最新ベストミステリー 暗闇を見よ (カッパ・ノベルス)

制作 : 日本推理作家協会 
  • 光文社
3.29
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本棚登録 : 91
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334077037

感想・レビュー・書評

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  • ミステリーというより、ホラー寄り。

    色々な種類の怖さがあり、好きなものもあれば、苦手なものも。

    面白いな、と思えたものが少なかったので、全体的な評価は低めです。

    赤川次郎氏の「隣の四畳半」、辻村深月氏の「十円参り」、米澤穂信氏の「身内に不幸がありまして」が面白かったです。

  • 図書館より。
    ミステリーとホラーのアンソロジー。

    後輩のある一言から懊悩するOLを描いた北村薫さんの『三つ、惚れられ』怪談好きの私が友人から聞いた話である辻村深月さんの『十円参り』はどちらも生きていく上で一度は感じたことのありそうな、モヤモヤとした感情を見事に書き切ってくれて良かったです。

    法月綸太郎さんの『引き立て役倶楽部の陰謀』は、海外名作のワトスン役たちがアガサ・クリスティーのある小説をめぐり議論するという趣向の話。
    ある程度アガサ・クリスティーやミステリーを知っていないと、内容が分かりにくいと思いますが、いろいろな皮肉やミステリーの読み方を知れて面白かったです。

    道尾秀介さんの『冬の鬼』は日記を逆からたどっていく形式の短編で、ラストに思わぬ形でひっくり返されやられた、という感じでした。ホラーとしても秀逸でもう一度読み返したくなる話です。

    米澤穂信さんの『身内に不幸がありまして』は名家に仕える若い女性使用人とお嬢様の話。
    古い名家の雰囲気がよく出ていてその点もいいのですが、この話もラストが見事!最後の一言にこの話の全てが集約されているなあ、と感じました。

  • 「ちゃーちゃん」 乾ルカさん

    小学校のとき、学年に一人くらい「ちゃーちゃん」みたいな子っていたよなあ…と思い出した。
    古くて臭くて不気味な家に住んでいて、学校には来たり来なかったりで、親も働いていなさそうな…。

    あと、「ジョーハツ」という表現。
    うちの母も、誰にも気づかれずに人が突然いなくなることを「蒸発」と言っていて、子ども心に「水じゃなくて人間のことなのに蒸発って言うの、なんか変なの」と思ったことを、本を読んで思い出したりした。
    (話の筋にはあまり関係ないけど、つい懐かしくなった。改めて調べると国語辞典にもちゃんと載っているのですね)

    私も、ちゃーちゃんの母は毎日酒ばかり呑んでいる夫や貧乏暮らしが嫌になってきっと蒸発したのよ…と、てっきり思いながら読み進めていたので、結末には驚かされました。


    「ゲバルトX」 飴村行さん

    「おねえちゃん」 歌野晶午さん
    口達者な女子高生と、それを諌める叔母さんのセリフの掛け合い

    「雪を待つ朝」 柴田よしきさん の3編も面白かったです。

  • 一年の中で選りすぐり……という触れ込みで、確かに「おお」と思うものも多いですが、一部「??なんでコレ?」というようなものも選ばれている印象。
    実は北村薫先生の作品が一番怖かった。リアルすぎて。あり得る。

  • 米村穂信さんの「身内に不幸がありまして」は傑作だと思う。
    辻村深月さんの「十円参り」もすごく怖くて良かった。ホラーのイメージが無かったからびっくり。
    道尾秀介さんの「冬の鬼」はさすがだったなぁ。

  • ミステリーだと思ったのに……限りなくホラー寄り。怖くてなかなか読み進められなかった。とにかくみんな話がうまい。どんでん返しで驚いたり、じわじわ怖さが増したり、リアルでありそうだったし。怖くて嫌だったけど、そう思うほどに上手い作家さんたちなんだと思う。

