喪失と獲得: 進化心理学から見た心と体

  • 紀伊國屋書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314009683

作品紹介・あらすじ

リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」仮説誕生から30年。人の体のさまざまな特質のみならず、心の特性を「進化論の眼」で探る学問分野、進化心理学が発展した。本書は、イギリスを代表する進化心理学者による思索の結晶。言語と意識の誕生、憎悪心と宗教心、服従心理、病気と自然治癒力などに、示唆に富む考察をめぐらす。

感想・レビュー・書評

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  • 書名にもなっている「喪失と獲得」(7章〜10章)と、11章〜15章の「信じる心」が、たいへんに興味深い内容であった。
    特に、13章「人間を見よ」では、キリスト教徒からひどく反論をされそうな内容だと思われ、それでも「確かにそうかもしれない」と思われて、イエス・キリストに対する従来のイメージを一新させられた。

  • 7章のラスコー洞窟壁画のインパクトが強い。他の章も良いのだけど。洞窟壁画は「最初の抽象画」ではなく「最後のイノセント」だったとの説が素晴らしい。
    「行為としての感覚」についても書いてあることはなんてことないのだけど文学的でなぜかしみる。

  • 訳の問題?さっぱり頭に入らない。
    1章だけは良かったが、プラシーボ効果の話以降、みなさんのレビューに書いてあったようなことが書いてあったように思えず。。。

    もっと集中して読めば良かったのか。。。

  •  進化心理学という観点から、社会や文化の表象を論じている。エッセー集だが、ひとつひとつはかなり示唆に富む内容である。 

     人間に治癒能力として備わっているプラシーボ効果がなぜあるのか。もし治癒能力があるのなら、身体や進化はそれを信じる心というトリガー抜きに常態化しなかったのか。それに対する進化的な説明はかなり納得がいく。ここでは生物が生存競争を行う環境下での「病気でいることの利点」というパラドキシカルな視点を提供する。病気を治す→身体エネルギーを消費する→敵からの攻撃をまともに受ける。病気であるときも、健康なときもそれなりにエネルギーの一定のプールが可能だが、病気の治療中はエネルギーの不足に陥り、突発的な敵の襲来に備えることが出来ない。よって、人は敵の襲来が無いという安心した状況が情念として現れるまでは治療を保留するということだ。

     これは借金を例に取るとわかりやすい。裕福な人はもちろん借金をしている人でもキャッシュ(エネルギー)を持っている限りは空腹時に食料を買うことは出来、飢えをしのげる。しかし、資産と借金を帳消しにしてしまうと、キャッシュフロー不足に陥り食料を買うことが出来なくなってしまう。それゆえ、借金を返済するときには、食料に不足しないか、新たなキャッシュが獲得できる見込みがある程度確実な状態を予見できる場合に限るのである。

  • 心理学は、嫌いなのだが、
    嫌い嫌いといっても、知見も広がらないので読んでみた。(しかも、進化心理学だと!?)

    進化論者の独り言(エッセイ)がいっぱい載っている。
    「感覚の私物化」と「喪失と獲得」は読み応えはあった。

    進化心理学?って進化認知学とイコールなのかいな?

  • 読了メモ。C.ヤスパース『現代の精神的状況』M.ハイデガー『カントと形而上学』(河出書房 世界大思想全集より)。N.ハンフリー『喪失と獲得』。人間にとって、世界はどのようにあり、人間はその中を生きていくのか?を問う。厭きることなし。ただし、反社会・反常識かも知れないけどね。

  • 人の心と体を進化の観点から考えるエッセイ集。エッセイ毎に分量も面白さも大きくばらつきがある。進化の過程である種の後退があり、その不利さを挽回するべく異なったアプローチでの進化が行われるとする「奇形の変容」。プラシーボの存在を肯定し、それが何故起こるのかを解き明かす「希望」。イエス・キリストは奇術師だったのではないかと考える「人間を見よ」。この辺は非常に興味深く読めた。人間に対しての新しい見方を得られる一冊。

  • 私のなかの「私」
    喪失と獲得
    信じる心
    憎しみと愛の形

  • <積読状態>

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