- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784314011495
感想・レビュー・書評
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個人的な話で恐縮ですが、昔、実家に室内犬がいまして。
ある日、母が鍵を忘れたまま外出して、帰ったら先に帰った祖父が鍵を閉めていて家に入れず、呼び鈴を鳴らしても耳が遠い祖父には聞こえず、さてどうしようとなったら室内犬が扉越しに吠えていて、「たすけてー」と母が言っ(てみ)たら犬が祖父を呼びに行き、玄関まで連れて来て事なきを得た、なんていう話がありました。
こういうエピソード、結構ありふれてますよね。その割に動物の知性が認められていないのは、なぜか。人間側の姿勢に問題があるんじゃないのか。本著では、霊長類研究の第一人者がそれを紐解いていきます。
動物の言語理解能力については、ボノボが(表情で読み取られないよう)顔を隠した人間から「鍵を冷蔵庫に入れて」と言われて見事に遂行した事例なんかが紹介されています。他にも、忖度もする。文化やファッションもある。政治だってある。
それらを人間が素直に受け止められていないのは、固定観念とプロトコルの問題で、特にプロトコル…と私はざっくり表現していますが、本著では動物の立場からの視点を「ウンヴェルト(環世界)」と呼んでおり、早い話が動物と人間の間では同じ物にアクセスする時でも使う感覚(視覚とか嗅覚とか)からして全然違ったりするよね、という話で、肯かされました。
しかし、馴染みのない分野であることもあって、あんまり読み進まず。文章はそんなに難しくないと思ったんですが。。なんかビックリするくらい頭に入ってこず、おかげで読了するのに結構時間がかかりました。
とは言え内容的には動物って凄い的な事例が並んでいて、そこをトリガーに話が進んでいくシンプルな構成です。進化認知学というモノの概要を知るには良い本だと思います。
そこを下敷きにそれ以上の学びを得るというものではなく、タイトル以上でも以下でもなく、少し冗長なようにも感じました。
ちなみに、本文中に「奇妙奇天烈な結論」という表現があったのですが、原著ではどんな表現なんだろう。。本文中に誤植が2箇所あったのは残念。 -
異なる立場の考え方に対する攻撃的な口調に終始する。淡々と語ってくれたら興味深い内容なのだが、読んでいて怒りのはけ口にされている気分になる。
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言語の最大の利点は、時間と場所を超えてものごとを伝えられること。その時、その場所にいなくとも、そこで起きたことを他者へ伝えることができる。自ら体験したことではなくても、他者から伝えてもらうことでその知識を拡大することができる。
リスが人間のように10まで数を数えることができないからといって「人間はリスよりも優れている」と云えるのか?
リスは生存するために10進法を知る必要がないのであって、むしろ生存に必要のない余計なことにエネルギーを割くことは害なのである。
冬眠前のリスは森の地面のあちこちに穴を堀り木の実を埋める。その数を千を超えるという。人間にはとてもリスの真似事はできない。
大学院生や初学者向けとあとがきで訳者は書いていたし、比較的やさしい文体で書かれていたけれど、それでも文系人には読みづらかった。 -
動物の認知能力関する本。動物には人間のような認知能力は無く条件反射で行動しているとする派、動物にも認知能力がある派があり筆者は後者の創始者に近い。初期にはずいぶん批判されたらしい。ポイントは実現のやり方にある。人間的な認知能力を測るために人間向けのテストをしても、動物は各々感覚器官や作用器官が、その人間向けのテストに最適化されておらず不利な結果が出る。動物が感じている世界に合わせれば興味深い行動を認知的に捉えることができる。
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表題の通り。動物も充分に知性的で、愚かなどではない。
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・進化認知学