哲学の門前

著者 :
  • 紀伊國屋書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314011938

作品紹介・あらすじ

哲学には入門しなくていい。
門前で楽しめばよいのだ。

文筆家・編集者・ユーチューバーとして八面六臂の活躍を見せる著者が、コミュニケーションや政治、性、仕事、友人関係などをテーマに、暮らしのなかで生じる哲学との出会いや付き合い方について、体験談を交えて考察する。
相棒・山本貴光氏による「吉川浩満くんのこと」収録。

自伝的エピソードの断片と哲学的思考が交差して織りなす、画期的な「哲学門前書」の誕生。

【目次】
1 哲学
2 ディス/コミュニケーション
3 政治
4 セックス/ジェンダー
《幕間》君と世界の戦いでは
5 仕事
6 友だち
7 哲学 reprise

【著者】吉川浩満(よしかわ・ひろみつ)
1972年鳥取県米子市生まれ。文筆家・編集者・ユーチューバー。慶應義塾大学総合政策学部卒業。YouTubeチャンネル「哲学の劇場」を、山本貴光とともに主宰している。著書に『理不尽な進化』(ちくま文庫)、『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』(河出書房新社)、山本との共著に『人文的、あまりに人文的』(本の雑誌社)、『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。』(筑摩書房)、『脳がわかれば心がわかるか』(太田出版)などがあり、山本との共訳に、サール『MiND 心の哲学』(ちくま学芸文庫)、セットガスト『先史学者プラトン』(朝日出版社)がある。

感想・レビュー・書評

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  • 『哲学の門前』著者・吉川浩満インタビュー:「素人」は哲学的な問題にどう向き合うのか?|Real Sound|リアルサウンド ブック
    https://realsound.jp/book/2023/02/post-1244408.html/amp

    哲学の門前 | ダ・ヴィンチWeb
    https://ddnavi.com/book/4314011939/

    哲学の門前 / 吉川 浩満【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア
    https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314011938

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    「国書刊行会50年の歩み 国書刊行会創業50周年記念小冊子」『国書刊行会社史余滴ーー集古九種 竹中朗』の
    "五、荒廃する営業部員たち"に
    〔注:本件については、社員であった吉川浩満氏の著書『哲学の門前』(紀伊國屋書店、2022年)「五 仕事(私の履歴書 国書刊行会篇)」に詳しいので参照されたい。〕
    とある。

  • 【はじめに】
    『理不尽な進化』で初めて手に取ったと思っていた吉川さん。実は、それよりももっと前にジョン・サールの『マインド』の翻訳をされていたのを最近知った。
    YouTubeでも「哲学の劇場」という名前のチャンネルで配信を続ける吉川さんは、どこかの大学に所属するなどのいわゆる哲学の研究を職業としているわけではない。吉川さんは自らを哲学の門前にいると表現する。本書はそんな吉川さんがこれまでの人生で経験したこと、考えたことをまとめたものである。

    【概要】
    著者の若かりし頃に起きた印象的な個人的体験や思考(ニューヨークでのタクシー運転手との会話、性を巡るサークルでの展示会の行動など)、生涯の友人である山本貴光さんとの関係、人生において大きな影響があったであろう恩師赤木先生のこと、また初期のヤフー社員となってストックオプションを得たこと、など非常に個人史的なことが描かれている。それら雑多なものが、著者が常に念頭に置いている「哲学」というキーワードのもとひとりの人間の人生譚として成立している。

    加藤典洋がカフカの言葉として引いたアフォリズム「君と世界の戦いでは、世界に支援せよ」という言葉を巡る考察、
    上と下で切るのが左翼で内と外で切るのが右翼だという指摘、
    アーレントを引いた<活動>と<仕事>の分類と自らの職業体験、
    などなど吉川さんらしい印象的な考察がちりばめられている本書は読んでいてもたるみがない。そこで書かれた吉川さんの言葉には決め打ちではなく、悩みや迷いを含めた包摂的な言葉が続いている。

    【まとめ】
    本書は、哲学の「門前書」と銘打ちながら、読者を門前にいざなうというよりも、著者自身が哲学の門前においてどういった生き方をしてきたのかが描かれている。その観点で、他にあまり類書のない独自性ある本だという印象だった。こういう生き方もあるのだと隣の芝生を見るような目で見て少しうらやましい気がした。哲学的探求を夢見る人は自分も含めて多い。ご本人としては中途半端に過ごしてきたという思いももしかしたらあるのかもしれないが、ある意味では羨ましい人生でもある。
    そして、そういったことが書かれたこの本は『理不尽な進化』と違った意味で読んでいて面白かった。

    -----
    『理不尽な進化 増補新版 ――遺伝子と運のあいだ』(吉川浩満)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4480437398

  • 一気読み!著者のパーソナルな心情や体験を題材に、哲学の門前へを誘う一助になる良書かと。
    哲学の掟の門へ果敢に挑戦する気概を持とうと、勇気づけられます。

