ガリヴァー旅行記 (英国十八世紀文学叢書 第 2巻)

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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784327180522

作品紹介・あらすじ

「学魔」高山宏による超絶翻訳いよいよ登場

中野好夫、平井正穂、富山太佳夫、そして朝日新聞で進行中の柴田元幸ら、名だたる訳者が挑戦してきた英国18世紀の名作に「学魔」高山 宏が挑戦する。
「英国十八世紀文学叢書」全6巻はこれにて完結!

高山新訳計画上等 臥薪嘗胆十年待望 中野平井勿論結構 富山柴田当然最高
超絶神訳愈々登場 猥雑饒舌自由奔放 開巻驚奇多事多端 英国名作眼前一変

<目次>
第一部 リリパット渡航記
第二部 ブロブディングナッグ渡航記
第三部 ラピュタ、バルニバルビ、ルグナグ、グルブドゥブドリブ、ジャパン渡航記
第四部 フウイヌム国渡航記

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭の『出版者より読者へ』でこの本はどのようなものか、を記している。曰く、シンプソンという男が「友人のレミュエル・ガリヴァー氏からの手記を預かったよ。彼は真実を看板にしているような人物で、彼の故郷では『ガリヴァーさんが話した話みたいに本当みたいだね』という謎めいた言い回しがあるくらい。面白そうだから出版します」と宣う。
    ガリヴァーさんのように本当、というのは、本当に本当なのか、皮肉的に本当なのか?という、冒頭からなんだか煙に巻かれた気分。

    この翻訳では、翻訳者さんによる言葉遊びや、漢字に独特のルビを振ることで、いかめしいような人を喰ったような印象がする。
    よみがなで生計(たづき)、物乞(かったい)、案内(あない)、族(うから)などなどの古めかしい言葉を使ったり、言葉遣いの「〇〇だが、如何」「読者の皆さんは退屈だろうから、割愛」「〇〇そうろう迄」などと書くことにより大袈裟な、詐欺師が一方的にベラベラベラ〜っと喋っているような感覚を味わう。

    なお、副読本としてこちらもお勧めです。
    阿刀田高「あなたの知らないガリバー旅行記」
    https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4101255105


    【第一部 リリパット渡航記】
    乗った船が難破して、ただ一人たどり着いたのは六インチ(15.6センチくらい)ほどの人間が暮らす島だった。
    浜辺で細い紐で体を固定されるガリヴァーの姿は絵本などでも有名だけれど、話の中身は相当皮肉というかなにかの比喩なのか?

    このリリパット国は皇帝が治めている。曲芸で出世したり、宮廷での高靴派・平靴派での争いがあったり、また国中では卵を尖った円の方から割るか・大きな円の方から割るかの闘いがある。この争いには死人が出たり、反対派が処刑されたりするくらいの大事だった。

    リリパット国のある島の反対側にはブレフスキュー国がありこっちは大きな円から割る派閥。そこでリリパット国で大きな円から割る派は亡命している。
    この争いはなにかの暗示というか、実際のイギリスの政治闘争だとかを例えたものなのか??
    親子、教育についても、リリパットの人々は子供を自分で育てずに乳幼児期から学校に入れる。「子供は性行為により生まれたもので、べつに子供のことを考えて行為したわけじゃないよね、親なんてなにさ」ということ。これもなにかの暗示なのかなあ。

    リリパットと、ブレフスキューの戦闘については、ガリヴァーがブレフスキューの船先に鋲を引っ掛けてまとめて捕縛して、一応両国の和平が整っている。
    しかしガリヴァー、つまりリリパット人にとっての「ヒト・ヤマ」の存在が気に食わない人々により、暗殺司令が出たりもする。

    「ガリヴァー旅行記」は全体的に排泄などについても書かれていて、海岸で捕まったときに体を横に向けて放尿したんだとか、宮廷が大火事になったので放尿で消したら反対派の人達から「宮廷に放尿するとはけしからん!」と暗殺の口実になっちゃたんだとか、排泄物を片付けてもらったんだとか。
    人間と動物の差って清潔、不潔というのがあるのだろうか。


