地域再生の失敗学 (光文社新書)

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334039158

感想・レビュー・書評

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  • 経済学者の飯田氏と現場のプレーヤーである事業者や政治家との対談や研究者の講義の内容をまとめた一冊。テーマは「これまでの地域経済政策の失敗からこれからの地域再生を考える」というもの。従来の大規模インフラ整備や工場・企業誘致は地域振興への特効薬にはならず、今後の地域再生は民間主導、行政はあくまでもサポート役に徹すべき。第1章の木下氏が言うとおり、行政の視点は「いかに配るか」が中心。「いかに稼ぐか」という考え方はほとんど無い。「変わらずに生き残るためには、変わらなければいけない」分かってはいるが、難しい…

  • 評価なし。

    最初の序文と中身をパラパラ読んだが、
    今の自分には必要なさそうと感じた。

    地域づくり携わっている場合は刺さる部分があるのだろうか。その時に参考になる?かも。

  • 地域再生の成功例を紹介する本が多い中、この本は、地域再生に関わる専門家の生の声を取り上げている点で、毛色が異なる感を受けた。
    諸氏の理念などもわかり読みごたえあり。

  • 昨年度ふるさと納税をやってみてから、少しずつ興味がわいてた事項。ふるさと納税だけじゃなくて、ゆるキャラとか、B級グルメとか、実際それどうなのって思ってました。
    一番印象的な話だったのが、色んな選択肢の1つとして、みんなの合意のもと集団移住すること。これもっと詳しく?知りたいし、広まるべき事柄でないかなと思いました。

  • 【メモ】
    ▼第1章
    ・中核企業を支援したいなら、撤廃してほしい規制を聞いて、そこを緩和する。規制緩和や許認可の手続きサポートをして、お金は自分で工面させる
    ・成果を上げたら税金を軽減するほうが実際に成果を出すのでいい
    ・多様な人に寛容な地域は、理由はよくわからないけど発展する(都市社会学者リチャード・フロリダ)
    ・多様性こそ可能性を引き出す。数を確保することが大事
    ・行政は、最良のシナリオから最悪のシナリオまでの幅をつくって、最悪を避けるようにマネジメントしなければならない

    ▼第2章
    ・日本経済、地域経済を考えるにあたっては、過去からの遺産(または負債)をどう使うのか、どう変えるのかという観点でしか現実的な解決策を示すことはできない
    ・自分のお金で自分の責任で投資をすることが重要
    ・地方創生が何を目指すものなのか明確ではないというのが最大の原因。自治体の税収増なり、その地域の一人当たり所得の向上なり、明確に数値化できる目標を設定していく必要がある

    ▼第3章
    ・人は知と知の偶然の組み合わせ、すなわち知の集積した都市も求めている。その意味でも、これからは知の集積が進む大都市と、その周辺えぼんやりとデフォルト・モード・ネットワークの状態がつくれる地方部を行き来する人が増えるのではないか
    ・地方都市が人を惹きつけるためには、まずは住みやすさがもっとも重要

    ▼第5章
    ・行政でしかできないことはインフラ整備
    ・商業に関しては重複が大きい。商店街振興という事業はみんな持っている。政治的にも、商業は票になるのでみんな担当したがる
    ・「経済」と「地域活性化」を切り分ける必要がある
    ・商業の活性化というのは、税収を増やし、雇用を生み出すこと、お金が適正に動くようにすることが目的
    ・しかし、ほとんどの商店街の活性化は、「まちおこし」になってしまっていて、個々のお店の競争力向上や商店街全体の戦略をつくるといったものになっていない。
    ・商業施策か絆対策なのかは、目的も手段も違う
    ・古来発展してきた都市の多くは街道沿いで、各地の承認たちが行き交ってきた歴史がある。気づくことは内部の人には難しく、隠れたストーリーは外部の人だけでは永遠に分からない。これが地域にとって望ましいコラボレーション
    ・産業集積をつくり出そうという動きが出てくるのは、おそらく人口30万人が1つのボーダーラインになるのではないか。三大都市圏以外では人口30万人を超えると徐々に周囲から人口を吸い上げる力が強くなる
    ・行政の仕事は結果が出るまでの時間が民間企業よりもはるかにかかってしまう。そうである以上、民間企業よりも将来のことを予測できなければならない
    ・地域が元気であるための条件は、行きたくなる場所があること


