バンクシー アート・テロリスト (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334044466

感想・レビュー・書評

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  • 小池都知事が取り上げて、少し話題になったな、というのがこの本を読む前の「バンクシー」に関する知識でした。

    もちろん、今美術に関心が向いていたからかも知れませんが、きっとこの本を通り過ぎてしまったら、おそらくバンクシーのことは、今後の人生で出会うことはないだろう、となぜかそう思ってしまい、つい手に取ってしまいました。

    アートとは何でしょうか?

    定義づけというものは難しく、たとえば、マルセル・デュシャンの「泉」なんかもそうですが、必ずしも、こういうものであると形作ることはできないように思えます。

    この本は、バンクシーに関わるガイドブックとしてはものすごくわかりやすいです。

    が、それだけでなく、アートと否応なく結びつく資本主義など、考えさせられることが縦横無尽に広がっていきました。

    極めつけは、現在残っている作品群は、美術史という、歴史の中の勝者である、と説かれており、ハッとさせられました。
    あくまでこれは、バンクシーに関する本ではありますが、この言葉に、ものすごく引力を感じます。

    「ウォールアート」と言われれると、つい全てを一緒くたにして、単なる犯罪行為だと思ってしまいます。もちろんそれは変わることはないのですが、そこに描く理由を考えたことはありませんでした。
     共感するかしないかは、人それぞれであると思います。ちなみに自分はバンクシーが気になって、画集Wall and Pieceも買ってしまいました笑

  • 今度、バンクシー展に行こうと思っているので、
    その予習がてら読んでみました。

    バンクシーは名前は聞いたことがあるし、
    アート作品もいくつか見たことがあるし、
    オークションで作品にシュレッダーが入ったというニュースも知っているけれど、
    それ以上のことはよく知らないな…という
    自分のような人に向けた書いた本。

    バンクシーがなぜ匿名なのか?、
    壁にグラフィックを描くアーティストの中でも
    特にバンクシーが有名になったのはなぜなのか?、
    壁に絵を描く作品以外の作品は?、
    なぜ自分の作品をシュレッダーにかけたのか?、
    などなど、著者の推測もあるとは思いますが、
    バンクシーの哲学が垣間見れる本だと思います。

  • 世界各地でゲリラ的に出没しストリートに作品を発表し続ける覆面アーティスト バンクシー。そのベールに包まれた活動の変遷と社会的影響などを網羅した入門的ベストな解説書。作品の性格上、多くの批判はあるがそのメッセージには共感しかない。‬

  • 11月の初めごろに、宝島の「バンクシーを読む」という本を読んだばかりである。
    図書館へ行ったら、この秋の読書週間で、『大人の福袋』という企画で、封筒の表に「21世紀ののピカソ?」と評された題名で、中身が、見えないようなった本の入った封筒を手にして帰路へ。

    予感したように、「バンクシー」についての本であった。
    サザビーズのオークションで、誰もが、目にした、『風船と少女』の落札された瞬間に 半分がシュレッダーで、裁断という事で、一躍世界を震撼させたバンクシー。

    覆面の謎のアーティスト。
    グラフィティと言うと、少しお洒落っぽく聞こえるが、落書きの事である。
    しかし、バンクシーの思いは、気まぐれの落書きでない。
    よく、ニューヨークの下町や地下鉄に 描かれている落書きとは、違っている。

    なぜなら、バンクシーの故郷と言われているブリストル独特の歴史と人種暴動の影響が強い。

    どうして、謎の人物で、あり続けるのかの理由が、グラフィティとアートの違いにある。
    グラフィティならば、消去しないといけないのか??
    公共の場所に 許可なくして描かれた落書き(?)は、処罰される。
    どこまでが、アートに分類されるのだろうか?

    世界的に、活躍するバンクシー パレスチナの分離壁に描かれた絵、そしてホテル開業まで成し得ているのは、
    覆面画家であるからだろう。
    武術館へ、そして、テレビに迄侵入しているバンクシー、これから、どんな課題を呈してくれるグラフィティを描くのだろうか?