    結局ガリヴァーは9ヶ月リリパット国にいたが、これまた流されてきた自分サイズのボートに乗っかりリリパット国から離れることになった。
    しばらく漂流したらイギリスの船に助けられたよ。
    自分の話を聞いて嘘つき呼ばわりする人たちもいたけど、リリパット国から餞別でもらった小さい牛や羊を見せたらびっくりされて、売ったら金儲けしたよ。

    さて、このガリヴァー旅行記では、それぞれの行程の日付が事あるごとに書かれている。
    1699年5月4日 出港
     11月5日 難破→当日か翌日にリリパット国上陸
    1702年4月13日 イングランド帰国

    ※検索したところ、高靴派平靴派闘争はイギリスの二大政党の争いへの風刺、卵の割り方派閥は宗教闘争への風刺らしく「卵の大きな方」はカトリック教徒、「卵の小さな方」は国教徒を表しているのだそうだ。


    【第二部 ブロブディングナック渡航記】
    しばらく丘の上で妻子と過ごしたけれど、やっぱり旅に出たくなったからまた船に乗った。

    船が座礁したので数人でボートで島の探索に出たのだが、ガリヴァーだけ取り残されてしまった。
    そこは、ガリヴァーを手に乗せることができるくらいの、大きな人間の島だった。
    小人の国から巨人の国へ。
    やっぱり色々気持ちの悪い描写が。「大きな人たちの人間の肌のボコボコやシミなどの斑が見えてしまう」「ハエの出す粘液のネバネバを見てしまう」「自分にとっては犬くらいの大きさのネズミが襲ってくる」などなど。
    ガリヴァーはこの島の王様の宮殿でペット状態で暮らす。女官たちが面白がって乳房に吸い付かせたりするんだが、巨大で凸凹して毛が生えた乳房のキモチワルさや、そんな遊びをする女官への不快感など。
    ガリヴァーは王様にイングランドや人間社会の様子を聞かれて、戦争や政治闘争、その根底にある人間の悪意などを語る。
    王からの結論は〈しかるにそちの話から推してみ、随分っ苦心してそちの口から引き出した答えから考えて見るに、そちの国の大方の国民(くにたみ)は、この地球表面を這い回ることを自然から許されたちっぽけで厭わしい害虫の中でも最も外多き族(うから)だと結論付けるしかないのだが、如何。 P152〉

    巨人の国には3年間いて、またイングランドに戻れたよ。

    1702年6月20日 出港
    1703年6月16日 座礁→ブロブディングナック国上陸
    1906年6月3日 イングランド帰国

    【第三部 ラピュタ、バル二バルビ、ルグナグ、グルブドゥブドリブ、ジャパン渡航記】
    今度は船長として航海に出ることになった。
    途中でオランダ人とジャパン人が指揮する海賊に襲わた。オランダ人は嫌なやつだったが、ジャパン人はサムライの心を持っていた、と書かれている。
    ガリヴァーは小舟に乗せられて漂流した。
    たどり着いた島の上空に島が浮いていた。
    その浮島はラピュタといって、いつも科学と研究のことばっかり考えているので体が傾いでいて、動物の膀胱を膨らませたようなぽんぽん袋を持った召使いにぽんぽんされてやっと頭脳が起動するらしい。まさに浮島の浮き頭の住人だった。住人は研究を続けているが変なものばっかり。まさに机上の空論、無意味の大騒ぎ。こんななんだけど数学と音楽西化興味がなくガリヴァーのこともかなり軽んじていたので旅を続けることにした。

    この浮島の下にあり、ラピュタ王の支配下にある島はバル二バルビという。ラピュタとバルニバルビは磁石?の調節により、ラピュタは必ずバルニバルビの上にある。そしてバルニバルビが反抗しようとするとラピュタが島ごと降りてきて文字通りに「潰してしまう」という圧政状態。そのためバルニバルビの人たちには生気がなく、学院研究者たちは珍妙な研究を続けている。言葉を全部崩して偶然の文学を研究したり、豚が自動的に畑を耕す方法を実験したり、天井から先に作り床を後に作る家の研究者、盲目者に色を感触と嗅覚で判断する方法、こっちも無意味の積み重ね。さらにガリヴァーは、「アナグラム」を提案して行ったので、その後の研究はもっと珍妙になっているだろう。

