- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334031947
感想・レビュー・書評
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(著者のことば:本の扉に書かれている紹介文)
人格障害と診断が可能な人たちのなかには,特異な才能を持った人が一部に存在します。彼らの多くは生活が破綻し,アルコールや薬物に手を出したり,自殺を何度も試みたり,実際に自殺してしまったり,友人関係や異性関係がいつも不安定だったりします。その一方で彼らは非常に精力的に創作活動を行い,創造的な仕事をしています。これらの代表的な人物として,本書では尾崎豊,太宰治,三島由紀夫を取り上げています。
彼らは人格障害であるが故に苦しんでいましたが,それ故のエネルギーも有していたのです。このエネルギーは多くの人格障害の人に認められます。
この本は,書店で偶然見つけた本です。発行年が2003年ですから,もっと以前に読んでいてもよかった本ですが,出会うのに時間がかかっています(内容とは関係ありませんが)。
著者の言葉にもありますが,人格障害の人は,ここ数年の事件の影響があるからでしょうか,非常にマイナスの側面ばかりが強調されています。物事にはマイナスの側面ばかりではなく,プラスの側面もあるのですが,非常に偏ったとらえ方が大多数です。この本では,人格障害の人のプラスの側面を積極的に紹介しようとされています。
また,凶悪事件を起こした人など,マイナスの側面も非常に個別性があり,人格障害の人の共通点ばかりを強調して,すべての人格障害の人が危険であるという考え方に対しても注意を呼びかけています。
一定数以上の精神障害を持つ当事者と接すると,当たり前のことですが,病気や障害の共通点だけではない個別性が分かります。しかし,多くの人は日常的に複数の精神障害を持つ当事者と接することがありません。いきおい,出会った人が100%そうなのだというふうになってしまいます。
この本を読むことで,人格障害の人のプラス面とマイナス面,多様性と普遍性(共通点)を意識しました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
当時の診断基準と実際に診断した患者のエピソードを交えて人格障害がどのようなものであるかを解説する。
本筋とは関係ないので基本的に例として挙げられた患者は転勤で診断が終わるか受診に来なくなるかなので読者としては気になる。しかし解決した、みたいなエピソードがないのが現実なのかもしれない。
7, 8章の犯罪者、著名人の行動から人格障害の診断を付けられるという話題は内容の展開に当てはまる人を探したという感じであまり好きではない(内容の正誤はわからない)。
特に7章は書かれた当時にセンセーショナルに報道された事件を挙げた印象で人格障害かというよりも時事ネタの感がある。 -
書かれた時期は古いが今実際に身の回りで起こっている状況をよく理解出来る。素人感覚でもこの本の内容にあるような人格障害を持つと思しき人を複数見てきた。何が起こっているかようやくわかった。
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(境界性)人格障害が何かをざっくりと知ることができる。偏見や差別に傾かないように配慮した丁寧な記述であり、筆者の人の良さを感じた。ただ反社会性人格障害に関して絶望的な記述しかなく臨床での対応がどうなっているのか、よくわからなかった点が不満だった。加えて、尾崎豊、太宰治などの(あえて?)かつての著名人が例としてあげられているが、分析のもととなる情報が果たして正確なのか疑ってしまい、全体の信用性にも影響があるのでは、と感じた。
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面倒な題材を扱ってる割に読みやすくて良かったと思う
光文社新書らしい軽さ -
人格障害はどうしても負の側面に注目されがちだが、一部の人間は才能をいかんなく発揮しているというのがわかる。ただ、人格障害は悪い部分だけではないというコトを主張しすぎて好き嫌いがはっきりわかれる内容ではある。
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「心の病気」と称される様々な症状と、病名、特徴についてまとめられた一冊。病気の兆候や対処を知る事ができ、また読む事で自分の中にもある偏見に気付く。
病気の特徴について、往々にしてマイナスからかプラスからのどちらかしか見られていないことを改めて実感した。例えば尾崎豊。アーティストとしての才能という面、死に際や日常の奇行という面。両面が語られるけれども、常に賞賛か批判か、ゴールが決められて語られている。
病気も様々あるが、必ず両面がある。 -
社会現象としての人格障害を扱っている。
実践的ではないが、歴史的経緯、医療的診断基準を示していて、それはそれでためになる。
著名人の精神分析をもっとやって欲しかったなぁ、という読後感です。