残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか? (光文社新書)

  • 光文社 (2018年12月12日発売)
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わたしの職場はいわゆるブラック企業で、みんなそれを承知で、昼食も食べずに働いているし、朝出勤すると、社員の誰かが徹夜をしている。公休なのに、働いていたりする。

組織の体質を変える、ということは、それなりに時間がかかる。今の体質を作るにも時間をかけてきたように、ちょっとやそっとじゃ変わらない。
これまでに政府が掲げてきた政策や、各会社が掲げている残業対策も、間違ってはいない。ただ、その政策や対策が、その会社にマッチしているかどうかだ。

つまり。
最後の方、ある企業の実際の取り組みが載っていて、けれど、頭に入ってこないレベルで現実味のなさを感じてしまって。
残業をなくすには、長い時間をかけて、現場と上司(上層部含)が一体となって努力していくしかないのはわかる。また、単に「早く帰れ」というだけではいけないし、できる人に仕事が集中するのも得策ではない。現場によって、どんな残業対策がいいのか、それは会社によって異なるから、現場が問題点を挙げ、上司はツールを作り、現場はそのツールをもとに、試行錯誤を続けていく。

言っていることはわかる。けれど、上司にはそんなツールを作る能力なんてないし、現場も、日々自分の仕事にいっぱいいっぱいで、なかなか試行錯誤をする余裕がなく、結局いつも通りに戻ってしまう。現場も上司も、常にキャパオーバーだから、こんな風に「どうしていったらよくなるか」を頭で考える余裕がない。そして上司も、「なんとなくうまくいかなかったね」「やっぱり残業減らすなんて無理なんだよね」と、ろくに深められずに終わってしまう。

残業に対する価値観は人それぞれだし、残業に対する施策もたくさんあって。そんな中。
結局、上司が残業遺伝子を持っている以上、何も変わらないし、変えられないのか。
調査でわかった内容がとても興味深かっただけに、ちょっとだけ残念…

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年8月20日
読了日 : 2019年8月19日
本棚登録日 : 2019年5月11日

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