    イングランドに帰るためにまた旅を続けることにした。
    次に行ったのはルナルグというジャパンと交流のある大きな島で、慇懃で寛容な人々だった。
    だが戸惑ったのは、1世代に1人程度の割合で”ストルルドブルグ”と呼ばれる不死身者が生まれるらしい。最初は素晴らしいと思ったガリヴァーだが、なにもすることもない、できることもない、ただ死なないだけで社会の厄介者の彼らをみてつまらなく思う。不死者のよんどころなさは、読んでいてもなんだかいたたまれない気持ちになってしまう。
    私にとって不死をテーマにした作家と言えばボルヘスなのだが、この不死者の書き方は、ボルヘスも参考にしているのではないか。

    グルブドゥブドリブは魔術師奇術師の世界。幽霊召使いやら、降霊術やら。ガリヴァーも歴史上の人物の魂を呼び出して語らせたり再現したりして楽しんだようだが、それを書く質力がありません、ちょおん。

    そしてジャパンに辿り着いた。少港市ザモスキ(江戸に近いので横浜港??)からエドに入り、皇帝(江戸の将軍?京都の天皇?)に会い、ナンガサク(長崎?)にわたらせてもらい、イングランドに帰ることに。でもなんか絵を踏ませる風習には辟易したぜ。
    無事にイングランドに帰って妻子と再会したよ。

    1706年8月5日 出港
    1707年夏頃? ラピュタ島に乗る。
    1709年5月下旬 ジャパンのザモスキ(横須賀か横浜?)上陸。
    1709年6月9日 ジャパンのナンガサク到着。
    1710年4月10日 イングランド帰国。
    ※皇帝とは、徳川将軍のことのようだ。将軍は徳川家宣。天皇は中御門天皇。

    【第四部 フウイヌム国渡航記】
    またまた船長として航海に出た。そしてまたまた海賊に襲われ、またまたまたまた一人で島にたどり着いた。
    最初に会った動物には驚いた。人間と似ていなくもないが、原始といってもあまりにも下卑ていて知性もなく野蛮だ。しばらく行ったら、自分たちが馬と認識している動物に出会った。彼らはとても知性的だった。そう、この島は馬の国だった。
    馬の国では、馬たちは素晴らしい品格を持ち、争いや嘘という概念がない。そして最初に出会った下卑たる生物こそがどうやら人類らしくここではヤフーと呼ばれている。
    最初はガリヴァーは戦争や政治や医療に対する馬たちの無知さに、特異になってイングランドの風習を語ったガリヴァーだが、だが馬たちがそれらを知らないのは必要ないからだった。諍いがない、疑うこともない、欺瞞も嫉妬も他者を蹴落とすこともない。そんな馬たちにとって、ガリヴァーの人間世界の野蛮さ下品さは驚くばかりだったのだ。
    <この国のヤフーたちにはぞっとしても、だから嫌な性質をしているからと言ってヤフーを責める気になれないのは、残酷だからといって猛禽を責めない、自分の蹄に痛いというので尖石を責める気にはならないのと同じことだ。しかし、理性を持つとかいう生き物がそのような残虐非道を行うことができるとなると、話は違う。その能力の腐敗が元々の残虐性よりさらにたちが悪いということにならないよう祈りたい。P290>

    そして3年ほど過ごすうちに、自分がヤフーであること、イングランドのヤフーの国に帰ることが耐え難く、このままこの馬の国に定住しようと決める。
    だが、ガリヴァーが話してきたイングランドの話が馬たちを警戒させてしまった。ガリヴァーは知性のあるヤフーだ。だったらヤフーが反乱を起こしたり、戦争を覚えたりするかもしれないではないか。
    ガリヴァーは「必ずこの国の高潔さを故郷のヤフーたちに伝えます」と名残を惜しみ、ヤフーの国(この場合は故郷イングランド)に帰らねばならなくなった。

