(河出新書・1200円)
▼訓読部分は著者が最も参考にしたという宮崎市定『現代語訳 論語』(岩波現代文庫)が底本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
難解な論語を、現代に則して学生でもわかりやすいように、噛んで含めるように論じている。
漢文を習う中高生にもおすすめすることができる。 -
2020.11.1
やっと読み終わった、、
長らく論語の全訳が読みたいと思っていた中、本屋で発見。積読状態が長かったが、ようやく読み切ることができた。
時代背景の理解も必要な論語を、現代風にわかりやすく訳された内容で大変素晴らしい。何より孔子への愛が伝わる文章で、とても気持ちよく読めた。あとで調べたら筆者の経歴も中々のもので、「よくぞ書いてくれた」といった感想を抱きます。
論語は年1は必ず読んでいますが、読むたびに自分の悩んでいることの答えが見つかり、自分の定点観測的な立ち位置になってます。たくさんの解説本を読みましたが、その中でも今回の本はバイブル入り間違いなし。
今回もまた、孔子に学ばせていだきました。
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考えなさい。
正しく生きなさい。
正直に生きなさい。
そして、行動しなさい。
たくさんの格言の中から自分が感じたポイント。
知るだけでもダメ、行動しなければ。
面白かった。
極端に現代風な意訳。著者の政治的スタンスが垣間見れるのも楽しい。
知った僕。
次は行動だよな。 -
論語がこんなにも面白い、笑えるとは思わなかった。
訳のおかげだけど。取っ掛かりとしてこの本を選んだのは大正解だった。 -
単純な対訳だとあまりに簡素になってしまうのに対して、非常に工夫されて訳されており感心した。ただ、あまりに分かりやすく訳されていて、論語を読んでいるということを忘れてしまうほど軽妙であるとも言える。これはどちらかと言うと著者ではなく自分の問題で、論語を噛みしめて血肉に通すような経験のためには、それこそ著者のように何十年もかけて味わい尽くす、何度も本文を行ったり来たりする必要があるということを痛感させられた。
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作家高橋源一郎が20年ががりで論語と向き合い、超訳でも創作でもなく、現代版に通訳した高橋版論語。
現代語訳なだけにすんなり入っていきやすい。
まずは駆け足で読んだが、次はじっくりと再読したい。