ルポ自殺 : 生きづらさの先にあるのか (河出新書)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309631554

感想・レビュー・書評

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  • 自殺について。データや法令の羅列が多く、求めていた内容とは幾分違ったけれど、時代ごとの自殺の傾向などを知ることができた。

  • 事象の羅列、文章の前後関係がわからなかったり事象がどこから切り替わったのかわからなかったりするが、得てして自殺するものの心理を考察している。
    死にたいというより消えたいという感覚になるということだが、消えたいと思うことは誰しもあるのではないだろうか。そこでしばしの死んだあとの妄想で粛々と現実を生きる人と、決行してしまう人との差は何なのか。そこにはあまり差がなかったりするのだろうか。原因追及については現在も進んでいない状態とのこと。

    いずれ死ぬのだから、死ぬまでこの世を楽しめばいいと思う。それは私が恵まれた環境で健全な心の持ち主だからそう思えるのであって、家族や環境に恵まれなかったりすると違う考えになるのだろうか。うつ症状を煩う人は真面目さから来るとか甘えなどというが、私は視野狭窄という免疫不足からくる病だと考える。日常=世界になってしまっている。
    本の世界でも、空想の世界でも現実逃避はすぐに可能だし、死ぬくらいならすべての人間関係を絶って自由に暮らせばいい。こういう考えもかすらないくらいの精神状態になっているとしたら、それは明らかに病の一種ではなかろうか。

  • 自殺者やその遺族のインタビュー、自殺の種類、社会と自殺、国や学校での自殺対策など、自殺についてのルポ。

    前半は自殺に関する統計や法律等々で少し読みづらい感じだった。また、自殺に関する出来事が羅列されているような印象。こういう人はこういう方法で死んだ、のような。

    後半から自殺対策の話や、子供、女性の自殺について書かれている。

    SNSのホットラインに相談する人のほとんどが女性だということに驚いた。コロナ禍でも女性の自殺が多いということで、もしかすると「話をする場」が奪われてしまったことも原因なのかもしれないと思った。

    自殺者をどう防ぐか。「自殺や自傷はしてはいけない!」と言い続けることが、本当の自殺対策になるのか? 自殺志願者たちのコミュニティを潰していけば自殺は減るのか? 何が正しい方法なのか分からない。死にたい気持ちを志願者たちで話したり、「生きるため」に自傷行為をすることは、正しくはないにせよ必要なことなのではないか。

    最後に著者は「消えたい」と「死にたい」は似てるようで違うということを述べていたのが印象的だった。

    理由なき自殺。

    死にたい気持ちはないが生きているのも苦しい。そういう漫然と生きている人が多い気がする。希望も絶望もない社会で、自分はどう生きようか考えさせられた。

  • どこかのレビューで「統計や数字が多く、読みにくい」のようなことが書かれていたが、個人的には具体的数字とインタビューの記録がメインであった事(ルポルタージュなので当たり前だが)がむしろ著者の思考などの惑わされず意見を考えながら読めるので興味深い一冊だったなと感じる。
    こういったインタビューや取材をした人が結局死を選んでしまったというようなことが頻繁に起きている中で、感情移入をあまりせず、淡々と仕事をしている著者に少しばかり狂気じみた感情を抱かずにはいられなかった。

  • 自殺者は年間二、三万人。
    莫大な数であり、統計的に扱うしかない。しかし一方では個別な対応が必要だ。

    そういった分析ができていないのではないか。著者も自殺予備軍の人と多く関わってきたとのことだが、個別対応はできていない。

    読了40分

  • 筆者がインタビューして関わっていても最終的に死に至ったり近しい状況となるところはリアルというかこの問題の根深さを物語っている気がする。
    本書では経済的よりも家庭環境諸々の闇を抱えた若者が多かったが、この先(感想を書いているのは2023年2月頃)増税を国民の責務と考える首相の元自殺者が増加しそうな予感がするのは自分だけだろうか。

  • いろんな視点で自殺を問いかけているが
    すっかり納得するのは困難だった
    それだけ、人が生きていくのは大変なんだ
    目的や理由が必要
    それでも説明できない死がある

  • なんか書き方がアレなのか、終始読みにくい印象でしたねぇ…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    様々な自殺した人々に話を聴いているようですけれども、断片的に記されているだけであって、深い共感とか? は抱けませんでしたねぇ…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    というか、特に若者の自殺に関してですが、本人たちもあまり周囲に自殺の原因のようなもの? の話をしていないため、結局遺された者たちが勝手に自殺の原因なんかを想像しているような…そんな印象を受けましたねぇ…。

    結局、曖昧模糊としたまま終わってしまった…かのような読後感でした。

    さようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 多くのケースが紹介されていて、自殺の実態の一端を知れる。また自殺を防ぐ難しさもよく伝わってくる。

    印象的だったのは、ネット心中で複数人で集まったものの色々な理由で場所を変えていったケース。葛藤の現れだったのかも知れない。

    「おわりに」で「遺族は家族だけじゃない」としているが、その通りと思う。著書の取材対象で既遂となった方は40名に上るとある。著者ご自身の精神的負担も相当なものであろうに、これからも取材は続けると宣言されており、頭が下がる思いだ。大変重要な仕事をしておられるが、くれぐれもご自身の心身の健康も大切になさって頂きたい。

    最後に、個人的に強く共感した箇所を引用する。

    「当初、私は、言語化できる相手がいれば自殺しないのではないか、という仮説を立てていたが、正しくなかった。今となっては当たり前のことだ(中略)具体的なソーシャルワークにつなげても、メンタルヘルスのケアやサポートがなければ、自殺のリスクは低減しない(p.17)」

  • 生きづらさを抱えた人たちがこの社会にはいっぱいいる。
    言葉にすることは難しいが深く考えさせられました。

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著者プロフィール

1969年栃木県生まれ。ジャーナリスト、中央大学文学部講師。東洋大学大学院文学研究科教育学専攻博士前期課程修了。元長野日報記者。おもにネット事件、自殺問題、若者の生き方、サブカルチャーなどを取材。98年からは、ウェブと生きづらさをテーマに取材を進めている。

「2020年 『学校が子どもを殺すとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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