    海を漂うガリヴァーは、親切なポルトガル人船長の船に拾われた。ヤフー(人間)を極度に嫌い怖がるガリヴァーをポルトガル船長は根気強く精神的にも経済的にも助けてくれた。
    ガリヴァーは人間を怖がったけど、馬の国を出て最初に出会ったのが、話を真面目に聞いて助けてくれる、善良で勇気のある人間だったなんて、読者としては良い話だと思うんだが。

    しかしガリヴァーのヤフーへの警戒心は溶けずに、そのままイングランドに帰りついた。
    だが高潔な馬の国にいた彼には、争い、高慢、淫売、犯罪、政治、宗教、虚栄、強欲、賭け事、罵詈雑言、喧騒、刑罰、商売…に明け暮れるヤフー(人間)が耐え難い。
    再会した家族とさえ触れ合いたくなく、引きこもり引き籠もる。
    帰って何ヶ月化してようやく家族と同じ部屋にいることくらいは慣れてきた。

    馬の国の高潔さをヤフーが持つ望みのために、自分の経験を書くことにした。
    「イギリス人が発見した土地はすべてイギリス領だ。いままでの人類未踏の地をなぜ女王陛下に報告しない」と言われることもあったが、だがどの国だって整復されたがってなどいないし、植民地にだってなりたがってはいないだろう。植民地だって?豊富でもない土地に乗り込み略奪放題でそれが栄光だって?
    栄光とは、植民地化できる力と知恵を正義に使い、統治する住民の幸せを願ってこそだろう。

    自分が知っているヤフーたちにも知性の向上が見えることもある。
    あの美質溢れる馬たちを思い出しながら、ヤフーたちの国に住んでいる。


    渡航記は人を喰った詐欺師めいた饒舌っぷりなのだが、このラストの独白はなんとも言えない悲哀を感じた。
    1710年9月7日 出港
    1711年5月9日 海賊に漂流させられる。→フウイヌム国上陸
    1715年12月5日 イングランド帰国

    【ガリヴァー船長の従兄シンプソン宛書簡】
    …と、渡航記最後の独白で悲哀を感じたのだが、この後ガリヴァーが出版社であるシンプソンに「自分の手記を出版していいとは言ったけど、手を加えすぎ、間違い多すぎです。そもそも日付なんて事実とぜんぜん違うじゃないですか。私はヤフーたちに向上してもらいたいっていうのに」と書いている。
    ええーまた最後で人を喰った真似を…。細かく読者に示した日付が「間違いだ!」とか(苦笑)
    しかし馬の国での高潔さに感嘆し、無理だとわかっていてもヤフー族改革したいんだよ〜ということで締められているので、やはり渡航記載後に感じた物悲しさは本物なのかな。

    なお、ガリヴァー旅行記といえば風刺小説だと言われるが、この翻訳者高山宏さんは「ガリヴァー旅行記は風刺小説ではない!」と言っている。
    風刺といわれるイギリス小説ってちょっと上から目線的な硬さがある。この小説でも、ガリヴァーは色んな国に行っているのだが、どこの国でも君主がいて階級がある。ここから息苦しさのようなものも感じる。
    この時代は世界の航路が探検され、世界の広さがわかってしまったような閉塞感が出ていたのかもしれない。しかしその隙間に想像力を膨らませる事もできたんだなとも思う。

    • 淳水堂さん
      猫丸さんこんにちは。
      私も子供の頃に「小人たちに海岸で紐で縛られるガリバー」の印象しかなかったです。
      今回読んでみて、排泄とか、女性描写...
      猫丸さんこんにちは。
      私も子供の頃に「小人たちに海岸で紐で縛られるガリバー」の印象しかなかったです。
      今回読んでみて、排泄とか、女性描写とか、けっこう気持ち悪い表現が多かったです(*_*)…
      ラストではしんみりしたのに、あとがきでまたひっくり返して、この作者のへそ曲がりっぷりって感じ。

