知ってるつもり 「問題発見力」を高める「知識システム」の作り方 (光文社新書)

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  • 光文社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334045661

感想・レビュー・書評

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  • ビジネス書だと(勝手に)思い込んで借りたのですが、ビジネスというよりはアカデミックだったり教育現場だったりをイメージする本でした。
    (著者は大学の先生でした)

    とはいえ主旨は「問いの立て方」「解き方」「知識の広げ方・深め方」などビジネスや独学とも共通するもの。
    具体例がビジネス書とは少し違う点が面白く、理解が深められたと思います。

    また(個人的に頑張り中の)独学方面で活用していきたい箇所がたくさんあり、とても参考になりました。

  • 「おそらく詰め込み教育の問題点というのは、取り入れたその知識のかたちというか質ではないかと思います。知識システムがしっかりしたかたちで多量に知識を保持していれば何の問題もないはずです。」

    「また、『問題解決学習』は、子どもたちが自分で問題を見つけてそれの解決を図るというものですなら、子どもたちの学習意欲や活発な活動が保証されると見なされて、教育現場では多用されます。しかし、その領域に関する知識がかなりなければ、解決したい問題点など見つかるわけがありません。それに、こう考えてはどうだろうといった探索を導く仮説も、その領域の知識がかなりなければなりません」

    本当に、その通り。
    西林さんが言ってくれて、良かった。

  • とある方が、SNS上で紹介されていたのを見たことがキッカケで手に取りました。

     ひと言で説明すると、
     孤立した知識を「知ってるつもり」でいる人々に警鐘を鳴らし、「知っているつもり」では知識として応用が効かないよ、というお話。
     知識を応用できるものにするためには、「個別特性」と「共通性」に焦点を絞って、「いろいろあるから=個別特性」のなかにも「共通性」があることを知れば、知識は有機的に繋がっていくよ、という例を幾つも紹介されています。
     手を変え品を変え、ですが、著者の言いたいことは一貫して「知識は個別特性と共通性に着目して、有機的つながりを持たせよう」ということです(個人的には、ある意味これさえ体感的に分かれば、例をしっかり隅々まで理解していなくても十分な気がしました)。

     これは私が文系だから感じることなのかもしれませんが、「言いたいことはわかる。でも扱っている内容が難しくて途中で嫌になる」「頭のいい人がずーっと一方的に喋りかけてくる」系統の新書でした(わかる人には分かる表現だと思います)。

     ここまで読んだのだから、という気持ちで頑張って読み進めましたが、扱われる内容が当たり前のように知識のミルフィーユ状態なもの(ひとつ理解するためには複数の知識を持っていること前提なもの)ばかりで、なかなかハードな読書体験でした。

     一方で、一度読むだけで仕組みがわかる例もあり、これは私の得意不得意と関係しているんだろうな、としみじみ感じました。
     著者が言いたいことは受け取ったし、次第点を貰った気持ちで、この本から卒業したいと思います。
     ありがとうございました。

  • 直前に同様の書籍を読んでいたがため、色々つながりを見つけることができた。

    知識=具体事象、知恵=抽象事項、知識モデル=構造、他の要因への構成要素の当て込み/「個別特性」「共通性」=抽象⇔具体の行き来、、、。

    疑問の持ち方、事態も欲を言えば構造的にぶつけることができると、抜け漏れが無いし、その疑問を解消することに意味があるということが分かる。飛行機の機首の話は、恐らく通常に説明を受けたら出てこない文脈ではあるが、そのほかにもっと確認することはなかったのか、とは気になってしまう(それでもその知識システムを持っておく方が断然ベター)。

    他の知識と関連しづらい、ということもあるが、そもそも体系立てて理解していないことがまず問題。こちらができていれば、勝手に結びつく。体系も相対性を持つので、常に必要な範囲において、一番上の例やその範囲の定義(箱の大きさ?)、横並びに何が来るか(箱の数と名前?)、今回はどこを対象としているか、を構造化してしまえれば、説明が明確になるし何より「どこまで調べればいいのか」にゴールが置ける。ここをやっておかないと、「いつまでも調べなければいけない」ことになるし「他にはないか」という質問に永久に答えないといけない。置けていれば「そこは関係ない」と切ることができる。馴染みのない領域であればここにしっかり時間をかけたほうがいいし、ここができていれば、調べるのは他人にまかせることもできる(終わりがあるので)。知っている領域であれば、区分けを自分なりに工夫してみたりして、違うメッセージを炙り出せるようにしていくことがメインポイントかと。これは映画のマネーボールでの野球選手の評価軸。アスレチックスだけ別の軸を持てたことが、差別化に繋がり、その差別化要因が成功要因だった。

    言い切る文脈辺りはポジションをあえて取ることで、方向性が示されるし、幅が見えるので良いと思う。必要に応じて情報は切り捨てる。

    エピソードとして「分かってるつもり」を見つけるくだりは毎々面白いが、詳細に根が、茎が、とかは紙面を割かなくてよかったのでは。

  •  例えば、「じゃがいもは茎」「さつまいもは根」という断片的な知識で「知っているつもり」になっていないか。そんな警告をならす本。
     知識量が増えるほどに、「疑問」が多く生まれる。知識が増えるほど「知らない」が増える。
     三角形の面積を求めるとき、なぜ斜辺ではなく高さをかけるのか、など自分が知って使いこなしているはずの知識をひとつひとつ取り上げ、いかに知らないかをつきつけてくれる。
     だが、どうしても「何故?」と考え、深く探求し、そして使える知識として定着するには、「必要性」に迫られないとなかなか難しいと思う。
     日本人にとっての「英語」と同じで。必要性があり、すぐに使えないと困る環境にないから身につかない。

  • 丸暗記だけの知識がよくないのはどういうところか、知識システムを作るのがなぜ重要か、どうすれば知識システムが作れるのか、とても勉強になりました。『わかったつもり』と合わせて読みたい。

  • 飯坂学習センター

  • 問題発見と知識スキーム

  • 根本を知るのが大事。

    飛行機雲の話。
    鳥取砂丘は砂と風で出来た。

    獲得した知識を知恵にする。
    消化器官は体の外。

    共通性を探し、その後で個別性の機能を探る。

  • 知識のシステム化をすることにより、わからないことを増やすことを提唱。そのためには知識が必要であり、所謂「詰め込み教育」への批判に対しても疑問を呈する。ただし知識は孤立してはならず、機能を考える事により「共通性」と「個別特性」で物事を捉える事が必要である。留意点としては驚きからスタートすること、システム化が困難な場合には単純化による不整合の洗い出しも有効といった事が論じられている。
    著者の主張に関しては概ね賛同するものの、対象となるのが小学校教育という印象で、またジャンルも自然科学というか算数とか理科が多い。大学教育における人文科学や社会科学、ビジネスマンの問題解決等に応用して使えるのかどうかには少々疑問もある。ただし、これも「共通性」と「個別特性」で捉えるべきことなのかもしれないが。

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