  • 吉川さんが友達に思えてきた。

  • 勉強になりました。哲学者のことばや考え方を掘り下げるのではなく、哲学という希望を勉強するための心意気、ですかね。

  • 哲学の入門書ではなく、入門の前の門前書ということで気になり読みました。
    世の中には様々な分野の入門書が多くあります。しかし、入門書を読み終わったところでその分野の魅力を感じることは出来ますが、すぐに専門性を身につけられるかというとそうは言えません。
    この本は、哲学の魅力を伝えるということよりも、筆者が生活する中でどんな場面で哲学的な問題と出会うのか、そしてそれにどう付き合うのかということを題材にしていて、自分たちの生活のすぐ側にも哲学的題材があるんだな〜としみじみ思うことが出来ました。

  • 学生時代?に吉川さんのブログのようなものをときどき読むようになって(黒のラブラドールを散歩する話と定職についていない人が書くような話を読んだ記憶がうっすら残っている),「哲学の劇場」を運営するすごい人という認識だったのですが,本書を読んで「非常にユーモラスで柔らかいコトバを使いながら考えることの楽しさを読者に伝えるおもろいおじさん,にアップデートされた.good readでした.

    本書でいちばん面白かったくだりは,政治の右と左について議論を深める小節で,世界を縦に切るか横に切るか,そして切ったあとどちらにつくか,のアハ体験について語るところで,著者からの「また聞き」で同じくアハ体験したところです.

  •  日常にある諸問題について考えるためのヒントをもらう。幕前より前の考察的な章も、後ろの自伝的な章も、性格は異なるが、なるほどのスタート台になる。

  • 哲学の劇場など多方面で活躍したされている吉川さんの著作。思いの外プライベートな話が中心で驚いたのだが、むしろそれに絡めて哲学の話が展開されていて、市井の哲学というか、哲学の門前とはまさにこういうことなんだろうなと思った。
    哲学や科学関係の領域で著作を出版されているので、その分野での活動があることは知っていたけれど、女子学生に卓球を教えるほどの腕前で、またYahoo創業時に社員として「サーファー」をされていて、億万長者一歩手前のまで行っていたというのが素直に驚きだった。
    吉川さんが本書で書いているとおり、哲学とは入門書はやけに簡単でこれなら原著も読めそうだと思って原著に取り組むと、なんだこれは的な感じであっさり跳ね返されるわけだけど、だからといって入門書だけ読んでいても原著が読めるようになるわけではない。そこはとりあえずガマンして読み進めるしかないわけなんだけど、なかなか大変なのも事実。最近はそのあいだを埋めるための方法も昔に比べれば相当充実しているので、昔より距離は縮まったと思うけれど、それでも大変は大変。
    本書も読んだからといってスラスラと哲学書が読めるようになるものではないし、著者の意図もそこにはないけれど、専門家になるわけではないので、哲学の門前でチラチラ門の中を伺いつつ、ときにはあまりの読めなさに絶望しつつ、一方でああそういうことかと膝を打つこともあるというスタンスで付き合って行くしかないのだという門前スタイルの提示は、世の哲学ファンに勇気を与えるものなのではないか。
    最後に、本書の途中で出てくる日記。寝坊、またまた寝坊。とか自分をみているようで親近感を覚えた。ノーアガサクリスティでスリープ。

  • なるほどね。哲学に「入門」は、確かになかなかできないし、しようと思うわけでもない。実際に何で哲学と言われる本に興味があって読み始めるようになったのか。物理学はわからないし数学もわからない。倫理は少し分かりそうだけど、科学もわからない。歴史は好きだけど世界史はちょっとなあ、なんて自分が本格的に哲学を学ぼうと思ってもそれはまあ、何のため?みたいな気がしてなかなかモヤモヤしていた。哲学系、といっても日本の誰かさんが書いてくれた解説書的なものばかり買い揃え、何か自分なりに人生の真理というか拠り所みたいなものを見つけたいなと思っているのだが、何を読めば良いのかなと。そうして買えども読まずにある本たちがもうこれでもかというくらい溜まってしまった。
    吉川さんの言うように哲学だけではそりゃ、人生は渡れないだろう。若かりし自分が、小説やナンバー系のスポーツノンフィクションばかりに現を抜かさず、その頃から哲学に興味を持って読んでいたら今の自分はどうなっていたのか興味がないではないが、結局そんなに変わらない気もする。
    この先も色んな人の書く入門的な本があればやっぱり読むんだろうなあと思うけど、この吉川さんは気に留めて、出る本は読んでみたいなと思う。

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著者プロフィール

吉川浩満(よしかわ・ひろみつ):1972年鳥取県米子市生まれ。文筆家、編集者。慶應義塾大学総合政策学部卒業。書評サイトおよびYouTubeチャンネル「哲学の劇場」を山本貴光とともに共同主宰している。おもな著書に『哲学の門前』(紀伊國屋書店)、『理不尽な進化増補新版』(ちくま文庫)、山本との共著に『人文的、あまりに人文的』(本の雑誌社)、『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。』(筑摩書房)、『脳がわかれば心がわかるか』(太田出版)がある。

「2022年 『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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