      この本のあと阿刀田高さんのガリヴァー解説本読んだので(レビュー書いたらまたアップします)すが、かなりわかりやすかったです。こっちもおすすめ。
      2021/06/05
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      淳水堂さん
      今、灰谷健次郎の「我利馬の船出」を思い浮かべていたのですが、阿刀田高の「知っていますか?」にあったんだ!読んでみなきゃ、、、

      ...
      淳水堂さん
      今、灰谷健次郎の「我利馬の船出」を思い浮かべていたのですが、阿刀田高の「知っていますか?」にあったんだ!読んでみなきゃ、、、

      と言いつつレヴュー愉しみにしています!
      2021/06/05
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      淳水堂さん
      書き漏れ
      ヴィクトリア時代の息苦しさへの反発が、極端に出たのでしょうね。 > けっこう気持ち悪い
      淳水堂さん
      書き漏れ
      ヴィクトリア時代の息苦しさへの反発が、極端に出たのでしょうね。 > けっこう気持ち悪い
      2021/06/05
  • 「ガリヴァー旅行記」ジョナサン・スウィフト著 高山宏訳|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/290403

    『ガリヴァー旅行記』の「学魔」高山宏訳を読んで“眼前一変!” - 小林章夫|論座 - 朝日新聞社の言論サイト
    https://webronza.asahi.com/culture/articles/2021032700001.html

    研究社 - 書籍紹介 - ガリヴァー旅行記
    https://books.kenkyusha.co.jp/book/978-4-327-18052-2.html

    • 淳水堂さん
      猫丸さんこんにちは!
      レビュー書いたら猫さんがいたーー。
      (ご挨拶のみです。お邪魔しました (^o^)/”)
      猫丸さんこんにちは!
      レビュー書いたら猫さんがいたーー。
      (ご挨拶のみです。お邪魔しました (^o^)/”)
      2021/06/05
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      淳水堂さん
      にゃん!
      淳水堂さん
      にゃん!
      2021/06/05
  • 名前だけは昔から知っているが、ちゃんと読むのは初めて。
    イギリス人船医ガリヴァーが、リリパット(小人の国)→ブロブディングナッグ(巨人の国)→ラピュータ(空飛ぶ国)・グラブダブドリブ(死者の国)→フウイヌム(賢馬の国)等の国々を巡る冒険譚。前半のリリパット・ブロブディングナッグでは、「スケール」の話になるだけあって、視覚を中心に五官を刺激するスペクタクルな描写が面白い。後半のラピュータ・フウイヌムでは、その国民の変わった考え方・文化が描かれ、実世界への諷刺の色が濃くなる。個人的には前半の方が単純にエンターテイメントとして楽しい。
    現代の異世界転生ものなどにも通ずる題材でもあると思うが、住民生活(設定と言ってもよいか)とそれに触れた主人公の描写の細やかさに驚いた。分量によってその世界があり得そうに感じてくる。
    訳者の解説にもあるが、本全体を通して、「ガリヴァー旅行記」が事実を伝えているということを、これでもかと訴えているのは、作者がどういった狙いをもち、当時の読者はどう捉えたのか気になった。

  • ラピュタと馬の国が結構衝撃的でした、子供の頃は小人の国だけの話かと思ってましたが実際には風刺の聞いた辛い感じの話だったんですね スウィフトは最後気がおかしくなって亡くなったらしいですが、最後で小説の内容とダブるような感じで刺さりますね

  • リリパット、ブロブディングナッグ、ラピュタ、フウイヌム国などに「島居」するガリヴァーの物語。諷刺と綺想に満ちた、英国18世紀が生みだした最高傑作のひとつに“学魔”高山宏が挑戦。クラシックにして現代的な“神”訳。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
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著者プロフィール

ジョナサン・スウィフト(Jonathan Swift)(1667 - 1745)
アイルランド生まれの英国十八世紀を代表する作家。『控えめな提案』『書物合戦』『桶物語』などの作品がある。

「2021年 『ガリヴァー旅行記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジョナサン・スウィフトの作品

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