- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334043315
感想・レビュー・書評
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美術は、感性だけでなく、知性に働きかけるもの。作品の意味、機能、作者や注文者の意図などの、知識があれば、鑑賞を深めることができる。
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背ラベル:700-ミ
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もはや心から感動できることはないのだが、作品の良し悪しはかえって敏感になった気がするし、今後もこうした求道と巡礼を続けるしかないと思っている。本書の何遍かにはそんな思いを吐露している。
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西洋美術については、宗教と時代性に基づくモチーフに関する話など、よく聞く話ではあるが知らないことも多く興味深い。
ただ、特に独特なのは中盤からで、クレパスによる絵や日本の戦争画、踏み絵や絵馬、奉納物(エクス・ヴォート)、供養人形、アール・ブリュットとそれに伴う(と著者は解釈する)死刑囚の絵など、あまり芸術としては注目されにくい物らの紹介が面白い。
全く知らなかった作家や作品、考え方が多く、これまでいかに分かりやすく、有名どころの「芸術作品」ばかりに注視していたかを実感させられた。 -
面白かったよ〜
ただ読み終わってその内容が全く頭にない -
見事な絵画のカラー写真が満載で綺麗な本。新聞や雑誌で掲載された内容を集めた、とのことで全体のまとまりは無いが、章ごとに色んなテーマを扱っている
知らない芸術家がまだまだたくさんいて興味深かった。紹介される人物が多い分、いつの時代の人だったかを真っ先に明記してほしいと思った -
自分が絵画好きになったのは、高校時代にエル・グレコの受胎告知を観てから。先週もナショナル・ギャラリーで、この本にも取り上げられているカラヴァッジォの作品を観てきたところ。実物を観た事があると、当然ながら興味のレベルが1つも2つも上がる。
「美術の力」と書かれている通り、一般的な絵画紹介本ではなく、それぞれの時代において絵画が果たしてきた役割とそのもたらす影響について書かれている。
西洋絵画だけでなく日本人による作品も取り上げられているところも好感。
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図が多く絵画をカラー図版で確認できイメージしやすい。自分が行った展覧会や観たことのある絵画が思い出されて読んでいて嬉しい。
絵画や美術そのものの意味を問うている精神性の高い深い内容。「絵画とは何か、絵を見るとはいかなることなのか」(p.90)を考えさせてくれるモノとして絵画が紹介されている。
また日本の美術教育に対する懸念、問題提起もされている。美術史を学ぶこと、古今の実際の作品を観ること、そして名画を模写することをしないことにより「自分の感性だけで見ればよいという姿勢に結びつく」「好き嫌いだけで見ればよく、色や形の美しさを感じるだけでよいという誤解」がある(p.136)という言葉にはドキリとした。
5章「信仰と美術」、6章「美術の原点」は特に心に響く内容だった。絵を描く・観る意味、美術の持つ力について書かれた、とても心に残る章だった。読めて良かった。繰り返し読み、取り上げられている絵を眺め、できれば実際に観に行きたい。