    <目次>
    第1章 経営から見た「正しい地域再生」
    第2章 官民連携の新しい戦略
    第3章 フラット化しない地域経済
    第4章 人口減少社会の先進地としての過疎地域
    第5章 現場から考えるこれからの地域再生

  • 5人の色々な専門分野の方から見た地域再生の在り方について考えさせられる本。
    30万人程度の地方都市、中山間地域などを抱える地域にはヒントになる事が多そう。
    私は1万人の村なのでどんぴしゃでは無かったけれどヒントになる事は多かった。

  • 地域再生にまつわる施策の歴史を検証すれば、失敗例が多々あったのではとの筆者の言葉。しかし今、その地域の再生の成否に、日本の未来がかかっていることには間違いない。
    そこで、従来の発想ではない新たな視点で取り組んでいる方々の講義と、筆者の対談という構成の本である。
    第1章 経営から見た「正しい地域再生」
     木下 斉 エリア・イノベーション・アライアンス代表
    第2章 官民連携の新しい戦略
     川崎 一泰 東洋大学経済学部教授
    第3章 フラット化しない地域経済
     入山 章栄 早稲田大学ビジネススクルール准教授
    第4章 人口減少社会の先進地としての過疎地域
     林 直樹 東京大学大学院農学生命科学研究科・特任助教
    第5章 現場から考えるこれからの地域再生
     熊谷 俊人 千葉市長
    登場する方々は、1969年〜1982年生まれである。
    これからの日本を背負う若い方々の考え方に期待を寄せるものである。

  • 読み物としては良いが現実的ではない

  • 出版前から気になって。
    ちらほらと論者によって言及されるのも聞く。

    地域経済、市場・民の力をどう使うか。

  • 木下斉氏、飯田泰之氏など”若手”に属する実務家、学者による現場から地域再生を考える話。経済面からか政治(厚生)からかどちらで評価するかそもそも考えましょう、というピンポイントな掴みにgoodだなと感じる。メモ。
    (1)予算というお金を使うのだから、リターンもお金で示すべきなのにそうではない。市民が楽しかったと言えばいいイベントになる。
    (2)サプライチェーンにはギュッと細くなるボトルネックが必ずあって、そこをにぎったひとが価格統制力を持つことが出来る。
    (3)販売先から逆算して考え、独自の生産・加工を行うからこそ利幅も大きくなり、適切に人も雇える。
    (4)戦略の基本は競争構造を理解したうえで戦ってはいけない人と戦わないこと
    (5)本当の経営はやること自体の合理化をして予算制約を乗り越えたり、従来とは異なる収入モデルを作ってサービス維持のモデルを作り出すこと。
    (6)大体人口20万人から30万人の規模で自治体のコストが、最も安く収まるという結果が出ています。
    (7)ビジョンを示しコミュニケーションをとってしっかりと伝える事が経営者にとって最も重要な仕事。業績が良くても価値観に従わないマネージャーはクビ。
    (8)都心に通勤しているサラリーマンの通勤時間は片道58分。毎日二時間以上も移動のためだけに費やしていたら、インフォーマルなコミュニケーションを行う時間も無くなってしまう。東京は人が多過ぎるがゆえに、人の集積によるメリットを生かす事が出来てないのではないか、と思う。
    (9)グローバリゼーションとは国と国との関係ではなく特定の都市と都市の結びつきの強弱に収斂しつつある。
    (10)商業対策なのか絆対策なのかは目的も手段も違う

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著者プロフィール

1975年生まれ。エコノミスト。明治大学政治経済学部准教授。東京大学経済学部卒業後、同大学院経済学研究科博士課程単位取得。内閣府規制改革推進会議委員などを兼任。主な著書に、『経済学講義』(ちくま新書)、『これからの地域再生』(編著・晶文社)、『マクロ経済学の核心』(光文社新書)、『歴史が教えるマネーの理論』(ダイヤモンド社)などがある。

「2018年 『新版 ダメな議論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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