残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか? (光文社新書)
- 光文社 (2018年12月12日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334043865
感想・レビュー・書評
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わたしの職場はいわゆるブラック企業で、みんなそれを承知で、昼食も食べずに働いているし、朝出勤すると、社員の誰かが徹夜をしている。公休なのに、働いていたりする。
組織の体質を変える、ということは、それなりに時間がかかる。今の体質を作るにも時間をかけてきたように、ちょっとやそっとじゃ変わらない。
これまでに政府が掲げてきた政策や、各会社が掲げている残業対策も、間違ってはいない。ただ、その政策や対策が、その会社にマッチしているかどうかだ。
つまり。
最後の方、ある企業の実際の取り組みが載っていて、けれど、頭に入ってこないレベルで現実味のなさを感じてしまって。
残業をなくすには、長い時間をかけて、現場と上司(上層部含)が一体となって努力していくしかないのはわかる。また、単に「早く帰れ」というだけではいけないし、できる人に仕事が集中するのも得策ではない。現場によって、どんな残業対策がいいのか、それは会社によって異なるから、現場が問題点を挙げ、上司はツールを作り、現場はそのツールをもとに、試行錯誤を続けていく。
言っていることはわかる。けれど、上司にはそんなツールを作る能力なんてないし、現場も、日々自分の仕事にいっぱいいっぱいで、なかなか試行錯誤をする余裕がなく、結局いつも通りに戻ってしまう。現場も上司も、常にキャパオーバーだから、こんな風に「どうしていったらよくなるか」を頭で考える余裕がない。そして上司も、「なんとなくうまくいかなかったね」「やっぱり残業減らすなんて無理なんだよね」と、ろくに深められずに終わってしまう。
残業に対する価値観は人それぞれだし、残業に対する施策もたくさんあって。そんな中。
結局、上司が残業遺伝子を持っている以上、何も変わらないし、変えられないのか。
調査でわかった内容がとても興味深かっただけに、ちょっとだけ残念…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
残業が発生する仕組み、日本の歴史、残業麻痺に残業は集中し、感染し、遺伝すること。
ブラック企業を糾弾したり、単に「働き方改革で残業をやめなきゃいけない」と主張するだけでなく、さまざまな観点から冷静に書かれていて勉強になった。少し厚めだけど、話し言葉で読みやすい。
自分の職場は、まずサービス残業を見える化することからだろうけど…、あまりそういうことを言うと角が立ったりするだろうか…
組織開発の基本は「見える化」「ガチ対話」「未来づくり」とのこと。最近とみにガチ対話の必要性を感じている。波風立てずになんとなく遠慮したままズルズルいくといつか取り返しのつかないことにならないかと。
マネジメント層にはとりあえず読んでもらいたい。 -
前半部の日本の残業の現状整理は非常にわかりやすかったし、キーワードも学ぶことができたので、このキーワードを今後職場で活用すると良いと感じた。(残業麻痺など)
ただ、後半部のhowの部分については、あまりインスピレーションを得ることができなかった。 -
耳の痛いことがたくさん書かれている。自分の身近に置いておいてバイブルとしたいと思った。残業を是と認めがちで、比較的残業の多い人は固定観念を身にまとう前に読むべき本だ。私はどちらにも該当し、この本を読んで少し頭を抱えてしまった…。
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すべてのマネジャー層、人事部門に読んで欲しい一冊。社内研修デザインに有用なインプット。昔は部下から仕事巻き取っていたなぁ...。あなたは「ジャッジ」「グリップ」「チームアップ」はできていますか?
「教室を出たら、「事」をなすのみ」 -
本書で挙げられている残業体質の会社の特徴は、まるで自分の会社のことを言われているようでした。きっと、多くの日本企業が同じような問題点を抱えているのでしょう。
しっかりと統計をとって、問題を提起するだけでなく、具体的な対策も書かれているので、多くの人に参考になると思います。上層部の人にこそ読んでほしい職場の実態がここにあります。 -
残業の歴史・構成要素等、暗黙の了解となっていたことが豊富なn値のエビデンスに基づいて紐解かれており、包括的な知見を踏まえて現場の抱える課題を考える上で、役立つ良書だった。
自分が属する「ムラ」の住人をいかに幸せにするか、というミクロな起点から実践に移したい。