    サザビーズで、へリングやバスキア等のゾゾタウンの前澤友作氏の落札金額の凄さに、余計に、興味深く見てしまった。

    しかし、バンクシーのサザビーズを描いている比喩的グラフィティにも、拍手を送りたい気になった。

  • 正体不明のアーティスト、バンクシーのアーティスト像に迫る入門的な本。バンクシーがなぜ社会と真っ向から対立するようなポジションで人気を博したのか、故郷ブリストルの音楽性にも焦点をあて文化的な背景から、バンクシーが持つ独特のポジションを解説していく。パレスチナの壁画、シュレッダーでオークション購入直後に裁断されるアート。一つ一つに強烈なメッセージ、特に資本主義、お金だけの拝金主義、華々しいセレブ、戦争、裏側で届かぬ声を届けたいと思うアートワークへの強い思いが作品に風刺と強烈なメッセージと愛すべきキャラクターを産んでいる。いよいよニューヨークで、バンクシー展が行われる。テーマは何か、何をやってのけるのか、本当に楽しみだ。

  • 借りたもの。
    覆面アーティスト・バンクシーの魅力、公開されているプロフィール(謎を含めて)からの半生、作品について、なぜ評価されているかを解説した一冊。
    文庫本ながら、内容は充実。

    現代アートの価値が“今を映す”ことならば、バンクシー作品が訴える社会問題へのブラックユーモアは、現代を生きる私たちに笑いと問題提起と論争の機会をくれる。
    その傾向は全て“アンチ”だけど……(反アート、反戦、反商業主義)
    しかしその作風はシニカルで、声高に特定の存在を攻撃しない。

    ストリート・グラフィックの手法のひとつ、「ステンシル」で描かれた作品は、ステンシルを作る時点で制作する意図があることが、ただの迷惑行為の“落書き”との差異をつけていることを指摘。

    アンディ・ウォーホルへのオマージュと揶揄、キース・へリング、バスキアの影響、デミアン・ハーストとの共作……
    現代美術史の流れを汲んでいることを強く意識させる。

    読んでいて、ストリートアートという媒体のインスタレーション性、そこから生まれる希少性(その反社会的行動の延長から消される可能性、それを維持させようとする労力)が、バンクシーの価値を高めているのではないかと思った。

    バンクシー展 天才か反逆か
    https://banksyexhibition.jp/

  • 横浜で開催されていたバンクシー展に足を運び、バンクシーに魅力されてから購入した本書。著者のバンクシーに対する深い造詣と豊かな解釈に惹き込まれた。
    バンクシーの作品は見方によって様々な解釈が可能で、そこに悩むこともまたバンクシーのメッセージなのだろうと思うが、本書もある一定の方針を示しつつ、多様な解釈を提示し、悩みながら進んでいることがバンクシーをリスペクトしていて素晴らしかった。

  • BANKSY好きじゃしぃ
    .
    ってな事で、
    毛利嘉孝の『バンクシー アート・テロリスト』

    5年位前に図書館で見つけた『Wall and Piece』を見てから一発で大好きになったねぇ

    元々キース・へリング、アンディ・ウォーホル、エッシャー等のポップ・アートが好きじゃったんでね。

    この本はバンクシーの歴史書と言っても良いくらいの内容じゃね。

    絵に込めた意味やアートとは何かと投げ掛ける皮肉さとポップの融合

    サザビーズのシュレッダー事件でより世界にその名を轟かせたバンクシーをうちのりともんも流石に知ってたんでなんだか嬉しかった

    Wall and Pieceをまた観たくなったな♪

    2020年32冊目

  • ポルトガルに留学したとき、現地の人から何気なく「バンクシーの絵」と壁に描かれていた風船と少女?を見せられて、興味を持った。
    バンクシーについて少し知りたかっただけだが、グラフィティ文化が表現する自由さと、ストリートの美学を学べるとは思わなかった。

  • 好きなジャンルの新書ではなかったが、読む必要があったので読んだ。
    後半は一気に読めて面白かった。
    バンクシー入門書にはちょうどいいと思う。

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著者プロフィール

毛利嘉孝
毛利嘉孝
社会学者。1963年生まれ。専門は文化研究/メディア研究。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授。ロンドン大学ゴールドスミスカレッジPh.D.(Sociology)。九州大学大学院比較社会文化研究科助教授等を経て現職。特に現代美術や音楽、メディアなど現代文化と都市空間の編成や社会運動をテーマに批評活動を行う。主著に『バンクシー』(光文社新書、2019)、『増補 ポピュラー音楽と資本主義』(せりか書房、2012)、『ストリートの思想』(NHK出版、2009)、『文化=政治』(月曜社、2003)、編著に『アフターミュージッキング』(東京藝術大学出版会、2017)等。

「2023年 『朝露』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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