行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334033545

感想・レビュー・書評

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  • 【読了メモ】(141126 20:03) 友野典男『行動経済学 ー経済は「感情」で動いているー』/光文社新書/2006 May 20th/今日が返却日。最後は図書館ですっ飛ばすように読み、閉館30分前に読了。もっとゆっくり読みたかった!私のバカー!

  • 実験経済学は知っていたが、行動経済学というものの存在を初めて知った。
    経済人をモデルとした理論経済学とは異なり、確率やヒューリスティクスといった現実世界の人々の行動や意思決定に近いため、納得できる部分が多い。
    結構従来の経済学での常識が覆される点も多く、そういう意味でも引き込まれる。

    2回目:今ほど行動経済学が話題になる前にこれを読んでいたことに驚いた。しかも著者が身近な人だった。何だか不思議な感じがする。

  • 人間は本当に常に合理的な行動を取る生き物なのか、だとすれば目先の損得にごまかされたりして頭では分かっていても結局非合理的な判断を下してしまうのは何故なのか、そうした非常に素朴な疑問から始まる行動経済学の概念から最近のトレンドまでの概略書。新書ではあるが、400ページ弱のかなり充実した内容となっている。

    内容としては、様々な種類のヒューリスティクスとバイアスの存在やプロスペクト理論に基づく4つのリスク態度パターン(同じ確率であってもその効用が利得か損失かによってリスク追求度合いが異なる、例えば確率が低い場合、宝くじのように対象が利得であればリスク追求型だし、牛肉におけるBSE問題のように対象が損失であればリスク回避型という行動が示される)などは、『影響力の武器』などと重なる内容もあり、実用性が面白かった。

    完全に合理的な人間を想定して数理モデルを構築して理論展開を行う近代経済学に対して、行動経済学が確かにそうした数理モデルによる理論化が困難な点を認めた上で、それでも実用性があるのであればその方がよっぽど価値があるということを著者はあとがきで述べている(この点を、「完全に止まっている時計は1日に2度正確な時間を示すが、1分間狂っている時計は1度も正確な時を示さない。しかしどちらが役に立つかは自明である」という巧みな比喩で表現している)。まさにこうしたプラグマティズムが行動経済学のベースにある思想であり、行動経済学の実用性は、人々に特定の行動を取らせるため(例えば、医療費抑制のために健康に配慮した生活を送らせる、など)の政策立案にも大きな役割を果たせるはずだと著者も述べており、様々な分野でこの知見が活かせるようになると良いと感じた。

  • 決して面白くないわけじゃないし、サンプルも豊富でわかりやすいのに、しかも新書だっつーのにやたら読むのに時間がかかった。
    思うに入門書として書かれたためにある意味トピックを詰め過ぎたのかもね。それだけ裾野の広い分野だということなのでしょう。
    残念なのは巻末の参考文献があれだけ充実しているのに索引がないこと。索引があったら絶対「手元に一冊」な本だと思う。

  • 行動意思決定論―バイアスの罠 (マックス・H.ベイザーマン)の下位互換感はあるものの、入門書としては非常に読みやすく、実例が多く紹介されているので興味深く読めます。

    人類である以上、一度は読めばいいと思う一冊です。

  • [購入] 様々な実証実験のデータや主張を集め、行動経済学の要素を凝縮した入門書。行動経済学とはそもそもどんな学問分野で、どのような事象を扱うのかが良くわかる。

    しかしその分並列的な内容が多く、中盤はどうしても冗漫な印象がある。一方、七章八章は特に共感できる部分が多く、行動経済学が心理学など他の学問分野と共通するテーマを扱っていることや学問的広がりがあることが十分に感じられるため興味深い。

  • 行動経済学という比較的新しい分野の学問について、有名な実験結果をピックアップしながら紹介する本。出版当時は全体像を分かりやすく俯瞰した良書だったと思うが、その後、さまざまな本が出てきて、特に「ファスト&スロー」が出た後では、この本の価値はかなり下がってしまう。
    また、類書では、著者自身の意志や興味、自分で構築した理論や仮説を書いているため、一緒に研究しているような感覚になり引き込まれるのに対して、本書は客観的に誰彼が何と言っていると紹介と批判をしているだけで、私にとっては面白くなかった。
    良い点:有名な論文の実験概要と結論を多く収録している。
    もの足りない点:理論の説明、実験の設計について詳しくない。同じことを言っている類書と比べて文章が分かりにくい。
    類書との差別化ポイント:神経経済学にも言及している。

  • たぶん震災くらいの時に買ってて、それに気づかず最近買おうとしてたら、こないだ実家で見つけてホッとした本。ほんのわずかな経済学の予備知識があるとすごく面白く読める。個人的に新書の中では、中公新書の「アダムスミス」以来に面白い。市場原理なんかを前提とする経済学を「標準的経済学」と呼んで、「いや標準的経済学の言わんとすることは分かるけど、必ずしも理論通りにはならないよね」って内容。市場原理の否定というよりは、市場原理理論の精度を高めるために感情とか感覚とかを読み解く必要があるよね、という感じ。

  • 面白かったですが、近代経済学をぼろくそに言い過ぎではないかと。

  • 「処罰が可能であるのに発動しないのは、善意の行為であり、それには善意をもって返すし、処罰するぞという脅かしは悪意と受け取られるから、悪意で返すのである。」

    人間は合理的ではない、ことについて様々な実験事例を挙げながら考察する本。金融工学を少し学び、それが予想通り行われないのは、経済学が想定しているように人間は合理的に行動しないからだと感じ、行動経済を学ぼうと思いました。終盤では、脳やホルモンのような身体と感情との関係について述べられています。また、経済を学ぶほど、人は利己的になるという記述が興味深かったです。

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著者プロフィール

1954年埼玉県生まれ。早稲田大学商学部卒業、同大学院経済学研究科博士後期課程退学。明治大学短期大学教授を経て、2004年より明治大学情報コミュニケーション学部教授。専攻は行動経済学、ミクロ経済学。主な著書・訳書に、『行動経済学ーー経済は「感情」で動く』(光文社新書)、『慣習と秩序の経済学』(訳書、日本評論社)などがある。

「2011年 『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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