  • ミステリーのオムニバスです。
    これは、赤川次郎、飴村行、北村薫、柴田よしき、辻村深月、米澤穂信さんなどといった、豪華な作家さんぞろい。

    一番面白かったのは、歌野昌午さんの「おねえちゃん」かな。前に読んだ、「My sister's keeper」をモチーフにした、白血病の姉のために自分は生まれたと信じてる妹。。しかし真実は別だった。。という話。痛かったなぁ。。。なぜもっと早く。。なんて小説に言っても仕方の無いことなんだけど。

    全体的なイメージは、ミステリーというよりもホラーの要素が多かった。。どれも傑作まではいかなくてもそこそこ怖くて、ラストが読めない。ミステリー好きと言うよりはホラー好きにお勧めかな。

  • 通勤中に読むのにそれぞれの短編がちょうど良い長さ。『冬の鬼』何度読み返しても面白い。日記を遡る形式で最後であっ!と思わせるうまさ。

  • 内容紹介 稀代の作家たちが催す恐怖と幻想の饗宴! す べてのミステリーファンに贈る、三年に一度 刊行される大好評アンソロジーの第三弾。三 カ月連続刊行の掉尾を飾るに相応しい当代 きっての作家たちが集結。ミステリーとホ ラー、ジャンルの間を自由自在に越境する才 能が、謎の奥に潜む狂気と恐怖を抉り出す。 ミステリーファン必携の豪華な一冊!

    隣の四畳半(赤川次郎)/ゲバルトX(飴村行) /ちゃーちゃん(乾ルカ)/おねえちゃん(歌野 晶午)/三つ、惚れられ(北村薫)/猫と死の街 (倉知淳)/雪を待つ朝(柴田よしき)/十円参 り(辻村深月)/引き立て役倶楽部の陰謀(法月 綸太郎)/吉原首代売女御免帳(平山夢明)/冬 の鬼(道尾秀介)/ろくろ首(柳広司)/身内に 不幸がありまして(米澤穂信)

    好きな作家のものは既読のものが多かった。初めて読んだ作家で面白かったのは、法月綸太郎の引き立て役倶楽部の陰謀。こんな視点が!という驚きと、私がもっとミステリマニアだったら更に面白いんだろうなと思った。ホラーというだけあって直接的に怖いものから背筋がゾクッとするような静かな狂気や身近に潜む恐ろしいものまで、現代ものから歴史物まであって様々で面白かった。道尾秀介の冬の鬼も日記がどんどん遡るに従い物語の全容が見えてくる構成が見事で、短い中に物語とぞくっとする怖さと美しさとが共存していると思った。光媒の花もよかったし、そろそろ道尾秀介の作品、色々読んでいきたい。

  •  ホラー色の強い作品集でしたが、倉知さん法月さんの編にはホラー色は感じられません。法月さんは海外探偵小説へのオマージュのように思え、興味津々で読んではいたけれど、途中から読むのが苦痛になりました。海外作品、特にアガサ・クリスティーに詳しい方なら楽しめたかもしれません。
     赤川さんは安定感があり、読みやすく期待通り面白いです。飴村さんは驚いたけど、やっぱり苦手な雰囲気でした。倉知さんは正統派だと感じ、やはり丁寧に描くと思いました。北村さんは以前読んだことのある作品でしたが、何度読んでもやはりゾッとします。
     最後にビクッっとさせてくれた柴田さん道尾さん米澤さん、それぞれの方の個性が出ていて面白かった。意外だったのは平山さん、とても苦手意識のある作家さんだったけれど、楽しめました。文が綺麗なので余計に恐ろしく感じました。
     乾さん歌野さん辻村さん柳さんの描かれた4編の雰囲気が特にホラーっぽくて好みでしたが、どの編も確かな‘暗闇’を感じる作品集でした。


     

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著者プロフィール

一般社団法人日本推理作家協会。推理文芸の普及・発展を目的とし、日本推理作家協会賞、江戸川乱歩賞の授賞、「推理小説年鑑」などの編纂、機関誌の発行などを主な事業とする。

「2017年 『推理作家謎友録 日本推理作家協会70周年記念エッセイ 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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